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第42話 二日目の朝

 カウラの『ハコスカ』で男子下士官寮に送られた誠は待ち構えていた非番の隊員達に案内されてベッドや布団まで用意された寮で眠り、『特殊な部隊』の二日目を迎えた。


「二日目か……」


 誠は下士官寮の二階の自室の窓を開けて空を見上げた。


 どこまでも広い空が続いている。


 大きく深呼吸をした誠はカバンに入った実働部隊の制服に着替えると、そのまま部屋を出て一階の食堂に向かった。


「おう!神前」


 食堂では明らかに上座とわかる場所で寮長の島田がプリンを食べていた。


 その正面にはなぜか二人の制服姿の女子隊員が腰かけて誠の方に視線を向けていた。


「あのー……ここって男子寮ですよね?」


 そう言いながら近づく誠を見て二人は笑顔を浮かべた。


「神前君。昨日はどうだったの?」


 水色のショートカットの女性隊員が笑顔を向けてきた。


「どうって……楽しかったですよ」


「ホント?アメリアやかなめにいじめられたでしょ?」


 今度はピンクのソバージュの女子が誠の顔を覗き込む。


「こいつは俺の舎弟なんだからそんな……あの三人もわかってるって」


 島田はテーブルに足を投げ出してヤンキーらしく首に下げた金のネックレスを光らせている。


「うちは馬鹿しかいない『特殊な部隊』だから。逃げといた方がいいと私は思うわよ」


 そう言うと水色の髪の女性は、隣に座った誠に手を差し伸べた。


「私はパーラ・ラビロフ中尉。運行艦『ふさ』の総括管理担当。つまり、アメリア達の『馬鹿』をフォローする『疲れるお仕事』担当……をやらされてる」


 パーラはそう言って立ち上がり、前に見た誠の前のパシリだった少年下士官から朝食のプレートを受け取って誠の前に置いた。


『この人……まともだ』


 そのどこか人工的な表情を見ながら誠はそう確信した。


「ラビロフ中尉……となりのピンクの髪の人は?」


「はーい!私はサラ・グリファン少尉です!島田君の彼女なんですよ!」


「へー……彼女ですか」


 誠はそのまま白けた瞳を島田に向けた。


「俺は……『硬派』だかんな!つまらねえ詮索するとグーパンチだかんな!」


「正人!カッコいい!」


 少し照れながら島田は食べ終えたプリンの容器を先ほどの下士官に渡した。サラは朝からわけもなく盛り上がっている。


 誠はとりあえず部隊で一番『まとも』そうなパーラにこの部隊の真実を聞こうと思った。

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