すあまのうた
昨日、産まれて初めてすあまを食べた
同じ日本に
ふたつの人種がいる
すあまを食べる人種と
すあまを知らない人種だ
わたしは長いあいだ知らなかった
インターネットの恩恵で
遠い友人からその話を聞いた
毎日わたしの知らないものを口にして
毎日わたしの知らない甘さを享受する彼女に嫉妬した
すあま
その不思議で甘美な未知の和菓子のへんな名前に
わたしは必要以上に魅了されていった
すあまを求めて関東を旅した
口の中は乾いていた
自然にうたが漏れ出した
すあま
すあま
どこにいるの
あなたに会うため
わたしは来たよ
すあま
すあま
姿をみせて
レアモンスターなんかじゃないんでしょう?
スライム程度の存在だというのなら
パッとわたしの前に現れてよ
スライム程度の存在のあなたを
魔王のように慕うわたし
ああ
すあま
どんどん膨れあがる
わたしの中のすあま
キングすあまになっちゃってる
絶対実物とは違うものになっちゃってる
出会いはあっさりだった
コンビニのレジ横にあなたがいた
聞いてた姿はかまぼこ型
見つけた姿は大福型
でも
あなたがそうなのね?
やっと出会えたわたしのすあま
世界に一つだけのすあま
120円
ドキドキしながら車に乗せた
ワクワクしながらあなたを見つめた
すぐに食べてはもったいない
朝ごはんにあなたを食べましょう
いっしょに天国へいけるといいな
食べたあなたは
キングすあまじゃなかったけれど
知り合えた大好きな友達のように
わたしの口の中で
歯にいっぱいくっついた
ふわもっち!
ふわもっち!
うたいながら
わたしは楽しい車を走らせた
朝が笑顔になって
わたしの前にしばらく続いていた
関西にすあまはありません