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10 パーティー

 結局、会場にはシュヴァと双子と4人で入る事にした。入場した途端会場がざわめき出す。


「きゃー双子様よ」


「シュヴァ様もかっこいいわ」


 相変わらず人気なようで、俺も人気者になった気分だった。


「でも、本当はあの子が弟君でしょう?」


「似合わないわ」


「一緒にいることすらおこがましくてよ」


 …気分は一瞬で終わった。マリ達は俺等より先に入ったらしく、もう業務に戻っている。エスコート姿見たかったのに残念だ。


 そして…いざダンスの時間が来た。もちろん踊れる雰囲気ではない。俺以外は普通に踊ったりしている。


「あれが…」


「気味悪いわ」


「来ないでくれよ」


 周りの目が冷たい。料理やグラスを取りに行ったときは、蔑んだ目で見られた。最近では堂々と戦ってくる女の子達ばかりですっかり忘れていたが、これが俺に対する正しい反応だろう。


「どうしたものかな…」


「何がー?」


 シュヴァが俺の悩みなど知らないと言わんばかりに首を傾げている。こいつも貴族として最底辺だから上げなくてはならないのでは…?

本当の貴族ではないからいいのかもしれないけど、納得行かない。


 シュヴァのずっと後ろの方にいる、メガローネ先生と目が合う。2本の指を目に当てると、こっちに見せてくる。


…ひぃ。あれは、見てるぞって、意味だろう。


 早急に誰か見つけなければ…女の子が良いのでシュヴァも遠くで断りきれずに踊りながらこっちを見てにこやかに合図してくる双子も却下だ。


 ふと、リディアとして浸透しているツバキが目に止まった。ツバキはマローネと軽やかに踊っている。その姿は、奇麗だった。ピンク色のふわふわの髪が踊りに合わせて揺れていて、可愛い。表情も楽しそうだった。


 俺だけではなく何人かは2人に見惚れているようだった。


 1曲終ると拍手の嵐である。


「凄いなぁ…」


 俺よりリディアらしい。ツバキだって最初は髪の色を言われていた。俺の方がやばいからすぐに言われなくなったと言っていたが、きっとツバキの品格のおかげだと俺は思う。すなわち、俺の扱いが()()なのは俺の品格の問題なのだろう。


 俺もツバキに負けないように頑張ろう。そう決めた直後に、1曲終わったツバキがこちらに来た。


「ヴァイス。1曲踊ってくれるかしら?」


 本当に良くできた友達である。きっと踊れない俺を見ていて、踊りに来てくれたのだろう。


「もちろんです姉様」


 俺はツバキの腰を持ち踊る。それこそ、何十回、何百と練習をしていたのでツバキ相手だとスムーズだった。


 それでも、足を踏まないように必死で踊っていた。だから、気が付かなかったが、皆踊りが止まって、俺らを見ていた。俺の髪は光に当たって輝き、まるで虹のように見る者の加減で何色にも変っている。その様子に皆見惚れていて、すごい手のひら返しなのだが、密やかにファンができる。そんな事、俺には全くわからないことで、気づいたツバキはふふっと誇らしくて笑う。


「どうかした?」


 不思議に思った俺が聞いてもツバキは首を降って笑うだけだった。どうしたのだろうか?


「何でもありませんわ。今更気づいても遅くて、さぞ悔しいでしょうね」


 なんの事だろう? ツバキも時々謎だ。踊りの最後でペコッとお辞儀をする。ツバキと俺の髪が触れると、俺の髪はツバキの髪を反射し、同じピンクに一瞬なったが、離れると戻った。


 シュヴァとずっとくっつけば黒になるのかな…?


先生を見ると手でOKサインをしていた。

よっしゃ! 俺は思わずガッツポーズをする。


「次は俺」


「うぐっ」


 シュヴァに後ろからのしかかられる。『パクパクパク(1回だけだから)』と口パクでツバキに何か行ったのか、ツバキの表情が一瞬固まる。


「承知しておりますわ」


 何を承知したのだろう? なんにせよ俺の答えは1つだ。


「もちろん、お断わりします」


 俺は、しっかりと意思表示した。しかし、相手はシュヴァだ。もちろん無理やり俺の腰に手を回し、踊り始める。


 やっぱり俺が女子パート? 解せぬ。


 そんな俺を横目にシュヴァは楽しそうだった。ダンスが好きなら女子と踊ればいいのに。シュヴァなら足踏んでもいいやと思い、周りを見ると嫉妬の目をした女子が沢山いる。


 怖っ。1曲終わったら退散しよう。


 俺の決意など今までに無駄にならない事あったか? とでも言うように、1曲終われば双子が来た。


「シュヴァと踊ったなら」


「僕達とも踊れるね?」


 女子パートの第2弾の始まりである…。


「だめ! ヴァイスは俺の」


「何だと? 僕のだよ」


「2人とも落ち着きなさい。僕のに決まっているだろう?」


 いつもの喧嘩が始まりだす。この取り合いの騒ぎで、周りはざわざしだすし、女子の目は更に怖い。オロオロと半泣きになりながら先生を見ると、手で『(バツ)』を作っていた…。


 終わった…。


「最悪だーー!」


 俺は思わず叫ぶ。喧嘩は止まったが、余計に周りの目が痛い。これは非常にまずいことがわかる。もう一度先生を見ると、頭を抱え降っていた…。


 こうしてパーティーは俺の単位不信と共に幕をおろしたのだった。


最近の成果→レベルアップなし。貴族ギルドF+に昇格

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