9 英雄降臨1
【21.2.9追記】
次回の更新に少し間が開いています……今しばらく再開までお待ちくださいませm(_ _)m
俺は魔神ガラードと向かい合っていた。
「マリウス隊長……やっぱり、俺も加勢した方が……」
「心配するな」
不安げなルークに、俺はニヤリと笑った。
「まず、あいつから片付ける」
ガラードを剣で指し示す。
「ほう? 『まずは』とは、私を前座扱いしてませんか?」
中年紳士の魔神が表情をゆがめた。
「……あまり舐めないでいただきたいものです」
「舐めてはいない。ただ、実力を正確に把握しているだけだ」
最初の戦いではジゼルグのサポートもあって、簡単にはとどめを刺せなかった。
だが、そのジゼルグはすでに討たれた。
なら、真っ向からの勝負で奴を倒せるはずだ。
「……先ほどの借りを返させてもらいますよ」
ガラードが槍を手に近づく。
「残念だが、それは無理だ」
マリウスが剣を掲げた。
「お前はここで死ぬ。借りを返す機会は訪れない。永遠に──」
「ほざけ!」
ガラードが槍を突き出す。
風を切り裂き、音速で穂先が迫る。
──見える。
攻撃の挙動すべてが、俺の目にははっきりと映っていた。
一歩。
斜めに踏み出しつつ剣を旋回させ、奴の槍撃を払う。
渾身の一撃をいなされたガラードがバランスを崩した。
一歩。
さらに踏み出し、二の太刀で奴の胴を薙ぐ。
「がっ……」
胴を両断するところまではいたらず、のけぞる魔神。
そして、最後の一歩。
「【パワーブレード】!」
俺は振りかぶった剣を渾身の力で振り下ろした。
技ではなく力──『剛力』で、ガラードを頭から股間までを真っ二つにする。
しぶく鮮血が、雨のように降り注ぐ。
ごろり、と左右に分断された魔神の体が地面に転がる。
「び、秒殺……!?」
背後でルークが驚きの声を上げていた。
俺は返り血を避けながら、剣を構えなおす。
「次はお前だ」
そして、こいつこそが──魔神三体の中の真打ちだろう。
「ほう、ガラードを一瞬で殺すかよ」
「──まだですよ」
両断したガラードが起き上がる。
体を両断されたままで。
「お前も『コア』を潰さないかぎり再生するタイプか」
かつて戦った魔神ヅェルセイルのように。
「そういうことです。私を滅することなど不可能──」
勝ち誇るガラードを俺は一瞥し、
「リーザ、心眼で『コア』の位置を探ってくれ」
「分かった」
リーザの聖剣スキルでガラードの『コア』の位置を教えてもらった。
「さあ、これで終わりだ」
俺はガラードとの距離を詰めた。
音速移動で一気に肉薄し、今度は胴体を両断する。
さらに、
「そこだ!」
先ほどリーザに教えてもらった『コア』の場所──ガラードの右胸中心部を切り刻む。
「がっ……!?」
今度こそ、ガラードは動かなくなった。
四つに分かたれた肉体が地面に転がっている。
「さあ、あらためて──お前の番だ。ヴァイツ」
俺は赤い竜の魔神に向き直った。
「完全に人間やめてる強さってわけか……面白い!」
ヴァイツが吠える。
歓喜の雄たけびだ。
「思い知らせてやるぜ! 人間ごときが魔神であるこの俺様には決して勝てないってことを」
「俺も思い知らせてやろう。帝国も魔神も、俺の剣ならすべてを薙ぎ払える、と」
俺は赤い巨竜と対峙した。
この一戦が、王国と帝国の決戦の行方を左右するだろう。
俺が勝って、必ず帝国を打ちのめす──。
一か月ちょっと続けた毎日更新は、ここまでとなります。続きは今しばらくお待ちください。
【お知らせ】
『Sランクパーティを追放された俺は、真の力に目覚めて史上最強の賢者になる。今さら戻ってこいと言われても、もう遅い。九つの魔導書(全員美少女)とともに、自由気ままに生きていく。』を連載中です。
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