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えんじゅのあれこれ

新たに同行する2人を加えて食事会です。

 航宙艦ルンハオの食堂は20人くらいが入れる大きさで、あちこち傷んで補修されてるし木の壁と床は黒味がかっていて、掃除はされていても年月を感じさせる。

 その床に斜めに走っているのは継ぎ接ぎされた真新しい床板。ノーザンベルク十三世と獣粧族(ハシュワーヌ)たちとの戦いに乱入して高機動をかけたツケで、煌糸構造でも支えきれずに裂けた部分。

 そして食堂の端っこのテーブルを囲んで夕食を待っているのは、私とリーヴァに、(かな)(えんじゅ)

「あーあ、ここのご飯も食べ収めかぁ」

「明日からはノーザンベルクに乗るのよね。

 上手くやって行けるかしら」

「ティーエとリーヴァなら、大丈夫。

 それに私たちも一緒なの」

「……」

 艦長のカルロさんに頼み込んで船員たちの食事の時間を外す条件で、食堂を借り切っての女子会だ。

 颶錨(ジュモゥ)狩りで蜂魂の血族(ファン・コン)からお肉をもらってあったこともあって、食堂の人たちも船員さんたちも快く協力してくれた。

(えんじゅ)って無口だよね。

 琴従姉妹(こといとこ)たちとは正反対」

 集まってから一言も話さない(えんじゅ)に、(かな)と見比べながら話しかける。

 だけど彼女は目を細く伏せたまま右の指先で髪の毛をくるくると巻いただけ。その髪の毛から小さな青色の花がいくつも現れて開いて消えていく。

 彼女の髪は木の葉や花で飾られていて、それは実は飾り物ではなくて、血に宿る魂獣乃法(ジョウ・コン・ドゥ)が作り出しているんだって。

 ちなみにノーザンベルク十三世で初顔合わせの後に話をして、それを肯定する返事一言を聞き出すために1時間かかったくらいに無口。ちょっと困ってる。

九丹巫女(くにみこ)は物静かな人が多いの。芸母(マォイ)からそう聞いてるの。

 だけど、(えんじゅ)は話よりもずっと口数が少ないの」

 (かな)も調子が狂うみたいで、溜め息混じりにお茶をすすった。

「白や黒はうるさいくらいだもんね。ギャップがすごいよ」

「私は、気にならないけれど」

 どうやらリーヴァは(えんじゅ)の無口さが気にならないみたい。リーヴァ自身も物静かで大人しいからかな。

 そして当人は私たちの話を聞いているのかいないのか、伏せ気味の顔をこちらに向けてても声は無い。

 髪の毛の中からはらりはらり、桃色と薄紫の花が現れ落ちて消えた。

「うーん。

 ノーザンベルクに乗ってから苦労しそう。

 ねぇ、私たち勝手に呼び捨てにしてるけど、(えんじゅ)はそれで良いの?」

 何か話の糸口を作ろうと無理矢理捻り出したのは呼び方のこと。

 すると(えんじゅ)は、私の方を向いてほんの少しだけ頭を傾げながら、しっかりと頷いた。

 見慣れない木の葉と白と薄いピンクの花が溢れて消える。

「えっと、それって良いってこと?」

 もう一度頷く(えんじゅ)。今度は薄い赤と紫の花。首を少し傾げて頷く癖があるみたい。

「おい、ティーエ、リーヴァ、焼けたぞ!」

「はい、ありがとうございます!」

「取りに行きましょう」

 料理長の呼びかけで話は途切れ、私とリーヴァはすぐに立ち上がった。

「私も運ぶの」

「……」

 すぐに(かな)の声と席から立つ音。それを聞いて振り向くと、(えんじゅ)が一足遅れで、蔓草と濃い紫の花を頭に巡らせてから立ち上がる。

(うーん、なんだか他の人にやってもらうのに慣れてる感じもする。

 九丹巫女(くにみこ)って重要な立場らしいから、付き人がやってくれて当たり前なのかな)

 (えんじゅ)の意図を考えながら料理を待つ。

 だけど、その考えは山のように盛り付けられた焼いた肉、颶錨(ジュモゥ)の焼肉に吹き飛んだ。

「うわぁ! 美味しそう。

 料理長、こんなにたくさん、良いんですか?」

「もちろんだ。

 同じ船で一緒に飯を食ってきた仲間じゃねぇか。

 それにお前さんが稼いできてくれた蜂人の蜜閉じ肉なんだぞ。

 今出さなくていつ出すんだ?」

「おいティーエ、リーヴァ、トロイで野菜も山ほど買えたしピクルスもたっぷり漬け込めたんだ。

 お前の腹じゃ羽目を外しても気にする必要ねぇから、好きなだけ食ってけ!」

 料理長だけでなく他の人も、山盛りの野菜や普段はあまり作ることのない薄焼きのパンを、それぞれ大皿に山盛りで渡してくる。

「ちょ、こんなにたくさん食べられないです!」

「何言ってやがる、苦力(クーリー)は食べ逃すなんてないって言ってたじゃねぇか」

「それはそれ、お腹が大きいわけじゃないの!」

「私はこのふた皿を運んでおくわね」

「私はこれなの」

「……」

 料理長たちに揶揄われる私を他所に、リーヴァと(かな)はさっさと手早く料理を運んでった。

 何か釈然としないものを感じながら焼肉の皿を抱えると、(えんじゅ)が深緑の髪のあちこちに白と深みのある青の花びらを散らしながら立ち尽くしていた。

(やっぱりこういうのは慣れてないんだ)

「ねぇ、(えんじゅ)

 よかったらあのジョッキ、運んでくれない?」

 彼女の頭にパパッと白い花が咲いた。素早く頷き、ジョッキと水差しが並んだお盆のところに手を伸ばしてる。

(こういうのも慣れだもんね。

 私は白と黒に、それからメイヤーさんたちにも鍛えられたからなぁ)

 懐かしく思いながらテーブルに向かうと、

「おい嬢ちゃん、大丈夫か?

 重かったら無理すんな!」

 料理長の慌てた声。

 振り向けば(えんじゅ)がお盆を持ったまま、両手をプルプルさせて踏ん張ってる。

(弱っ!? 獣粧族(ハシュワーヌ)なのに?)

 私もお皿を抱えているから手が出せない。

 すぐにリーヴァがとんでった。

 頭に赤紫や黒い花を咲かせてる(えんじゅ)。斜めになってくお盆からリーヴァがジョッキを片手に2つずつ取り上げると、お盆が水平に戻る。(えんじゅ)の髪に紅色と薄桃の花が溢れて消えた。

「これは私が持って行くわ」

 ほっとした声のリーヴァが(えんじゅ)に声をかけて、テーブルに戻ってくる。

 (えんじゅ)も水差しを乗せたお盆を運んできて、おっかなびっくりな様子でテーブルに置く。

 それから、リーヴァに向けて頭を下げた。

 同時に彼女の頭を巡るように、白い花がいくつも、少し紅色混じりに咲いて消える。

 彼女の表情とかからもお礼のお辞儀だったとは思うけど、何かが引っかかる。

「ねえ、(えんじゅ)

 もしかして今の、『ありがとう』って意味?」

 念のために尋ねてみたら、少しほっぺたを赤らめてこくりと頷く(えんじゅ)。髪からは桃色と白と薄紫の花が溢れる。

「お礼なんて言われるようなことはしていないわ。

 気にしないで」

 リーヴァが遠慮がちに返すと、(えんじゅ)の横髪に蔓草が絡んで青紫の花を咲かせた。

(もしかしてこの子って……)

 そんな(えんじゅ)の振る舞いから、自分でも確かか疑わしい思い付きが湧く。

 湧いたんだけど、これは聞き始めたら長くなる。そしたらお肉が冷めちゃう。

 それは絶対に許せない。

「えーっと、冷めちゃうから、早く食べようよ。

 私、もうお腹が空いて限界」

 だからささっと話題を変えて席についた。

「そうね、せっかくの食事会なんだから、食べながらの方がいいわね」

颶錨(ジュモゥ)のお肉は美味しいの。

 ティーエもリーヴァもきっと驚くの」

「……」

 3人それぞれ席に着く。

 可愛らしく微笑む(かな)は、私たちが颶錨(ジュモゥ)の美味しさにどんな反応をするのか楽しみみたい。

「そう?

 話ばかり聞かされていたから、楽しみだね」

「ええ」

 リーヴァと笑い合ってからジョッキに手を伸ばす。

 食事会の始まりだ。


 あれこれ言うよりお肉。私は掛け声をかけるとジョッキを掲げる。

「それじゃ、始めよ。

 かんぱーい!」

 冷えたお茶を一口飲んで口と喉を潤して、真っ先にお肉に手を出した。

 私と同時に(かな)のフォークがお肉を突き刺す。

 リーヴァはフォークを持って待っていて、(えんじゅ)は出しかけた手を迷わせてる。

「早い者勝ちだよ?」

「こんなにあるのだから大丈夫でしょう」

 リーヴァのちょっと呆れた声を聴きながら、焼けたお肉に齧りついた。

(美味しい!)

 焼いた颶錨(ジュモゥ)の味は衝撃的だった。

 十分に火が通るまで焼いてから厚く切り分けられた肉は柔らかくて簡単に嚙み切れる程度に繊維質だった。脂の風味はあっさりしていて、溢れ出す肉汁の旨みはそれに反して濃厚。噛み締めるたびに口から喉まで、鶏の風味を濃縮したみたいな美味しさが溢れてくる。

(すっごく濃い目の白湯スープ)

 思い出が余計な茶々を入れてきた。その味の記憶は絶対要らない。今はこのお肉に集中させて。

 第一、これは焼肉だ。スープじゃない。

 焼きの入った表面のカリッとした触感も嚙み切るときの弾力も一緒になって、今まで体験したことのない美味しさを奏でてる。

 その調和を引き立てているのは、焦げ茶に焼かれた肉の一面。肉の旨みとほのかな塩気の中でカリッと感じるカラメルのような甘さと苦さが、蜂魂の血族(ファン・コン)の蜜で固めてあったことを程よく主張してる。

 これが旨みで圧倒されかけた舌をシャキッとさせて、味の渦から逃れることを許してくれない。

 それに加えて肉汁を使ったソースの加減がまた絶妙。料理長、よほど研究したみたい。

「こんなに美味しいの初めて食べた」

 思わず口から感想が漏れた。

まぉみーゃ(おいしい)!」

 呟き終えたところに(かな)の叫び。

 目を真ん丸にした琴従姉妹(こといとこ)は獲物を捕らえる猫のようにフォークを大皿に走らせ、お肉を3枚かっさらう。

 多分、さっきの私も同じように目をまん丸にしてたと思うし、味を頭の中で考え直したりしなかったら、(かな)より早く手を出してた。

 ところで、語盤(タイル)が翻訳してくれた(かな)の言葉は、実は白と黒との旅でも時々聞いたことがある。

 獣粧族(ハシュワーヌ)の言葉で美味しいという中でも一番おいしい時の言葉。

 (かな)は、あまりのおいしさに交易公用語を忘れてしまったらしい。

「この味付けは食べたことがないの! とっても美味しいの!」

 颶錨(ジュモゥ)の味を知っているはずの(かな)を驚かせたのは、ルンハオの料理人たちが持つ熟練の技だ。

 トロイの料理は素材の味を生かした、ある意味味気の薄い料理ばかりだから、ラテニアとホウシェンの影響を受けたこの船の味付けは想像できてなかったみたい。

(舌に合ったみたいで良かった。

 あ、(えんじゅ)は大丈夫かな?

 異文化の味だから、受け付けないかも)

 味の好みは人それぞれだと気付いて(えんじゅ)を見ると、彼女は不慣れなナイフとフォークで、ようやくお肉を口に運ぶところだった。

 小さめに切ったお肉を口に入れて、もぐもぐもぐ

 ぽぽぽぽぽん

 濃緑の髪の上に明るい黄色と桃色が混ざった花の冠が咲いた。お肉を噛みしめている間花が咲き続けて、飲み込んで、一呼吸置いて目線を上げて、

「美味しい」

 か細い声で伝えてくる。

「そうね、とても美味しいわ。

 焼き加減も味付けも素晴らしいわね」

 リーヴァが相槌を入れると、(えんじゅ)の頭にまたぽぽんと花が咲く。

(あー、やっぱりそうなんだ)

 (えんじゅ)の髪に現れる花や葉のタイミングとリズムを見て、私はさっきの思い付きを確信した。

(イカみたい)

 思い出がネットの知識を披露する。うーん、目で見える意思伝達ってことだけ似ているけれどね。

「ねぇ、(えんじゅ)

 もしかして頭に黄色と白の花を咲かしていたのって、『美味しい』って言ってたの?」

 確信を得たので聞いてみる。

 そう、お肉を食べたときの“ぽぽぽぽぽん”。あのリズムが、(かな)が叫んだ“まぉみーゃ”と同じだったのだ。

 (えんじゅ)が伏せていた瞼を少し開いた。髪と同じ深緑の神秘的な目が私を見つめる。

 そして、こくりと頷くと同時に、白い花が咲いて零れ落ちながら消えた。

「そっかぁ。

 九丹巫女(くにみこ)、ううん、仙樹の血族シィエンジュゥ・チェイって、そういう風に会話をしているんだね」

 再び頷きと白い花。

「それじゃぁ、私たちがわからなかっただけで、(えんじゅ)はずっと話していたんだ。

 だとすると(えんじゅ)って、お喋りが好きなんだね」

 初めて(えんじゅ)の口がほころんだ。

 何度も頷いて、そのたびに花が零れ落ちる。

 その様子に、私まで嬉しくなってきちゃった。

「花には詳しくないから難しいとは思うけど、(えんじゅ)の言葉も覚えるように頑張るね」

 テーブルの上に右手を差し出す。

 (えんじゅ)は私の手を両手でしっかりと握ると、ひときわ大きな花を咲かせてくれた。


「それで、(かな)はなんで(えんじゅ)の言葉を教えてくれなかったの? (えんじゅ)が言ってることってわかるの?」

 私は颶錨(ジュモゥ)の焼肉をちぎった葉野菜で巻きながら、(かな)に尋ねた。少し冷たい口調になったのは、この可愛らしい猫人族がどれほど悪戯好きなのか、嫌というほど知ってるから。

 琴従姉妹(こといとこ)が同行者のことを知らされてないのは不自然だもの、きっと何か企んでいたに違いない。

「ザングン様とジュンハオ様から、ティーエなら必ず気付くから、いつ気付くか、気付いてどうするかを見極めろって言われていたの」

 少し唇を尖らせ答えた(かな)は、話し終えてから横を向いてお茶を啜った。

(悪戯じゃなかったの?

 悪いことしちゃったかな)

「そ、そうなんだ。

 あの2人、何を考えてたんだろうね」

「知らない」

 この場にいないお偉方の話にしようとしたけど、(かな)の返事が素っ気ない。

 私が疑っていたことはバレバレみたい。

「私、(かな)が揶揄うネタにしてるのかと思っちゃってた。ごめんね」

 素直に謝りながら、葉っぱで巻いた焼肉を差し出した。

「こういう食べ方、したことある?

 美味しいよ?」

 お詫びの品を差し出すと、(かな)はにこりとご機嫌を直した。

「漬けたお菜で巻いたおむすびならあるけれど、お肉を巻いたことは無いの。美味しそうなの」

 葉巻肉を受け取ってしゃくっとかぶりつく。すぐにお目目がまんまるになった。

「美味しいの! ティーエ、もっと巻いて!」

 なんだか覚えのある流れになった。確かあの時は、メイヤーさんが気に入っちゃったんだよね。

 その懐かしさを感じながら、私は葉っぱを半分にちぎる。

「いいよ、たくさん作ってあげる。

 (えんじゅ)も食べる?」

 リクエストに答えつつ(えんじゅ)にも聞いてみたら、桃色と白と黄色の花を散らしながら頷いた。

「じゃあ、これは(えんじゅ)に」

「ずるい! 私が先にお願いしたの!」

「え? さっき(かな)が食べてるとき、(えんじゅ)の頭に花が咲いてたよ。

 それに、とっても食べたそうな顔してたよね。あれは“私も食べたい”だったんじゃない?

 はい」

 自分でも工夫してクアンさんやカークさんにも鍛えられた私の視野を舐めてはいけない。しっかり見えてたからね。

 ということで(かな)の反論は黙殺。(えんじゅ)に葉巻肉を手渡した。

 悔しそうな(かな)にはすぐに作ると言って宥めて、次の葉っぱを手に取りながら、小さな口を開けた(えんじゅ)を、視界の端で眺める。

 彼女の頭にぽぽぽぽぽん、と花が咲いた。

 それからしっかり噛み締めて飲み込んで、ちょっと首を傾げた(えんじゅ)

 私も巻くわ、と手を伸ばしたリーヴァの次に、大きな葉野菜を3枚掴んでいく。

「美味しかったよね?

 何か気になった?」

 さっき咲いた花は、間違いなく“美味しい”だった。だけど今は少し悩んでる感じ。

 それが気になって尋ねてみたら、(えんじゅ)は頭に花を咲かせて眉間に皺を寄せて悩んで、それから右手の人差し指を口に当てた。

「内緒?」

 (えんじゅ)が頷く。そして周りから見えないように、テーブルの下に葉っぱを隠した。

 そして再びテーブルの上に差し出された彼女の両手の上にあったのは、色んな種類の葉っぱや木の実。

 隠し持っていた訳じゃない。じゃあ、どこから?

(あ、あらゆる草木を操るって、まさか)

 驚いて声を出しそうになって口を押さえた。

 その間に(えんじゅ)は葉野菜に焼肉と彼女が出した葉っぱを乗せて巻いて、はにかんだ微笑みと一緒に差し出してくる。

「た、食べてもだ……良いの?」

 誓言の珠薬を思い出してしまったけど、大丈夫? と言うのはなんとか堪えた。

 頷く(えんじゅ)

 受け取って、葉巻肉を齧る。

 さっきと違う爽やかな香りが、葉野菜の水気に薄れたお肉の味を呼び覚ました。

 (えんじゅ)が付け加えたのは、今まで食べたことのない香草だった。

「うっわ、美味し! リーヴァも食べてみて!」

「ええ、楽しそうね」

「ティーエ、私にも! もう、自分でやるの!」

 香草や木の実を変えながら葉巻肉を楽しんでると、見る間に間にお肉が減っていく。

(そっか、これが(えんじゅ)の力。

 あの珠薬を作ったっていうのも、納得だわ)

 お腹がいっぱいになって一息ついて、私は(えんじゅ)の力を、そのとんでもなさを理解した。

 生物の煌糸構造は緻密で強靭。どんな法術でも干渉はほとんど不可能。

 彼女はその常識を目の前で、葉っぱを千切るように破ってみせた。

(船員さんに隠したのも納得。でも、私たちには教えてくれたんだね)

 そんな出来事もどこ吹く風と、食事もほとんど終えてくつろぐみんな。

(悪い子じゃなさそうだから、大丈夫かな)

 みんなとお茶をすする(えんじゅ)

 彼女の楽しそうな表情が、さっきまで心の中にあった色々な懸念を消していった。


もし面白いと感じたり続きが楽しみと思ったりしていただけましたら、お手数でも評価などいただければ幸いです。

たぶん、知命を超えたおじいさんが2分くらい小躍りして喜びます。

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