6 ゼイヴァとの問答
「帝国の戦争はその魔神王をよみがえらせるためだったのか?」
「いや、魔神王がすべてではない。ミランシアとのしがらみや戦勝の利益など複合的な理由はあったはずだ。ただ、大きな理由の一つとして魔神王の復活があった」
ゼイヴァが剣を抜く。
「説明はこれくらいでいいだろう。重要なのは歴史や政治の話ではない。お前の返事だ、マリウス・ファーマ――魔神王復活に手を貸すか?」
……答えるまでもない質問だった。
ただ、魔神王の復活、という奴らの目的自体は初耳だ。
この先、何があるか分からないし、情報だけでも得ておくか。
「その魔神王が復活すると、俺には何か得があるのか?」
「ほう?」
ゼイヴァがうなる。
その口元に笑みが浮かんだ。
「即座に否定しないということは、少しは脈があるのか?」
そんなわけはない。
だが、ここは含みを持たせておこう。
「まず話を聞いてからだ」
俺は奴をにらむ。
あまりこういった腹芸は得意じゃない。
「いいだろう。お前の言うことももっともだ」
と、ゼイヴァ。
相手も興奮しているのか、案外簡単に教えてくれるかもしれない。
「魔神王が復活すれば、この世は闇の世界になるだろう。そして我ら魔神が人間を支配する」
「人間にメリットがないじゃないか」
「お前には、ある」
ゼイヴァが語った。
声に熱がこもる。
「お前を、人間どここからもの世界を統治する王にしてやろう。一介の農民に過ぎなかったお前が世界の王になるのだ」
「王……ね」
別に興味はない。
「あらゆる人間がお前の支配下に置かれる。誰でも好きな者を殺すこともできる、逆にお前を称えさせることもできるし、愛情とやらを抱かせることもできるだろう。気に入った女がいるなら、侍らせればいい。何人でも、何百何千何万何億でも、な」
「そいつは壮大なハーレムだな」
俺は苦笑した。
まあ、要するに――メリットは、俺が自分の欲望を満たせることだ。
他の人間たちを犠牲にして。
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