12 聖剣の使い手
「終わりだ、魔神!」
ルークはリーザ、アルトゥーレとともに剣を繰り出す。
隊長クラス三人による連携波状攻撃だった。
いくら魔神といえど、両腕を失った状態で防ぎきれるはずがない。
いける──。
自分たちが強くなったのか、この魔神がヅェルセイルよりは劣るのか。
まずリーザの聖剣がガラードの頭部に叩きこまれる。
「なっ……!?」
驚愕の声を発したのは、リーザだった。
聖剣が、魔神の頭上で止まっている。
「危なかった……かろうじて間に合ったぜ、防御スキルが……」
ガラードが険しい表情でつぶやいた。
見れば、いつの間にか彼の全身を薄赤色の輝きが覆っていた。
あれが防御スキルの効果フィールドなのだろう。
聖剣の一撃を受け止めるほどの防御スキルとは、さすがは魔神というべきか。
「肝が冷えた……この俺がここまで追いこまれるとは。いったん退かせてもらうぞ」
踵を返したガラードは、そのまま猛スピードで去っていく。
「逃がすか──」
追いかけようと高速移動スキルを発動しようとしたルークを、
「いや、追わなくていい」
リーザが止めた。
「リーザ隊長……?」
「奴はまだ何か隠し持っているかもしれない。優勢だったとはいえ、相手は魔神だ。いたずらに勝負を急ぐのは危険だろう」
「それに僕らの任務は聖剣奪取だからね。まず、そちらを優先しよう」
と、アルトゥーレ。
「……分かりました」
ルークは承諾する。
内心では、このまま魔神との決着をつけたい思いは強かったが……。
全滅した部下たちを簡単に弔い、ルークたちは先へ進む。
やがてたどり着いた遺跡の最奥に、それはあった。
礼拝堂を思わせる荘厳な空間。
その中央に台座があり、一本の剣が突き刺さっている。
「私の聖剣が反応している──」
リーザが剣を抜いた。
刀身からひときわまぶしい虹色のきらめきが発せられる。
「間違いない。あれは聖剣だ」
「では、俺が」
ルークが真っ先に進み出た。
柄に手をかけ、引っぱってみる。
ずず……ず……。
意外なほど簡単に抜くことができた。
柄も刀身も青色をした大剣。
刀身の刃部分が薄桃色の輝きでコーティングされていた。
「これが──聖剣オーディンか」
「帝国との決戦前に二本目の聖剣を得られたのは大きいな」
リーザが告げる。
「この様子だと、他の魔神も帝国の戦力として次々に投入されるかもしれない。その対抗手段として、聖剣は貴重だ」
「だね。後は使い手がいれば──」
「こうやって聖剣を持っただけでは、剣は力を貸してくれないんですよね?」
ルークがたずねる。
「ああ。少なくとも私の持つ聖剣アストライアはそうだった。持ち主になるための試練を受け、聖剣に認められて初めて──『使い手』になる」
「聖剣の使い手……か」
ルークは聖剣をあらためて見つめた。
さっきの魔神との戦いでも、やはり聖剣を持っているリーザが一番活躍していた。
今のルークでは、足りない。
「俺にも、聖剣があれば──」
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