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3 今後の方針

いよいよ今週末に書籍版発売……どきどきです! 3巻、4巻とつながればいいなぁ(*´∀`*)

「おのおの多忙のところすまない。前置きはなしで本題に入ろう──帝国との戦いは新たな局面を迎える」


 総隊長は開口一番、そう言った。


「王はこの戦争を早期終結に向かわせようと考えておられる。無論、我々の勝利という形でな」


 戦争の、早期終結。

 その言葉に隊長たちがざわめく。


 俺は無言で総隊長を見据えていた。


 帝国軍によって村を滅ぼされたときのことを思い返す。

 あのときの苦しみを、悲しみを、絶望を。


「単騎で一軍を退けられるほどの強さを得たマリウス隊長、そして聖剣によって超人的な戦闘力を得たリーザ隊長。この二人を軸に、攻勢に出るときが来たのだ」

「帝国への攻勢……ですか」


 うなる俺。


「帝国に決戦を仕掛ける、ということでしょうか?」

「ああ、決戦と勝利──簡単な道のりではないが、俺たちが目指す場所はそこだ」


 俺の問いに総隊長がうなずいた。


「君には期待しているぞ、マリウス隊長」

「あらゆる敵を蹴散らしてご覧に入れましょう。この私が」


 俺は全員に宣言するように言った。


 いや、宣言そのものだった。


 帝国を打倒するために戦ってきた。

 帝国から虐げられる人がいなくなるように……俺のような思いをする者が出てこないように、と思って戦ってきた。


 帝国軍は俺が薙ぎ払う──。

 村のみんなの仇を取る──。


 初めて【経験値ボーナス】の力を得たときの想いを、ようやく果たせるときが来たんだ。


「無論、私もその力になるつもりです」


 リーザが言った。


「ふふ、あたしたちだって思いは同じよ。あなたたちほどの力はないけどね」

「我ら聖竜騎士団、ミランシアのための剣となり、盾となる所存ですわ」


 ドロテアとジュリエッタが口々に言った。


「頼もしいな。マリウス、リーザ両隊長だけでなく、他の隊長もそれぞれ一騎当千の強者だ。大いに活躍してもらいたい。無論、この俺も帝国打倒のために存分に剣を振るう」


 朗々たる声で告げる総隊長。


「そして、さらなる戦力増強と奴らの最大戦力である魔神に対抗するためには、他の聖剣奪取が最重要任務となる」


 二つ目の話題に移った。


「聖剣アストライアはすでにリーザ隊長が所持しているが、伝説によれば残る聖剣は六本。そのうちの一本は、先日の魔神ヅェルセイルが探し出そうとしていた」

「聖剣オーディン、と奴は言っていました」


 俺が報告する。


 この世界のどこかに存在するという七本の聖剣。

 いにしえに魔神王を封じ、それぞれが光、風、炎、虹、星、竜、虚無──七つの属性に分かれた【光】の剣。


「私の所持する聖剣アストライアを使って、探知のようなことができないか試してみましたが……場所を特定することはできませんでした」


 と、リーザ。


「聖剣同士はなんらかの反応を起こすのかしら?」

「ある程度距離が近いと共鳴するようだ」


 ドロテアの問いにリーザが答える。

 プライベートでは、リーザはドロテアに敬語を使っているようだが、こういう公式の場では同等の口を利くようだ。


「アストライアはわずかに共鳴していたが、詳しい位置を突き止めることはできなかった。何度かやってみたのだが……」

「ふむ。実は、俺も王国付きの魔法使いや神官たちに探知を依頼したが、同じく場所の特定はできなかった」


 と、総隊長。


「ただ、先日の魔神は大まかな場所を突き止めていた可能性はある。したがって、奴が出現したポイントを中心に探ってみようと考えている。その際には、聖剣を持つリーザ隊長も出向いてもらいたい」

「承知いたしました」

「他には、ルーク隊長とアルトゥーレ隊長にも同行を頼む」


 総隊長が言った。


「他の隊長にも何名かは、三本目から七本目までの聖剣の行方を追うため、任務についてもらうためだ。そちらは追って指示する」

「あの、私は?」


 俺が進み出た。


「マリウス隊長は最前線に出てもらいたい。特に重要度の高い戦線を回り、奴らを蹴散らしてくれ」


 総隊長が俺を見つめた。


「単騎で戦局をひっくり返し得る、君という戦力をできるだけ有効に活用したい」


 どこか冷やかに感じる視線。

 たぶんそれは、俺のことをチェスの駒のように見ている視線なんだろう。


 王国対帝国という『盤面』で最善手を打つために、俺という駒をどう打つか──。

 総隊長はそんなふうに考えているのかもしれない。


 もっとも、それに文句はない。


 戦略や戦術を考えるのは、得手じゃない。

 道を示してくれるなら、俺はそれに沿って戦うだけだ。


 立ちはだかる帝国の者すべてを薙ぎ払って──。

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