11 学生といえば
学校といえば大事なものがある。
それは…青春? 恋愛? 違う。勉強だ。つまり何が言いたいのかというと…。
「来週からテストとか無理すぎるー!」
そう、テストなのだ…。紙はまだいい。頑張ればなんとかなるだろう。しかし、問題は実技。魔法にもテストがある。そのための学園なのだから仕方ないのだけど、無理だ。
「はぁ…」
「どうしたの?」
「問題とかより遊ぼう!」
「そうだよ。勉強より僕とお茶しよう」
俺がこんなにも悩みながら勉強をしているのに、双子は遊んでるし、シュヴァも余裕そうだ。
「テスト勉強しなくていいのか?」
「「「テスト?」」」
不思議そうな顔をしないでほしい。
「来週だぞ」
「「僕らこれでも学年1位だよ?」」
でた! 特に何もしなくても頭いいやつ。身内にいるとは…腹立つ。双子は今更何を勉強するの?と言わんばかりの表情をしている。
「シュヴァもしないのか?」
「めんどくさいけど、ヴァイスがするならする」
嫌味な双子よりシュヴァの方がいいな思い、一緒に勉強する事にした。するとスラスラ問題を解いていく。
「うわっ。はや」
「何が?」
「スラスラ解くなぁって」
「だって簡単」
…でた。嫌味な奴パート2。俺の周りはこんなのばかりなのだろうか。
「やってられない」
俺は気分転換に街に出る事にした。こいつらの中でやっても腹立つだけで一切頭にはいって来ない。
「出かける!」
「俺もいく」
「絶対に来るな…来たら絶交だ!」
シュヴァにそう言い1人で外出する。学園を出て小さな鍛冶屋に足を運ぶ。
「ドワじぃー」
「おぉ!ヴァイス! 久しぶりじゃのう」
「おう!」
寮になってからドワじぃにはあまり会いに来ていなかった。
「どうしたのじゃ? 学園は」
「テスト勉強の気分転換だよ」
俺は経緯を話した。後、実技が駄目そうな事も。
「ふむ…つまり魔法のテストがやばいんじゃな?」
「そうなんだよなぁ…」
「あれはどうしたのじゃ?」
「あれ?」
なんの事だろう?
「魔力を分けてもらえるとかなんとか言っとったじゃろ。シュヴァがケチで貸してくれないとの」
あーそれか。その手は確かに考えなかったわけではない。しかし、なんだか…。
「その手は最終手段。なんか、悔しいじゃん」
そう、シュヴァがいないと何もできないみたいなのは悔しい。俺の一人の力でなんとかしたいんだ。初テストだし。
「お年頃ってやつじゃの」
「ちげぇよ」
シュヴァは俺の事をパートナーと言うが、俺としては出来の悪い弟の様に感じているので、弟にかっこ悪いとこ見せたくない兄心と言うか…。そんな感じだ。
「その実技は魔力コントロールのテストなのじゃろ?」
「あぁ」
「魔力がない主は別のテストに変えてもらうのはどうじゃ?」
「別の?」
「例えばの…ゴニョゴニョ」
流石ドワじぃ! 困ったときはやっぱり頼りになる。早速先生に直談判してこよう。
「言ってくる!」
「成功したら報酬持ってくるのじゃぞ」
がめついかよ。まぁ、弓の上達も暴露の時もドワじぃのおかげでなんとかなってるし、今回もうまく行ったらお礼ぐらい安いものなのかもしれない。
「りんごでいいならな!」
「それはもう飽きたのじゃ!」
俺はドワじぃに、ニッと笑顔と手をふってメガローネ先生の元に走った。




