実写化(れっか)
「なぁ狩虎。東○グール映画化するらしいぞ。」
生徒会室でノンビリと辞書を見てサボっていると、宏美がなんともまぁ魅力的な話を振ってきた。
「お、マジか。声優は誰よ。アニメの方を担当した人か?それならカ○キの声がちょっと合わな」
「実写だ。」
「………………」
実写………実写ね?なるほど…………まぁ東○グールは心理描写が中心だ。実写でもだいじょ
「大丈夫なわけないだろうがクソがぁああ!!!」
ビリィッ!!!
辞書のaのページを引き裂き、グチャグチャに丸めてゴミ箱に投げ捨てた!!
「なんで実写化なんだよぉおお!!!なんで2次元を3次元に持ってくんだよ!!!てめぇら常識?人は俺たちが2次元の嫁とかの話題を3次元に持ってくるときは辟易するくせによぉ!?!?」
俺が「ト○カちゃんの嫁っぷり半端ないよな!!いやむしろヒデの方がカ○キの嫁か!?」とか言ったら「あ、ああ………マンガの話ね……」みたいな感じで、まるで俺達を人間じゃないとでも言うかなような目線で見つめてくるよなあいつら!!!なんなんだおい!!!
「顔か!?顔がよければそれでいいのか!?そうですね分かってますよ顔が全てですよね!!生き辛い世の中だよな全く!!」
2次元を馬鹿にするくせに、3次元に持って来れば全てオッケーなのか!?このご都合主義どもが!!
「まぁまぁ狩虎。そう言ったってな、面白くならないわけじゃないだろ?下手したら良い出来になるかもしれないし………」
「グールの動きをCGで再現するのにか!?テラ○ォーマーズの悲劇をまだ忘れてないのか!!ダンボールアートだろあんなの!!人間にCGかけるのはマジでやめた方がいいんだよ!!」
「るろ○に剣心は面白かったろ。」
「あんな莫大な金かかってたらそりゃ面白くなるわな!!金をかけないCG技術の悲惨さは本当にヤバいぞ!!」
俺はリュックからコーヒー牛乳を取り出し一気に飲み干した。
「………芸能界ってのは繋がりの世界だ。人とのコネクションがあって、実写化してしまうってのは分かっているんだ。それにフルCGなんかより時間はかからないし、金もかからない。………分かっているんだ。分かっているんだけどさ……………」
「狩虎………」
「俺は東○グールの一巻を手に取ったときに衝撃を受けた。[人とはなんなのか]って改めて突きつけられたような、閉口せざるを得ないほどの筆圧だったんだ。そこからはなけなしのお金をはたいて買い漁った。…………ファンなんだよ俺は。」
正直展開は全て読めていたけれど、それでも俺は読み続けた。「これは展開じゃない、弱い人間の心理描写がメインなんだ」……そう言って、読み続けた。最近のはよく分からないが、それでも俺は読み続けるだろう。好きだから。
「………でもさ、お偉いさんに媚を売ることに邁進し続けているせいで、本当のファン達が目に入ってないんじゃないのか?………顔だけで選ぶ視聴者層じゃなくて、良い所は良いと、悪い所は悪いと言える、原作を心から愛している愛読者を更にハマらせることが大切なんじゃないのか?」
本当にそのものを愛した人間ていうのは、それを、周りの人間に勧めたがる。それは全国の読者であって、生の声だ。テレビでの大々的なCMなんかよりもよっぽど、宣伝効果が高い。
「もう俺は見たくないんだ……テラ○ォーマーズと言う名のダンボール戦機を………後何か言おうと思ったんだけど全部がクソすぎて作品名が思い出せない…………」
あとは………そうだな、銀魂と東○グール、亜人が成功することをただただ願うばかりだ………
いつから[面白いもの]じゃなくて、[売れるもの]に目先が変わってしまったのだろうか。「商売だから。」それで終わらせるのは簡単だけれど………俺から言わせれば監督は芸術家だ。他人の評価よりも素晴らしいものを。自分の情熱を、熱意を、魂の慟哭を、画面上で表現してもらいたいものだ。
金に塗れて芸術家は死んでしまったのか………悲しいなぁ。
「それじゃあ俺先に帰るから………」
「狩虎………アプリでもやって気を保てよな。」
「………ああ、共鳴出来るように金つぎ込んでくる。」
俺は空を見上げた。
日の落ちた世界は暗く、冷たい。でも星は輝いている。唯一の光明がこの世界にあるのだ。
………暗殺教室でも借りてみるか。
俺は覚束ない足取りで、ツタヤへと向かった。
シャドバと打ったら[カス]という言葉が真っ先に予測変換されるようになりました。なぜかは分かりません。




