第8話は、ご飯をご馳走する話。
宜しくお願いします。
「どうしたの?」
私は、やっと泣き止んだネコミミの少女にしゃがみこんで優しく聞いた。
「私達を助けて貰えませんか……?」
話が上手く繋がらない。
ただ、この少女がかなり切羽詰った状況におかれている事だけは分かった。
見ると、身体は痩せ細っており服もあまり清潔でないようだ。
ただ、ネコミミである。
でも残念な事に毛並みに艶がない。
毛も少しベターっとなってフワフワしていない。
これじゃ、駄目だ!
……危うく我を忘れそうになった。
とりあえずは、この少女を安心させてあげないと。
「わかった。とりあえず、助けてあげるから、お話出来る所はある?」
「ありがとうございます。こっちに来てください」
私のシャツのすそを引っ張るように、少し大きな建物に移動した。
■ ■ ■ ■ ■
建物の中に入ると、ネコミミさん達がいっぱいいた。
十人くらいだろうか。
全員子ども達で、皆細い。毛並みに艶やかさがなく、栄養が行き届いていないのが分かる。所謂全員、栄養失調なのだ。
ネコミミ少女の助けてというのは、この子達の事なのだろう。
それより、他に人はいないのだろうか?
いや、それよりご飯だな。
ネコミミ少女に
「皆の分の食事を用意するから、まずは食べない?」
と提案してみた。人数は、ネコミミ少女を入れて12人だったけど、お子様だから大丈夫との事がわかった。よくわからないが、直感よりも確信に近い感じがしたのだ。
■ ■ ■ ■ ■
「皆の分の食事を用意するから、まずは食べない?」
この優しそうな男の人は、泣き止んだ私にそう言った。
とても優しい声で確かにそう言った。
大人達がこの村を出て、三ヶ月……。
それまでもヒモジイ思いをしてきたが、それからはもっとヒモジイ思いをした。
果物や木の実を食べたけど全然足りなかった。
「ご飯……くれるの?……」
「あぁ、いっぱい作るから皆を集めてくれる?」
「ほんとうに……本当なの?」
「あぁ、本当に本当だよ」
その男の人は、またしゃがんでそう言ってくれた。
涙が溢れてきた。
私は、皆の所に向かう。
「ご飯、出来たよ」
あ……間違えた……。
■ ■ ■ ■ ■
「ご飯、出来たよ」
ネコミミ少女が無茶振りをした。
確かに『食事の用意をするから』とは言ったが、ご飯を作ったとは言ってない。
これから作るのだよ。
ネコミミ少女の周りに、子ども達が集まってきた。
『ご飯どこ~』と言っているのが分かる。
考えるのだ……何かこの状況を打破する手はないか……?
缶詰だ!缶詰があったじゃないか。
魚の缶詰とパン。
それなら、すぐ用意出来る。
その間に、ご飯を炊いてネコマンマにすれば万事解決だ。
そんな事を考えていたら、『ご飯』の声で恵が起きたようだ。
「ごはん~?」
寝ぼけ眼で、私に聞いてきた。
「これから、皆でご飯を食べるんだよ」
「みんな?」
「ほら、向こうにお兄ちゃんやお姉ちゃん達がいるでしょ?」
「いる~♪」
「じゃあ、降りて『こんにちは』の挨拶をしないとね」
「うん、わかった」
私が恵の手を引いて、ネコミミさん達の所へ向かう。
■ ■ ■ ■ ■
「こんにちは~」
恵が元気に挨拶をし、ネコミミさん達の所に歩いていった。
「こんにちは」
ネコミミ少女が、微妙な感じの挨拶を返す。
私が、さらにネコミミさんの近くに行くと、ネコミミ少女がバツの悪い顔をしていた。
どうやら『ご飯、出来たよ』と言ってしまった事への反省をしているようだ。
他のネコミミっ子達だが目が爛々としている。
『ごっはん♪ごっはん♪』と口には、出していないがそのようなオーラみたいなのが出ている。
恵が、異様な気配のせいで、私の背後に隠れてしまった。
まあ、元々招待というか食事させる予定だったんだから良いんだけどね……
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私がネコミミさんのちびっこ達に近づくと、ネコミミさん達が飛び掛ってきて……
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舐められまくった……
あれ?普通なら、後ずさるとか威嚇するとか、野生の猫ならそんな感じなんだけど。
私が、思わぬ奇襲で顔中をヨダレまみれにしていたら、ネコミミ少女がちびっこ達から私を放させてくれた。
「すみません。久しぶりにあった人と食事を頂ける事が嬉しくて暴走してしまったようです」
「いえ、いいんです。怖がられているよりも数倍良いですしね」
と、言いながらヨダレまみれになった顔をハンカチで拭う。
とりあえず食事を与えて、満腹にさせて落ち着いて貰おうという訳で、夢見るテントを取り出した。
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私が何もない所から、テントを取り出すと『おぉ~』と言う声がした。
あれ?これって珍しくなかったんじゃないの?
まあ、この事は後ほど検証して、先ずは入ってもらう事にしよう。
「さあ、みんな順番に入って」
というと、押すな押すなってな感じで中に入ってきた。
とりあえず玄関でちょっと待って貰って、足を拭いてから上がってもらう。
「うわ~広い」
「とってもキレイ~」
「何か良い匂いがする~」
とか、とても興味津々のようだ。
畳の敷いてある居間に座らせて、パンと牛乳を持ってくる。
とりあえず、扉を開ければ補充される摩訶不思議なパンだ。
そして、中にはマーガリンがロールパンだから何も付けなくていいので楽だ。
一人当たりに五個のパンと牛乳を配って「いただきます」をさせて食べさせる。
「このパンやわらか~い」
「ミルク久しぶり」
「ふわふわ~」
と、ちびっ子達は幸せそうに食べている。
ネコミミ少女は、ちびっ子達のお世話をして食べてないようだ。
「君も食べなさい。まだおかわりは、いっぱいあるし、これから違う食べ物もあるから食べないと増えていくよ」
「でも、本当にこんなにいいんですか?」
と、心配ばかりしているので、頭をそっと撫でて、
「大丈夫。君もゆっくり食べなさい」
と言うと、涙を浮かべながらも「美味しい」と食べ始めた。
そしてツナ缶も出して皆それを夢中になって食べた。
そしてお腹いっぱいになり、幸せそうにそのまま寝てしまった。
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その後に、俺と恵は山菜ご飯を作って食べた。
ネコミミさん達には、明日の朝にでもおにぎりを作って食べさせてあげよう。
一応、おかかのおにぎりも用意してあげよう。
そんな感じで一日が終わった。
……と思ったら、夢の中だけど白い空間に戻っていた。
なんで……?
お読み頂きありがとうございます。
次話は、5/3 0時予定です。




