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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第十一章 エルフの森
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第77話は、エルフの森からの依頼。

宜しくお願いします。

 エルフの森に着いた。

 森に入ると温度が少し低く感じるほどの荘厳な雰囲気を感じることが出き、「あぁ、ここがエルフの森なんだな」となんとなくわかる気がする。

 この森はもちろん、きちんと手入れがされており、木漏れ日が入り木々が喜んでいるのもわかる。



 その入口には、身分の高さそうな一人のエルフが立っており、私たちに気付くと穏やかな笑みを浮かべ「ようこそ、エルフの森へ。 太郎さま、お待ちしておりました」と、出迎えてくれた。




■ ■ ■ ■ ■




「ふふふ、どうして私が出迎えたのか不思議に思ったのですかって」

「ええ、身分も高さそうでしたし、ずっと待っていたようにも思いませんでしたから」

「そうですね、身分が高いかどうかは別として、私はハイエルフと呼ばれるエルフの中でも長く生きる種族です。 特に身分などないのですが、他の者より少し長く生きているので敬われているようです。 で、もう一つの疑問の答えは、あなた方がいらっしゃると森の精霊が教えてくれたからですよ」



 と、コロコロと笑いながら話してくれるハイエルフのこの女性。 聞けば、この森を管理するトップなのだとか。 名前は、『サレアさん』といいこの森に一年中咲いている花の名前から取ったとピンクの花を指さしながら教えてくれた。

 とりあえず「太郎さま」という敬称は慣れていなかったので、「太郎さん」に変更してもらうことにした。 サレアさんは「神さまからの遣いなのですから……」と言っていたのだが、「私はそこまで敬われる人間ではないですから」と言うと「無理強いはよくないですね」と笑みを浮かべながら了承をしてくれた。 恵もお紺も「さま」付けだと距離を感じてしまいますしね、とのことだ。 



「ふふふ、私の身分も立場も太郎さんと同様に気になさらずとも大丈夫です。 もともと私たちエルフにとっては、身分などあってもないようなもの。 ただ私が長く生きているので順番が私に回ってきただけですから」

「でも失礼ですが、そこまでお年を召した感じに見えませんが……」

「ふふふ、ここはありがとうございますとか言うところなんでしょうか。 私はこう見えても1800年ほど生きておりますのよ」

「……1800年生きているのですか?」



 この返答を聞いて、横で話を聞いていた恵もお紺もビックリしている。

 楽しそうに笑う目の前にいるサレアさんが、1800年も生きているなんて信じられないからである。

 それは1800年も生きているのに魂の色が、純粋というか幼子のようにキレイであるというのもあるし、話をしている雰囲気も年寄り臭さもない。 どちらかというと私の方が、彼女よりも何倍も年寄り臭い感じがする。

 ふむ。 そういえば、何となくだが雰囲気が恵とお紺に似ていなくもない感じである。

 長く生きる種族というのは総じてこのようなものだろうか? と考えさせられた。 すると、



「そうですね、私が年を感じさせないのは、毎日同じことを繰り返しているので、中身などほとんどないからでしょうか?」



 と、なんでもないように笑っているが、よく見ると所作に洗練された美しさがあるのがわかる。 少し話をしただけでも相手が話やすい雰囲気に持っていく気配りや、間の取り方なども上手で伊達に年を取ってきていないと感じられる。 若く感じられるのは、上手に年齢を重ねてきたからなのではないだろうか? そう考えると、サリアさんに敬意を自然と持てる、エルフの方に敬われているのもわかる。



「今回、私が太郎さんをお待ちしていたのは神さまから太郎さまのお手伝いをしてあげて欲しいとの依頼を受けたのともう一つ……」

「……もう一つ?」

「はい。 精霊たちが太郎さま方でしたら、この森を救ってくれるからお願いしてみたら? と言ったものですから……」

「私たちがですか?」

「ええ……。 大変、あつかましいお願いですが、もう少し森の奥にある湖までご足労願えないでしょうか?」

「湖まで行くのは問題ないのですが、森を救えるかどうかは……」

「ありがとうございます。 森の件は、湖に着いたらお話しようと思いますので、私についてきて頂けますか」




■ ■ ■ ■ ■




 サレアさんの案内で歩くこと30分ほどで、キレイな湖に辿り着いた。 で、そこには水色のちっちゃい湖の精霊たち10人ほどが太郎たちを待っていた。



『こんにちわー』

「こんにちわ」



 可愛らしい精霊に挨拶されたので、挨拶をする。 その可愛らしさに恵やお紺が「可愛いね!」と走り寄っていた。 湖の精霊たちも恵やお紺のことを気にいったのか、フヨフヨと恵やお紺の周りを回って楽しそうにしている。


 しばらく湖の精霊たちと遊んだあと、本題のエルフの森を救うという議題に移ることになった。 とりあえず瘴気の件は、一度措いておいて先にこちらの件を済ませておいた方が後々にエルフの方々に協力を仰げるのではないかと判断したからである。 早速、湖の妖精に話を聞かせてもらうとしよう。



『タロウ、この森の奥にある瘴気を取り除いてほしいの!』

「とりあえず私は取り除き方を知らないから、教えてくれないかい?」



 私がそう答えると、後ろでムシャムシャと草を食べているクリスに妖精がフヨフヨとまとわりつく。



『うんとねー。 そこの半分、神獣化しているホワイトバンビだったら出来るはずだよー』

「ん……。 クリスが……?」



 自分たちの知らぬ間に神獣化しつつあるクリスがそこにいた。

 そういえば、随分長生きというか年をとらないから不思議に思っていたのだが、そうか神獣化しているのもあるから大丈夫だったのかと今さらながら納得をした。



 妖精に話を聞くとクリスが神獣化しつつある理由は、普段から瘴気が含まれている草を好んで食べているのをそこにいる土地神さまが感謝して、祝福を授けていたらしい。 クリスはアチコチ(ドワーフの村や人間の村、そして道中に歩いた道程)でそういった草を食べ、たくさんの土地神さまの感謝と祝福を受け半ば神獣化したみたいだ。



「……では?」

『そちらにいるクリスなら取り除くことができるんだよ!』



 それは、瘴気が含まれている草を食べることという訳か。

 いつも美味しそうに食べているから気にせずにいたけど、まさかこんな形で私たちの手助けをしてくれているとは思わなかった。 クリスの背中を撫でると、嬉しそうに擦り寄ってくる。 ということは、今回特に私たちでなくクリスだけで解決出来るから、同時進行が可能ということである。



 妖精に案内されて森の奥に行くと、そこには紫色に変色した草が辺り一面を覆い茂っている。

 それを見たクリスは、変色した草に飛びつくと、美味しそうに草を食べている。 かなり食欲を減退させる色だけどクリスにとっては問題ないようだ。 反対に不気味な色の草から美味しそうに食べている。



 見た感じ、私が想像していたよりも広範囲にあるので、食べるのに時間がかかりそうだ。

 まあ、ここまで色が変化しているなると、あと何度か生えかわるのを食べないと自然に浄化することが出来なさそうなので数年単位と時間がかかりそうだ。



 とりあえずこの森の件は進展があるまで妖精とクリスに任せて、私たちは瘴気のことを調べることが出来そうだ。 で、私たちは、サリアさんの案内のもとエルフが住んでいる集落というか村まで案内されることになった。 ちなみにクリスに関しては、湖の妖精が後ほど連れてきてくれるそうである。

お読み頂きありがとうございます。

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