6 中央戦線
「リーザ、【心眼】で確認してくれ。こいつもヅェルセイルみたいにコアが残っていれば再生するタイプか?」
「今、見てみる」
リーザが聖剣アストライアを掲げた。
「聖剣スキル【氷輪心眼】。
リーザが得意とする【心眼】が聖剣の力でさらに上位のスキルへと変化したものだ。
その効果は、魔神のコアすらも探知する。
「──ヅェルセイルと違って、コアのようなものは確認できない。ジゼルグは完全に生命活動を停止しているようだ」
と、リーザ。
「いちおう部下たちに見張らせておいて、万が一、不審な動きがあればすぐに伝令を走らせよう」
俺は彼女に言った。
と、そこにちょうど伝令兵がやって来る。
「マリウス隊長、リーザ隊長、ご報告が」
「どうした?」
「左翼の魔神はルーク隊長が撃破! 現在、中央にいる竜の姿をした魔神とルーク隊長が交戦中です!」
「次は──中央か」
俺はリーザとともに中央の前線へと向かった。
※
SIDE ルーク
中央の前線は壊滅状態だった。
巨大な赤い竜がブレスを吐くたびに、騎士たちが数百人単位で消し飛ばされる。
「退け、退けーっ!」
「だ、駄目です、間に合わな……ぎゃあぁぁっ……」
阿鼻叫喚とともに薙ぎ払われていく。
たった一体の魔神が、戦況を一変させていた。
さらに帝国兵たちがここぞとばかりに攻勢をかける。
王国の各部隊は完全に押されていた。
「──あいつを叩かないとな」
ルークは険しい表情で巨竜を見据える。
「行こう、リズ」
「了解よ」
二人は赤い竜の魔神の元へ進む。
どうやら主に戦っているのは十二番隊のようだった。
「あれは──」
ルークがハッと表情をこわばらせた。
前方に二人の騎士の死体が転がっている。
四肢が異様な方向に曲がった銀髪に褐色肌の青年。
胴体部がほとんど千切れかけた飄々とした印象の青年。
「クルス! ジュード!」
同じ『黄金世代』の仲間の死に、呆然と立ち尽くした。
「っ……!」
リズも絶句している。
「ほう、お前は普通の人間とはちょっと違うようだな」
赤い竜の魔神が振り向いた。
ぎらついた瞳がルークを見据える。
「俺たちと同じ匂いがする……!」
かつて魔神ヅェルセイルと戦ったときに、ルークには魔神の細胞が合成されている、と聞かされたことがある。
竜の魔神はそれを感知しているのだろうか。
「何者だ」
「ただの──人間さ」
ルークは言い放った。
そう、人間だ。
たとえ、体にどんな改造を受けていようと──自分は人としての心を持って戦っている。
聖剣を手に、ルークは前に出た。
「……リズ、できるだけ下がっていてくれ。巻き添えを食わないように」
「私だって戦うわ。二人の仇を取らないと」
「だけど、君まで犠牲に──」
「馬鹿にしないでよ。私だって『黄金世代』よ」
心配するルークにリズが微笑んだ。
「……そうだな。ごめん」
「いいわよ。サポートは任せて、ルークくんは全力の攻撃を」
「了解だ」
ルークは気合いを入れ直し、あらためて魔神を見据えた。
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