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GRAYHEATHIA*グラィエーシア  作者: 瀬川月菜
終章
139/193

20−2

 白い白い朝日が差し込んでいた。

 清らかな朝の気配は、二人の熱が溶け合った寝台ではつんと刺すように感じられる。幸福な眠気は未だ目蓋を痺れさせ、欠伸をしてふわふわと吐き出してもなお、そこにある。

 瞬きを、ひとつ。

 眠る前に指を絡めて繋ぎ合わせた手は、長くそうしていたために固く、最初からその形であるかのようになっている。もっと強く握りしめたいのだけれど、力を込めてしまえば相手を起こしてしまうので我慢する。幸せの固まりであるこの時間を、できるだけ長く感じていたかった。

 そして、その人の目が開く。その瞳を見て、やっぱり嘘、とひとりごちた。目を合わせて微笑んでもらえる方が、ずっともっと幸せだったからだ。

「……おはよう」

「おはようございます」

 嬉しくて、首を竦める。どうしたのかという風に目が細められ、囁く必要はないのに少し毛布を引き上げて、こっそり、告げた。

「……キス……してほしいです……」

「……どこに?」

 は? と返しそうになった。次に変な声が出た。真っ赤に染まって熱くなった頬に、冗談だという意味らしい唇が降りてくる。何も言えなくなったけれど笑う彼から目を逸らせずに、少し拗ねて、でも長く続かず、笑った。

 季節は巡り、また今日も恋をしている。

 最初で最後の、永久の恋を。

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