ルイ編 0年
僕が人を好きになるなんてあるわけ無いと思っていた。妹や弟を拾ったのは自分と重なって哀れに思ったから拾った。その時から、妹と弟が大好きな兄を演じているが、どこか心は冷めていた…あの子に会うまでは。
ヴァイスを初めて見たときのを事を、今でも覚えている。銀色に輝く髪色は日に当たって少し紫に輝いており、綺麗だと思った。それを堂々と晒す姿も綺麗で、ひと目で心が奪われた。
僕は今まで自分より薄い色の髪を見たことがなかった。それは、僕が拾ってきた弟や妹も含めてだ。だから、妹や弟に少しは嫉妬していたんだと思うし、羨ましい気持ちもあったのだろう。
それが、目の前にいる少年は僕よりも薄かった。しかも、僕がフードで隠しているのに対し、少年は堂々とその長い髪を見てくれと言わんばかりに、ふぁさとなびかせたのだ。気にならないほうが嘘だろう。
少年はしばらくすると、1人の男性に絡まれ、殴られそうになる…僕は気がつくと、間に入っていた。それから僕と少年…嫌、少女との縁が結ばれた。
少女は不思議な子供だった。名前も無い、この世界の常識も知らない。そこで僕が、ヴァイスと名前をつけると嬉しそうに笑った。ドキッとした。まだ、その時は少年だと思っていたので、それは憧れの人に認めてもらえた様な嬉しさで、今まで認めてもらえなかった僕はその笑顔に惹かれたんだと思う。
少年が実は少女だと知ったのは5日後の雨の日である。豪華そうなドレスを着て、雨に濡れながら家に来た。その時は親の趣味と言っていたが、僕にはわかっていた。シルヴィア家に僕と同じような髪色の子供がいると本当の父から聞いていたからである。今年の貴族は僕も含めて、出来損ないが多いと…。
わかったとき、驚愕した。どうして、同じ様な境遇でここまで明るく要られるのだろうと。それからは気になって気になって、シルヴィア家がヴァイスを探していると知っても黙って、隠していた。後ろめたかったがそれだけ一緒にいたかったのだ。その頃にはもう、恋をしていたのだと思う。
だから危ない事をさせたくないのに剣術を覚えたいと言ってきた。断ると次は弓で…きりがないので、買い物に行って、諦めさせようと思った。だって女の子に武器は持てないから。すると、勘違いした店主がヴァイスに弓を作ってしまった。正直余計な事をっと思ったが、その後ヴァイスが頭を撫でてくれた時はとても嬉しかったのでチャラにした。
ヴァイスに王子様だなと言われた時はドキッとした。バレたのかと。僕の素性が、期待はずれと言われ、らしくないと言われたあの頃がバレたのかと思って苦しくなった。しかし、その後にキラキラしてると言われ、嬉しくなった。僕の髪色を卑下する人はいても、褒める人間はいなかったからだ。
嬉しくて、心が暖かくなった。このまま一緒に暮らせたらどんなに良いだろうと。
しかし、ヴァイスは帰る時が来る。父親が迎えに来たのだ。思わず睨んでしまったのは秘密である。
その数日後にヴァイスがツバキを影武者にしたくて家に来たときは体が震えるほど喜んだ。表面上はツバキの兄として、振る舞ったが、心の中では一緒に暮らせるのが嬉しくてたまらなかった。
それからしばらくは、楽しかった。ヴァイスの従者として、そばにいられる。尽くせる事がすごく嬉しくて、日々が楽しかった。しばらくして、ヴァイスが悩んでいたので、背中を押すと、皆に素性を明かすことが決まった。表面上は冷静に対処したが、背中を押したことを後悔した。
本当は僕だけが知っていたかった。それから、ヴァイスの秘密を聞いて、ツバキの兄としての態度として、接したせいで話がこじれた。
その日の夜は後悔と朝どうやって接しようか心の中はそればかりがせめぎ合った。
それから色々とあり、少しは進展したと思う。
ヴァイスは男として生きたいようだけど、僕は恋をしてしまった。
それは優しいものではなく、独占欲の塊で、もし、ヴァイスが他の人に恋をしたら僕は迷わず、優しいルイの仮面を脱ぎ捨てて、ヴァイスを何処かへ連れ去るだろう。それが、男だろうと女だろうと、ヴァイスが他の人を好きになるのは許せそうにない。例え、妹でも、弟でもだ。
そんな日が来ない事を祈りながら、あるいは僕に恋してくれる事を祈りながら今日もヴァイスのそばにいる。
とりあえずは、シュヴァとドワじぃと双子が1番邪魔だが、今は仲良くしといてやろう。
お久しぶりです
二章完結まで時間がかかりこちらの投稿を全然してませんでしたが、やっと終わりましたので連載再開します
今日は1.5章の投稿が後4話ほどあります(1時間ごとに投稿します)




