02 百合もあり得るらしい。
下校時刻になりキョウヤが飛びついてくる。
犬か何かなのかな??
「一緒に帰ってくれるんでしょ?」
「うん。ちょっと待って、職員室にプリント届けてくるから。」
「俺も着いてく。」
「大丈夫。それより昇降口で待っててくれた方が少女漫画展開みたいで憧れるな~。」
「…待ってる!!」
犬か何かなのかな??
プリントをもって教室を離れる。
私は学級委員だからこの時期はかなり大変だったりする。
そう、一学期中間テストだ。
「失礼します。」
「あ、一年の学級委員の子かな?プリントはそこに置いといてくれる?」
「分かりました。」
キョウヤが待ってるから急いで帰ろう。
その時、昇降口手前で肩を叩かれた。
「あのプリントって…」
「あっいま出してきちゃった…。」
「そう、ですよね…提出するの遅くてす、すいませんっ!自分で出してきますっ!」
「全然大丈夫だよ。着いていこうか?」
眼鏡の女の子は少し顔を赤くして首を縦に振った。
かわいいな。
二人で廊下を歩く。
「あすかちゃんはヤンキーの人と仲いいですよね。」
「キョウヤの事?まあ見た目はヤンキーだけど犬みたいだよ。」
「そうなんですね!以外です!」
話題が無くなり静まり返る。あまりクラスで話したことないからなぁ…。
「確か名前恵理ちゃんだよね!恵理ちゃん眼鏡取ったらちょー可愛くなりそう!」
「えぇ…、私には可愛いなんて無縁の存在ですよ…。」
「そんなこない!ほら!」
「えっ!」
恵理ちゃんの眼鏡をとる。
「ほら!かわいい!!」
「…!!!」
まるで少女漫画みたい。でも女の子同士だから出来るんだよね。
この時の私は知る由もない、ヤンヘラなのは男だけじゃないことも、登場人物が全員狂ってることも。
私は、まだ知らない。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「あすかちゃん!コンタクトにしてみました!…どうかな?」
「あすかちゃんは今日も可愛いですね!」
「私は、あすかちゃんだけお慕いしてます…!」
「おい!地味女!明日香から離れろっ!」
「嫌です!離しませんっ!」
結果。ヤンヘラが一人増えた。
恭也side
第一印象は覚えていない。その辺の女と変わらなかった。
でも優しく接してくれたから、俺を見た目で判断しないから。
なんだか胸が高鳴って苦しくて、明日香とずっと一緒に居たくて。
これが恋なんだって思った。俺のお姫様は明日香なんだって気づいた。
でも明日香は冷たくて、俺の愛を避け続けてた。
でも俺は知ってる。明日香は心が広くて誰よりも優しいってことを。
だから俺は我慢してた。そしたら今日!一緒に帰ってくれるって言ってくれた!
やっぱり好き!!!だいすき!!!!!!!!
授業中もずっと明日香を見てた。はやく下校時刻になって。はやく抱きしめたい。明日香のそばに居たい。
その瞳が俺以外を見てるのが憎くて堪らなかった。俺だけを見て欲しい。
その瞳を抉り取って俺だけの傍に…………。
でも今はまだ内緒。
昇降口の前で君を待ってるオオジサマ。
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