↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生特典【経験値1000倍】を得た村人、無双するたびにレベルアップ! ますます無双してしまう  作者: 六志麻あさ
第10章 一大決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/144

2 決戦前夜2

「昔は全然女っ気がなかったのに……王都に来てからモテ期が来てない?」

「モテ期って……」


 そんなことはないと思うが。


「おじさんが気づいてないだけだよ。もうっ」


 なぜか怒ったような表情のメル。


「十二番隊の女の子からもけっこう慕われてるみたいだし、さっきの隊長さんとか他の女隊長さんとか……あ、それに娼館にもときどき行ってるでしょ!」

「い、いや、ちょっと待て。お前、俺のプライベートをどこまで知ってるんだ……!?」


 さすがに焦ってたじたじとなる俺。

 敵と戦うときより、メルにこうして迫られるときのほうがよっぽど緊張するな……。


「むー」


 メルはあいかわらず子どもっぽく口を尖らせ、拗ねたように俺をにらんでいる。


「何に怒っているのか分からないが、とにかく機嫌を直してくれ」

「むむむ……リーザさんと仲良さそうにしてたから」

「リーザとは訓練でよく付き合うし、隊長の中では一番話しやすいんだ。俺が隊長になる前から、同じ隊だったからな」

「それだけ?」

「えっ」

「それ以上の感情、持ってない?」


 メルにじろりとにらまれる。


「やけにこだわるな……それだけだよ。リーザに対して抱いているのは仲間意識だ」

「んー……まあ、そういうことにしてあげる」


 メルはまだ納得していない様子だったが、矛を収めてくれたようだ。


「じゃあ、ちょっとだけ夜のデートしよ」

「夜のデート?」

「あたしと一緒にお散歩」


 なんで急に?

 と思ったが、メルはにっこりと笑っている。


 あいかわらず甘えん坊なところがあるな。

 そういう部分は生前と変わらない。

 メルそのものだ。


「ああ、いいぞ」


 俺は笑みを返した。


「ねえ、腕組みたい」

「分かったよ」


 俺は苦笑交じりにメルと腕を組んだ。

 恋人のように寄り添い、歩き出す。


 すでに時刻は夜だ。

 歓楽街の方はこれからが本番だが、この辺りは商店街で、すでに閉まっている店が多かった。


「あたしが人間なら、おじさんと一緒にお食事したりできたんだけどねー」


 メルがため息をつく。


「実体化しても、食事したりは無理か……」


 いくらメルと同じ姿、思考や記憶を持っているとはいえ、彼女はメルそのものじゃない。

 あくまでも俺の記憶をもとに生み出された、メルの写し身なのだ。


「……だね」


 一瞬寂しげな顔になった後、メルはふたたび微笑んだ。


「でも、こうして触れ合えるだけでも嬉しい。おじさんの体の温もりを感じられるから……幸せだよ」


 ぎゅっと俺の腕にしがみついてくる。


 人けが少なくなった通りを、俺たちはそうやって歩いていく。


 しばらく進むと、小さな公園にたどり着いた。

 俺たちは並んでベンチに腰掛ける。


 周囲には誰もいなかった。


「ねえ、おじさん」


 メルが俺を見つめる。


「ここにいるあたしはなんなのかな」

「どういう……意味だ?」


 突然の質問に、俺は意図が分からず戸惑った。


「いつも思うの。あたしという存在は何なのか。あなたのスキルの一部? あなたの思い出の具現化? それとも、メルという存在……?」

「……お前はメルだよ」


 俺にはそれしか言えなかった。


 目の前の彼女があまりにも寂しげだったから。

 先ほどにも増して──あまりにも、寂しげだったから。

 なんて声をかけていいか、分からなかった、


「あたしはおじさんにとって大切な存在?」

「当たり前だろ」


 俺はメルを抱きしめた。


「えへへ」


 嬉しそうな笑みを浮かべるメル。


「今のあたしは思念体じゃない。生身の体を持っている。おじさんと触れ合うことだってできる。もう姪と叔父じゃないから、もっと──」


 メルが背伸びをした。

 顔が近づいてくる。


「メル……?」

「おじさん──」


 ほとんど唇が触れ合わんばかりの距離で、俺とメルは見つめ合っていた。


「……少し、顔が近すぎないか?」

「そうだね。もうちょっとでキスできそう…………したいな」

「何を言ってる」


 俺は苦笑交じりにメルの体を少しだけ遠ざけた。


「あはは、ごめんごめん」


 頬をかすかに染めて、メルが悪戯っぽく舌を出した。


「どんな形になっても、あたしはこうしておじさんと再会(・・)できて、お話して、触れ合えて──幸せだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
実際のメルは輪廻の輪に乗って 来世への途上ですから ・・・ AIみたいなもんですかね? このメルは。
[一言] 人妻なのに貞操観念なさすぎない?
[一言] 切ないです。(涙)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。