2人の芸人
夢は世界中の人を笑わせること。小学生の卒業文集にそう書いた。
中学、高校。夢は変わらず。クラスメイトもみんな俺で笑ってくれた。
卒業後、すぐに事務所に入った。そして現在・・・。
「売れねえ!全くと言っていいほど売れねえ・・・。」
俺の名前は外村。元コンビ芸人。相方はこの世界を諦めてしまった。芸名はなし!本名で活動するのが本当の芸人だからって理由。所属事務所はマサキ芸能社。通称マサキ。イントネーションは化石と同じ。
「ネタ書くか。いやその前に相方探さねーとなあ。あいつ誘ってみっか。」
「ん?メールだ。はいはいなんですかマイケータイっと。」
『コンビ組まね?相方やめちゃってさ』
「外村からか。」
芸人のなったのは自分の才能を試したかったから。結果は未だ鳴かず飛ばずのアルバイター。何が悪いかな?芸名か?アホリズムが悪いのか?・・・わかってる。才能がないことくらい。でも1回くらい売れてえもん。
外村。あいつは才能ある。あいつと組めば売れるかもな。
『組むよ』
二つ返事で了解した。
『組むよ』
「あいつメールの返信早えな」
とにかく相方決まったしそうと決まれば早速
テンテケテンテケテンテンテン♪
「うおお!?んだ電話か。はいもしもし。外村です。あ、お疲れっす。明日?特になんもないっすね。事務所っすか?わかりました。はい。午前中に。はーい。はいわかりました。お疲れ様でーす。」
社長からとは珍しいな。用事ってなんだよ。まさかクビとか言わねえよな。それは1番困るなあ。はああ。寝よ。
「明日の午前中に。はい了解です。お疲れ様です。はーい。」
何事だ?社長直々の呼び出しなんて。枕営業?いやいや俺男だし。まいっか。
「昨日は深夜にごめんね?」
「いえいえ起きてましたから大丈夫ですよ。」
「そうっすよ。全然」
「呼び出したのは他でもない君達に行ってもらいたいところがある。」
「仕事っすか!?世界の果てまでもどこへでも行くっすよ!」
「世界ではなく」
「国内ですか?ネタ番とか?」
「国内でもないんだ。だがネタ番は近いぞ!」
「もったいぶらずに教えてくださいよ!」
「まあ非常に言いにくいんだが・・・」
「え?やっぱりクビっすか?それは勘弁してくださいよ!」
「まだなんも言ってないでしょうがあ!」
「武田銀矢の真似ですか?似てますね。」
「え?ほんと?モノマネ番組出れるかな?」
「えっ?あー、まあたぶんいけますよ?」
「話の続き早くしてくださいよ!俺はどうなるんすか!」
「ああ、そだったそだった。えーおほんっ。君達には修行に行ってもらいま
す。」
「は?」「ん?」