12 吹き荒れる豪刃
力が、みなぎる。
ヴァイツを倒したことで、俺のレベルはさらに上がっていた。
そして、新たにいくつかの斬撃スキルを身に付けた。
中でも、斬撃衝撃波を放つ系統では最強と言っていい【豪刃】系のスキルを三つ覚えたのが大きい。
もともと会得していた【豪刃凍花】に加え、かつて戦った黒の猛将グリムワルドの【豪刃烈火】、そして【豪刃風渦】と【豪刃雷華】――。
都合、四種の斬撃衝撃波を代わる代わる放ちながら、俺は戦場を駆け巡った。
【烈火】の赤。
【凍花】の青。
【風渦】の緑。
【雷華】の黄。
広範囲に広がる四色の衝撃波が、帝国軍を蹴散らしていく。
奴らの剣や槍が届く、はるか遠くの間合いから――。
「くそっ、応戦しろ!」
「敵はたった一人だ! 射殺せ! 撃ち殺せ!」
奴らが一斉に矢を、魔法弾を放つ。
が、それらはいずれも【豪刃】スキル四種に阻まれ、俺まで届かない。
「駄目だ、俺たちの攻撃が――」
「吹き飛べ!」
俺はさらに【豪刃】を振るう。
四種あるため、一種目のクールタイムが終わるまで待つ間に、次の三種を撃つ。
撃っている間に最初の【豪刃】のクールタイムが終わり、また撃つ。
さらに二種目、三種目――クールタイムが終わらなければ、【インパルスブレード】などを併用し、ローテーションで広範囲攻撃スキルを撃ち続ける。
まさに、一方的な殲滅だ。
瞬く間に中央の陣形を崩した。
「次は両翼だ」
このまますべてを滅ぼす。
そして、奴らに壊滅的な打撃を与える。
「……味方の士気の高揚なんて関係なかったな」
俺はふと思った。
神聖界での修業を経たことと、三体の魔神を撃破したことで、俺のレベルは異常に上がってしまった。
この一大決戦の戦場でさえ、ほとんど俺一人で無双できるまでに――。
「今の俺なら、一人で戦争を終わらせられるんじゃないか……?」
決しておとぎ話ではない。
俺のレベルは、その領域にまで高まったかもしれない。
と、
「そこまでだ」
敗走を重ねる帝国軍の中から、一人の女性が歩み出た。
いや、あれは――。
「魔神、か」
まだ他にもいたのか。
「私が最後だ」
彼女が俺を見据える。
冷たい瞳で。
「名はルシオラ――我が娘の無念を晴らすためにも、お前を討つ」
『ブラック国家を追放されたけど【全自動・英霊召喚】があるから何も困らない。最強クラスの英霊1000体が知らないうちに仕事を片付けてくれるし、みんな優しくて居心地いいんで、今さら元の国には戻りません。』
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