4 黄金世代の力2
「ルークくん、私に合わせて──撃って!」
「了解だ!」
リズの言葉にうなずき、突進するルーク。
「異能増幅器作動!」
彼女の義手の装甲板が開き、赤い光がほとばしる。
「【スラッシャーギガ】!」
同時に、ルークが斬撃スキルを発動した。
リズの義手に組みこまれた魔導機器『異能増幅器』がその威力を倍加させる。
周囲一面を、まばゆい赤光が照らしだした。
「が……はあぁぁぁっ……!?」
ガラードは槍ごと右手を切り落とされ、後退する。
「なんだ!? スキルの威力が急激に上がった──」
「どうだ? 人間も捨てたもんじゃないだろ」
ルークはさらに追撃。
返す刀で魔神の左腕を切断する。
「これで──終わりだ!」
最後の一刀で魔神の首を切り落とした。
「ふう……っ」
大きく息を吐きだした。
普通の生物なら、これで終わりだ。
だがルークには気になることがあった。
以前に戦った魔神は、再生能力を備えていたことだ。
「こいつも……再生してくるのか」
油断なく聖剣を構える。
しばらく待ったが、ガラードは地面に横たわったままだった。
「──死んだか。いや、油断はならないな。お前たちはこいつを見張っていてくれ。何かあれば、俺に知らせるように」
ルークは隊員たちに指示を出し、
「俺は中央に向かう」
そう告げた。
先ほどの戦闘で大量の経験値をもらったおかげか、ルークの戦闘能力はかなりアップしているはずだ。
実感として分かる。
自分の力が大幅に底上げされているのが。
「じゃあ、私も──」
「頼めるか。ただ、気を付けてくれ。相手はこいつよりも強いかもしれない」
「大丈夫よ。私と君のコンビなら」
微笑むリズが頼もしかった。
※
【光】の世界──『神聖界』で俺は竜神たちと戦っていた。
その戦いも、すでに終盤だ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
渾身の力で振り下ろした剣から衝撃波がほとばしる。
『くっ……うおおっ……!?』
竜神は耐え切れなかったのか、大きく吹き飛ばされた。
地面に巨体が激しく叩きつけられる。
『はあ、はあ、はあ……み、見事だ』
竜神は上体を弱々しく起こした。
さすがにダメージが大きかったのか、すぐには立ち上がれないらしい。
『お前の勝ちだ……今の感じを、忘れるな』
「ああ。ありがとう……あんたたちのおかげで、俺はまた強くなれた」
俺はあらためて目の前の竜神に、そして周囲に倒れる六体の竜神に頭を下げた。
彼らとの連戦を、俺はなんとか全勝で終えた。
おかげで大量の経験値を得て、俺のレベルは450まで一気に上昇した。
すでに竜神単体よりも、俺の方がレベルは上である。
神以上の戦闘能力を得た、ということか。
もちろん、神の中にも序列があり、上には上がいるということは理解している。
思い上がるつもりはない。
だが、これだけの戦闘能力があれば、魔神が相手でも十分に戦える。
いや、必ず勝てる──。
自信を胸に、俺はメルとともに『神聖界』を後にした。
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