第78話は、門番とお宿の話。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
エルフの森の問題を解決させる糸口はクリスのお陰で解決する目途がついた。
あとは、数年単位と長くなるがクリスが瘴気がこもっている草を食べていけばいいので問題ないと思われる。
で、次は自分たちが持ってきた疑問を解決させていきたい。
そう、「瘴気」の問題だ。
何時から「瘴気」がこの世界に蔓延するようになってしまったのだろうか?
そしてこの問題を解決する方法はないのか?
流石にクリスだけで解決というのは無理がある。
で、その問題を解決すべく、ハイエルフのサリアさんに連れられて、この森にあるエルフの住んでいる集落へと向かう。 サリアさん曰く、何でも先ほどの湖から歩いて10分ほどの距離らしい。
せっかくなので集落に着くまでに、エルフについてのことを聞いてみることにした。
ちなみにこれから行く集落の人口は308人いるとのことで、この世界のエルフの集落にしては、大きい方との話だ。
そして、結婚などは自分たちの集落内ではなく、他の集落から女性、もしくは男性が行き来するとのことみたいだ。 そのルールは決まっているらしく、嫁もしくは婿としてやって来るのは、大きな集落からやってくるとのことだ。 ちなみに、集落内で恋愛結婚というのは認められているがほとんどないらしいとのことだ。 なんでも5年に2~3人しか生まれない事と長寿命の弊害か恋愛に対してそこまで興味が湧かないらしい。
また、村で結婚を繰り返すと血が濃くなって身体が弱くなったりするので、他の集落から新しい血を入れるとのことだ。 他にも他の集落から人を入れることによって、新たな文化が習わしなど様々な情報が入り集落も活性化していいとのことだ。
そうそう、あと面白いことを聞くことができた。
なんと、あの私たちの住んでいた、ネコミミ族とラミア母さんたちの村にあった森にも最近、エルフが住み始めたらしい。 なんでも清浄なる地が見つかったとのことでこれから向かう集落の住民も何人かそちらに住むようになったのだとか。 で、どちらも現在、30人ほどの所帯が住んでいるとのことだ。
エルフ族は、良い森を見つけると何人かその森に配属というか派遣されるらしい。
ただここ数百年、住む場所が減る一方だったけど最近、この二つを見つけたと話していた。 私が両方とも昔住んでいた所ですよと教えると、何かとても感謝されたようだ。
一応、両方の村には現在も交流(3年に1度の交流会)があるので、次に会う祭には、ご一緒する運びになった。 きっと話し合いに関しても、あの子たちも既に立派な成人というか、子どもまでいることだしご一緒して円滑に進めばいいことだろう。
と、そのような話をしているうちに何時の間にか集落に着いたようだ。
恵とお紺もネコミミ族とラミア母さんの話を聞きたそうだったので、後日ゆっくりと時間をとって、話を聞く機会を設けて欲しいとお願いをしたら快諾していただけた。
で、ちょうど話が一区切りついた時、私たちを見つけたエルフがこちらに挨拶をしにきた。
■ ■ ■ ■ ■
「サリアさま、そちらの方々が精霊さまのおっしゃていた方々ですか?」
「ええ、早速そちらの問題の解決に力を貸して頂いています」
「おお! そうですか!」
「ヘジ、それよりもお客人の方々は、今まで旅をされてお疲れです。 立ち話はそこまでにして私は、お客人を宿まで送り届けます。 尚、お客人は太郎さんとおっしゃられます。 挨拶は……そうですね、後で太郎さんに予定を聞いておきます」
「かしこまりました。 太郎さまとご令嬢の方々、私ども一同、心より歓迎致します。 何かご不便なことがありましたら、私にでもお言いつけ下さい。 私が居なければ他の者にでもお言いつけください。 私は、村の門番のヘジと申します。 後日、改めてご挨拶に伺います」
「太郎です。 こちらこそお願い致します」
「恵です。 どうぞよろしくお願い致します」
「お紺です。 お願いします」
爽やかな男前なエルフのサジさんに丁寧な挨拶を受けた。 ただ何というか少し違和感を覚えたことがあるが、サリアさんがその後の言葉で解決された。
「先ほど、太郎さんたちに挨拶をされたサジですが、この集落が出来た時からいる者なんですよ。 ですから、太郎さん方が村の問題を解決することに力を貸して下さったことに心より感謝しているんですよ。 勿論、他の者たちも感謝しているのは同じですが、彼は開拓時から村を守っていましたからね。 誰よりも深く感謝されているのですよ」
「そうなんですか……」
「ええ。 ですから、何か不便なことがあったら言ってあげて下さい。 その方が彼が喜びますから」
「はい。 わかりました。 でも気持ちの良い男ですね!」
「そうですね。 だから他の者たちからも慕われておりますよ。 しかも、この集落で唯一結婚した一家ですから、その辺りを聞いてみるのもいいでしょうね。 顔を真っ赤にして話してくれるでしょう」
「純情なんですね」
「ええ。 その時には、私も是非呼んで下さい。 彼は恥ずかしがって私に教えてくれませんから」
と、少しサリアさんのお茶目な面も見れたところで、本日泊まる宿舎に着いたようだ。
「太郎さん、こちらがしばらく泊まる宿舎になります」
と、紹介されたのは、サリアさんの立派なお宅だった。
「すみません、この集落に宿はないので、こちらにお泊りください」
実際、私たっちには夢みるテントがあるのだが、サリアさんに是非ともお泊り下さいと懇願され、その日はサリアさん宅へ泊まることになった。
いい年にしたいですね!




