9 戦線復帰
「治癒スキルで傷の手当てをしてもらった。戦線復帰だ」
俺はリーザたちに言った。
「後は俺に任せてくれ」
魔血操兵たちを見据える。
俺は奴らに向かって突進した。
剣を振り回すものの、魔血操兵たちもなかなかの強さだ。
簡単には斬られてくれない。
逆に反撃を受けた俺はバランスを崩して、その場に倒れてしまった。
そこへ曲刀を掲げた魔血操兵たちが殺到する。
「だ、駄目だ、強すぎる……」
うめく俺。
「はっ、大見得切って出てきた割に、みじめだなぁ!」
ヅェルセイルが嘲笑した。
「さあ、じわじわと殺してやれ、お前たち!」
魔血操兵たちがいっせいに曲刀を掲げた。
──よし、一か所に集まったな。
「なんてな! くらえ、【カラミティボルテックス】!」
事前にチャージしていた闘気を一気に解放する。
隠し持ったクロスボウから放った矢が、迫りくる魔血操兵を十体まとめて吹っ飛ばした。
もちろん、さっき崩れ落ちたのは演技である。
魔血操兵たちを引き付けるために一芝居討ったのだ。
おかげで【カラミティボルテックス】を使って一網打尽にすることができた。
『魔血操兵×10の戦闘に勝利、経験値35000を取得しました』
『スキル効果により経験値35000000として取得されます』
『総合経験値が182114000→217114000になりました』
『術者のレベルが220→234に上がりました』
『次のレベルまでの必要経験値は残り1953000です』
そして──奴らの経験値が一気に手に入った。
力が、レベルが、跳ね上がる。
どうやら一体につきレベルが1以上も上がっているようだ。
これは──逆転の一手になりうるか?
レベルが高いほど、必要な経験値も多くなる。
それを考えても、100体すべてを倒せば、俺のレベルも100……とまではいかなくても、60から80くらいは上がるかもしれない。
単純計算で約280から300程度。
ヅェルセイルはレベル280ほどだと言っていたから、互角かそれ以上の力関係へと逆転するだろう。
「次──【インパルスブレード】!」
手近の魔血操兵たちを衝撃波で吹き飛ばした。
さらにレベルが上がる。
「な、何、まさかお前──」
ヅェルセイルがハッとした顔になった。
さすがに気づいたか。
俺が備えたEXスキル【経験値1000倍ボーナス】の存在に。
だが気づいたところでもう遅い。
その前に経験値を片っ端から回収する!
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