4 魔神すら凌駕する騎士
「邪魔だ、どけ!」
俺は構わず突き進む。
「【ライトニングブレード】!」
光速移動から斬撃を繰り出し、一体の魔神の首を切断した。
「ガルーゾ!?」
「おのれぇっ!」
残り四体の魔神が後退する。
俺はさらに一体に斬りかかった。
「くおおおおおっ!」
右腕を切り落とすが、そいつは炎や雷撃を放ちつつ、必死で跳び下がった。
「お、俺の腕が……くっそぉぉぉぉっ!」
「強い――」
「なんというパワーとスピードだ……!」
「ルシオラやヴァイツが殺されるわけだ……!」
魔神たちは戦慄しているようだ。
「悪いが、命乞いはきかない。お前たちが選べるのは『殺されること』――一択だ」
血まみれの剣を手に、俺は奴らとの距離を詰める。
「うう……」
「やはりバラバラに戦っては勝てんな……」
「だが、我らには奥の手がある……!」
言って、魔神たちは跳び上がった。
その体が光と化し、空中で一つになり――、
「何……!?」
身長十メートルほどの巨大な魔神となって降り立った。
「合体……したのか……!?」
魔神にそんな能力があったとは驚きだ。
「その通りだ! いくら貴様でも四体の魔神が合わさり、誕生した超魔神には勝てん!」
巨大な拳を繰り出す。
その風圧だけで地面に巨大なクレーターができた。
「どうかな――」
俺は大きく跳び上がって拳をかわす。
ルシオラを倒し、レベル600に上がった際、破軍スキルを他にも習得した。
また、回数に関しても一日二発まで撃てるようになった。
さっき帝都の門を砕くときに【破軍竜滅斬】を使ったが、まだもう一発撃てるということだ。
それに他の破軍スキル二種も二発ずつ撃てる。
計五発。
ここでその一発を使う手もあるが――。
「いや、やはりまだ温存だ」
これまでに倒した魔神が八体、こいつらを合わせて十三体。
だが、まだ魔神は四体残っているはず。
そいつらの誰かが、あるいは複数が、俺を上回る力を持っていないとも限らない。
【破軍】スキルは格上の相手にも通じる技である。
ギリギリまで切り札として持っておいた方がいいだろう。
「【ブラストブレード】!」
破壊力に特化した上級剣術スキルを放った。
振り下ろした剣が、合体魔神の頭皮を割き、頭蓋を砕き、脳を破壊した。
「パワーは上がったかもしれんが……その動きの鈍さと反応の遅さがお前の命取りだ」
「がっ……!?」
だが、なおも動こうとする合体魔神。
思った以上にしぶといな。
しかも脳から泡が吹き出し、再生しようとしている。
「その前に――【豪刃雷華】!」
俺は斬撃衝撃波を放ち、再生途中の脳を粉々にした。
「が……ぁぁ……う……ぅ……」
さすがにそう何度も再生できるわけではないらしく、巨大な合体魔神も動かなくなった。
「よし、先を進もう」
「大丈夫なのか、マリウス。さっきから大技連発じゃないか」
リーザが近づいてきた。
「問題ないさ。これまでの戦いで、俺の身体能力もだいぶ上がっている。回復能力も、な」
ニヤリと笑ってみせる。
「何よりも――これで最後なんだ。へばってなんていられない」
言うなり、俺は駆け出した。
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