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7 王都へ

日間ランキングに続き、週間ハイファンタジーランキングでも3位に入っていました! ありがとうございます!

 戦いの後、俺はリーザの元に赴いた。


「相談があるんだが……リーザ」

「ん、なんだ?」

「このまま騎士団に残りたいんだ、俺」

「それは大歓迎だ。今回の戦功は大きいし、少なくとも上位の席次に入れるだろう」


 と、リーザ。


「席次は興味がない。俺はただ、もっと多くの帝国兵を倒したい。殺したい。殺された人たちの無念を晴らし、戦争を終わらせるために」

「……まあ、あまり気負いすぎるな」


 リーザが柔らかな微笑を浮かべ、


「個人の力で戦争を終わらせることなど、普通はできないぞ」

「普通じゃなければできるんだろ?」

「マリウス……?」

「俺が、戦争を終わらせるような英雄になってやるよ。帝国兵を殺して、殺して、殺しまくって、な」


 ──というわけで、俺はリーザたち二番隊とともに王都へ向かうことになった。


 そこで正式に騎士団の一員として認定されるだろう。


 帝国との更なる戦いに向けて──。

 俺の闘志は、ますます燃えていた。




 王都にやって来た俺は、正式にミランシア王国聖竜騎士団二番隊に加入することになった。


 聖竜騎士団は王国最強の精鋭軍団であり、本来なら厳正な審査があるそうだ。

 高給と名誉を同時に得られる職だけあって、競争率も高い。


 が、俺の場合は拍子抜けするほどあっさりと認められた。


『魔獣と黒の猛将を単独で打ち倒した』という戦功がかなり効いたらしい。


 リーザの話によれば、一足飛びに隊長や副隊長に──という話まで出たらしい。

 まあ、隊長クラスなんて柄じゃないし、俺は今の待遇で十分だ。


 農夫時代と比べると、収入は軽く十倍以上はあるだろう。


 それよりも何よりも。

 早く──帝国の奴らと戦いたい。




 数日後、俺は二番隊の一員として次の戦場に派遣された。


 現在もミランシアの各地でガイアスの侵攻は続いている。

 その迎撃に聖竜騎士団を始め、王国の各騎士団が戦っている状況だ。


 今回の戦場は山のふもとに広がる荒野地帯だった。

 砂煙を上げつつ、騎士と騎士が、歩兵と歩兵がぶつかりあい、両軍から矢が飛び交う。

 乱戦である。


「じゃあ、さっそく行くか!」


 俺は鎧姿で気勢を上げた。


 剣は腰に下げ、盾も背負ったまま。

 俺の現状の能力だと、この方が戦いやすい。


「マリウス、あまり独断で先行しないでくれよ」

「では、隊長。許可をいただけますか?」


 俺はリーザに一礼した。


 初めて出会ったときはタメ口で話していたこともあったが、今は部下として彼女には敬語で話すようにしている。

 もし生きていたら、タックにも敬語で話していただろうな……。


「まず私が敵陣の中央を崩します」

「──分かった、許可しよう。ただし、無茶はするなよ」


 俺の言葉に、リーザは軽く苦笑した。

 他の騎士なら滅茶苦茶な戦い方だ。

 だけど、彼女は俺の戦闘能力を目にしているから許可をくれたらしい。


「お任せを」


 俺はうなずき、帝国軍に向き直った。


 ふうっ、と息をつき、脳裏にメルやアルマ、トレミーの顔を思い浮かべる。

 犠牲になった村人たちの姿を思い浮かべる。


 お前たちの弔いのため。

 そして、この国に同じ悲しみをこれ以上広げないために。


 俺は──戦う。


 魔獣や猛将との戦いでレベルアップを繰り返した俺にとって、今や帝国騎士など数十数百集まろうとも、物の数ではなかった。

【ソニックフィスト】を始めとした格闘スキルで片っ端から殴り殺す。


 たちまち、俺の周囲には敵の肉と骨と鎧の残骸が混じりあった屍が積み重ねられた。


「え、ええい、射殺せ!」


 遠方から大量の矢群が飛んでくる。

 近接戦闘ではとても敵わないと見て、射殺すことにしたのか。

 だけど──、


「見えているぞ。全部な」


 レベルアップして身体能力が上がれば、反射神経や動体視力などもそれに比して上昇する。

 今の俺は、数百の矢も簡単に見極めて回避できるレベルに達していた。


 いちおう保険として【ガードⅠ】のスキルで防御しつつ、ほとんどを回避して突進する。

 帝国軍の前衛を突っ切り、一気に後衛がいる場所まで到達した。


「ひ、ひいっ、止められない──」

「く、来るなぁっ……!」


 近接能力の低い弓兵たちを、俺は容赦なく殴り殺した。


 結局、俺が敵陣中央を壊滅させたことで、戦いは一方的な流れになり、ほどなくして二番隊は帝国の部隊を退けたのだった。




 その後も、戦いの日々は続いた。

 時折、休みを挟みつつ、各地の戦線に派遣される日々。


 そのすべての戦いで、俺はスキルを存分に使い、暴れ回った。


 殺せば殺すほどに俺のレベルは上がり、ますます強くなる。

 そして、さらに多くの帝国兵や騎士を殺す。


 数度の戦いを経て、俺のレベルは78まで上昇した。


 やがて──俺が王都に来てから一か月が経った。


 あっという間の一月だった。

 戦って、殺し、また別の場所に戦って、殺し。


 気晴らしに飲み屋に行ったり、娼館で女を抱いたりもしたが、そんな日はせいぜい一、二日程度。

 あとは戦うか休息か、という日々だった。


 きっと、これからもこんな日々が続くんだろう。


 そう思っていた矢先、俺に唐突な知らせがもたらされた。


 騎士団からの書状だ。

 その内容は──。




『二番隊騎士マリウス・ファーマを、新設される聖竜騎士団十二番隊の隊長に任ず』

次回から第2章「十二番隊」になります。明日投稿予定です。



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― 新着の感想 ―
[一言] やる事はやるんですねw ちょっと笑った 女性に押し倒されるまでは復讐一筋ストイック路線だと思っていたんで
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