表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/144

5 破壊の渦

「【インパルスブレード】!」


 俺が放った斬撃衝撃波は、双子の魔剣士を直撃した。


 まばゆい閃光が、弾ける、

 すさまじい轟音が、響く、


 彼らは、無数の肉片と化して吹き飛んだ。

 ごろり、と二人の生首が地面に転がる。


「無駄だよ」


 だが、一瞬後には、元の姿に戻って俺の前に立っていた。


 まるで時間でも巻き戻ったかのような、超速の再生能力。

 体には傷一つなく、武装には亀裂や焦げすらない。


 完全に元通りだ。


「粉々に吹き飛ばしても再生できるのか」


 俺はわずかに眉を寄せた。


「頭さえ、無事ならね」


 双子が笑う。


 やはり、頭部を一撃で破壊するしかないか。


 しかし【インパルスブレード】でさえ、頭部だけは傷一つつけられなかった。


「さすがに魔剣のスキルだけあって、なかなか硬いな」


 俺は、ふうっ、と息を吐き出した。


 さて、どう攻略するか──。


 手持ちの最強スキル【破軍竜滅斬】ならさすがに破壊できるだろうが、あれはすでに聖剣探索の際に使ってしまった。

 クールタイムがあるから、明日になるまで使用不可能だ。

 それ以外の手持ちスキルで、どうにかするしかない。


「──あれ、いってみるか」


 ふと思いだす。


 聖剣探索の際、トレント群を倒した経験値で、俺のレベルはすでに177に達している。

 新たに覚えたスキルに、ちょうど使えそうなものがあったのだ。


 中距離射撃スキル【カラミティボルテックス】


 クルスが得意とする【バーストボルテックス】の上位スキルである。


 発動までに三分間、闘気(プラナ)溜め(チャージ)が必要になるため、その時間を稼ぐ必要があるが──。


 破壊力だけなら【インパルスブレード】の優に十倍。

 レベル177の俺が放てば、その威力は絶大なものになるはずだ。


「厄介な相手だ。だからこそ──ここで確実に始末する」


 俺は腰の後ろに下げた予備の武器、小型のクロスボウを取り出した。


「ふん、射撃系のスキルでも使う気かい?」

「剣だろうと射撃だろうと、僕らの防御は破れない」


 双子剣士は余裕たっぷりだ。


「【石化】!」


 今度は彼らから攻撃してきた。

 だが、見え見えの攻撃である。


 俺はあらかじめ、それを読んでいた。


「【ディフェンダー】!」


 防御スキルであっさりと【石化】を弾く。


「そちらの防御も簡単には破れないか……」


 つぶやく双子騎士。

 と──、


「ん、ぐ……!?」


 彼らの表情が、ふいにこわばる。


 ん、なんだ……!?

 訝しむ俺の前で、


「ごふっ……」


 突然、双子が血を吐いた。


「これは……!? ぐっ、もう始まったの……か……」

「話に聞いてはいたけど……ぐうう……か、体への反動がここまで……」


 次の瞬間、彼らの全身から血が噴き出した。


「魔剣は使用者を激しく蝕む、と聞いたことがあります」


 後方で控えるルークが俺に言った。


「こいつらに、その反動が出てきたのでは?」

「なるほど……」


 俺は彼らに視線を戻す。


「ぐう……うう……」


 立ち上がる力も失せつつあるのか、二人はその場にうずくまった。


 苦しそうだ。

 同情を誘うほどに。


 だが──だからといって見逃すという選択肢はあり得ない。


 こいつらは帝国の騎士。

 俺の、敵だ。


「敵は、殺す」


 それだけだ。


「【カラミティボルテックス】──チャージスタート」


 俺の全身から闘気のオーラが吹き上がる。


 チャージに必要な時間は三分。

 今の双子剣士にそれを妨害する力はあるまい。


 あっという間に三分が経ち、俺はクロスボウを彼らに向けた。


「ぐっ……うう……」


 うずくまったまま、こちらを見据える双子。

 その目には恐怖の色が浮かんでいた。


「お前たちの負けだ」


 俺は冷ややかに告げた。


「まだだ……!」

「僕らは、ラガッハ将軍のために……!」


 恐怖に震えながら、彼らはなおも俺をにらみつける。

 力が入らないはずの体で、必死に立ち上がろうとする。


 こいつらにも、譲れない理由があるんだろう。

 誰かのために、あるいは何かのために──。


 戦う理由が、あるんだろう。


「だから──なんだっていうんだ」


 俺は容赦なく攻撃スキルを発動した。


「【カラミティボルテックス】!」


 放ったクロスボウの矢は黄緑色のオーラをまとっていた。


 光り輝く矢は、螺旋状の軌跡を描きながら突き進んだ。

 街路を削り、周囲の建物を吹き飛ばし、双子の魔剣士に向かっていく。


 閃光が、弾けた。


「すみません、ラガッハ将軍……!」

「後は……お願いしま……す……!」


 まばゆい光の中に、彼らが溶け消えていく。


 重点的に守っている頭部も、ばちっ、ばちっ、とスパークをまき散らしつつ、圧倒的な破壊エネルギーには抗えなかったらしく、あえなく消滅する。


 光が晴れると、双子の姿は跡形もなく消えていた。


「帝国軍の連中は殺す。俺が殺す」


 俺は自分自身に言い聞かせるようにつぶやいた。


 彼らがどんな事情を背負っていようと、関係ない。


 敵は──一人残らず、殺す。

「面白かった」「続きが読みたい」と思っていただけましたら、感想やブックマーク、最新話の下部にあるポイント評価を押していただけると励みになります(*´∀`*)


日間総合ランキングでの10ポイントはとても大きいので、ぜひよろしくお願いします~!

※ポイント評価欄は最新話の広告の下にあります。


    ※


『恋人を寝取られ、勇者パーティから追放されたけど、EXスキル【固定ダメージ】に目覚めて無敵の存在に。さあ、復讐を始めよう。』の書籍版がMノベルス様より10月30日に発売予定です。

下のリンクからなろう版の小説ページに飛べますので、ぜひよろしくお願いします~!


書影です↓

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ