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21の冬

作者: コニー

自分って人生を楽しんでいる気がするなと思えて、またいきなり文字を打ち出した。


特に何か話したいことがあるわけでは無い、誰かに伝えたいことがあるわけでもない。


目の前にある電車の窓から射し込む2月の暖かい光になんだか眠くなってきた15時30分。見える建物の数が減り、緑が増えていく。 1週間ほど続いていた雨からなんだか久しぶりの太陽に春を感じつつワクワクしている。三連休の中日で少し混みあっていたが、電車にいる時間が長ければ長いほど人がつぎつぎと私の横を通り降りていく。



実家に帰る途中にTikTokを開き、西野カナのライブ動画が流れてきた。25という曲を初めて聴いてすぐにダウンロード。かれこれ2ヶ月ほど就活の毎日で、大人になることへの不安で涙を流しご飯も喉を通らない日もあった。けど、この曲を聴いて、この先にある明るい未来が見えた気がした。


もし私がまたここに戻ってきて、この小説ならぬメモを読み返しているのなら聴いて欲しい。そしてこの曲を聴いて元気づけられるほど、先の未来に不安を抱いていた21の冬を思い出して欲しい。



そしてこの曲を聴きながらこの続きを読んで欲しい。




大学3年生の春。私の人生において遊びの象徴だったサークルを辞め、早い段階で髪を黒くしていた。なのに、夏のインターンにも参加をせず遊び散らかし、気づけばスーツで授業を受けている友人達に焦りを感じた。冬のインターンにも応募せずに、本格的に始めたのは彼と別れてからの年末年始。


今は就活しかやることがないのだ。



1月の中旬には全ての授業が終わって春休みに入っても、家ではやる気が出ないので学校の自習室に入り浸り、夜家の扉を開けるのは23時頃。それからベットで眠りにつくのは3時頃、目覚ましに起こされ説明会を2~3社受けて、加えて面談や面接の毎日である。


こんなにも自分が要領の悪い下手くそな奴なんだと思い知らされた。遊びや休憩とうまくバランスが取れず、息抜きで遊ぶ日でさえ遊んでいて良いのか不安になってしまうから自分で遊びの予定は立てない。誘われてもこの私がほとんど断っている、断れたことに驚きさえ感じる。



そんな毎日の中で、きっとあのまま彼と付き合っていても、今頃には別れているだろうなあと思っていた。隣で友達が彼氏の就活に対しての考え方で、喧嘩や涙を流しているので確信をした。私もきっとうまくやれていない。


彼は部活やバイトで忙しい人で私は時間をもてあましていたあの日々からは考えられないほど、自分が就活に注力してしまい、とてもじゃないけど会ってられないだろう。会っても無駄に怒ったり泣いたりしてしまっていたと思うときっとこれで正解だったとも思えて、少し気が楽になったりもする。



自分の過去を思い返して、自分の現在を見つめ、自分の未来を考えるこんなにクソ忙しくて大切な時期。私は1人で正解だった。ストレスフリー。



ううん、強がりでは無い、本音。



いつか全て終えたときに、全部が思い出になって私の人生をまた彩る必要な材料だったと思えると思ってる。だから、こんな就活の辛い毎日でも友達と写真を撮るようにしている。きっと大丈夫。






そろそろ目的地につきそうです。私を迎えに来てくれたお母さんの運転する車に、妹弟達も一緒に乗っているようだ。少しくらい深呼吸してみます。


家族のもとに帰る途中に西野カナの25を聴いて明るくなってるんだから、今これを読んでるあなたもきっと小さな明るいことはあるはず。



もしこれを読んでる私がまた何かに追われて頑張りすぎているのなら、1度家族の元に帰ってみて。時間が無いしそんな余裕もないのもわかるけど、21の私はこれで苦しまずに毎日を過ごせています。



あの場所は何も無いけど温かい場所だよ。

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