2 試練
前方に、とてつもなく巨大な立方体が浮かんでいた。
剣山のように、そこに金や銀、赤、青、緑──様々な色の剣が突き立っている。
このモニュメント然とした物体こそが【最高神】である。
メルやツクヨミとともに、俺はその前に立っていた。
『よくぞ来た、マリウス・ファーマ』
【最高神】が言った。
「くっ……!」
さすがにすさまじい威圧感だ。
しかも、以前よりその圧が増している気がする。
『それは少し違う。我は何も変わらぬ』
俺の内心を読んだように【最高神】が言った。
『変わったのは汝だ。汝の中の【光】が以前よりも格段に増大しているために、我をより強く感知できるようになったのだ。圧を感じるのは、そのためだ』
「俺の中の【光】──」
『汝の想いの具現化──そこの「導く者」の受肉もその発露だ』
「メルが……?」
「へえ、そうなんだ」
つぶやくメル。
「ま、あたしはこうして実体化しておじさんと会えるし、理屈はなんでもいいかな」
俺を見て微笑む。
『さっそくだが本題に入ろう。我らの思惑は一致している。汝はさらなる力を欲し、我らは汝に魔神を滅することを望んでいる』
と、【最高神】。
「ああ、今は王国と帝国の一大決戦の最中だ。魔神も何体か、出撃している。俺は奴らを倒すための力が欲しい」
『汝の力は増している。中位までの魔神なら独力でも倒しうるだろう。だが最上位の魔神──ゼイヴァやルシオラ辺りには、まだ歯が立たぬ。ゆえに──』
【最高神】が厳かに告げる。
『汝にはもう一つのスキルを与えよう。そのためには、以前と同じく試練を受ける必要がある』
「試練……」
『そしてもう一つ──汝は戦えば戦うほどに、飛躍的にレベルが上がる。ゆえに以前に戦った竜神を何体か呼んでおいた。連戦にて一気にレベルを上げるといい』
「連戦……か」
前にこの世界で戦った竜神は確かレベル400超だったはず。
それと同レベルだとしたら、今の俺より少し上くらいだ。
以前は大きなレベル差があったが、今はかなり縮まっている。
あるいは竜神を倒していく中で、彼らのレベルを上回れるかもしれないな。
──いいトレーニングになりそうだ。
「よろしく頼む」
あのときは震えが止まらなかったが、今は違う。
心身が充実している。
強敵と真っ向から向かい合う覚悟はできている。
俺はまっすぐに【最高神】を見据えていた。
『命だけは落とさないように気を付けよ』
「肝に銘じる」
うなずく俺。
『では、始めようか──七色の竜神よ、いでよ』
【最高神】の声とともに、天空に虹がかかった。
その虹が七体の竜となり、降り立つ。
赤や青、緑に黄金──色とりどりの七竜。
そのうちの一体には見覚えがあった。
前に戦った竜神のようだ。
『久しぶりだな、人間よ』
「ああ。その節は世話になった」
一礼する俺。
「もう一度、稽古をつけてもらいたい」
命がけの、稽古を。
それを乗り越えて、俺はもっと大きな力を得てみせる。
『承知した。以前よりも相当に力を増したようだな。その力を見せてもらおう』
竜神が笑った。
『存分に戦おうぞ』
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