2/5
2 来襲
祭りの日が来た。
僕は村の長の家の跡取りとして、一子相伝の剣の舞いを舞った。
青銅の七支刀を右手に持ち、左手は指を曲げて呪文を唱えるような動きをし、山神様に捧げる奉納の舞をした。
亜月は白い上着に赤い袴をつけて、白木の盆に、白い陶器の瓶に入った口噛み酒を持ち、祭壇に捧げた。
すると突風が吹き、酒の入った瓶が倒れ、地面に落ちてくだけ散った。
地面に酒の黒い染みが広がった。
さらに雷鳴がとどろき、風は強くなった。
村人は悲鳴を上げた。
「亜月!」
風に吹き飛ばされそうになっていた亜月のもとに僕は行こうとした。
すると、大きな白い獣が舞い降りてきた。
「山神様だ」
「山神様が現れたぞ」
村人たちが叫んだ。
白い獣は亜月を咥えるようしにした。
そして、村人を飛び越え、山の方に駆けて行く。
「待て!!」
僕は七支刀を握ったまま追いかけた。
白い獣が空に舞った。
「まさか、飛ぶのか」
白い獣はみるみるうちに小さくなっていった。