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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第九章 戦争させない編
70/81

第70話は、料理教室の話。

よろしくお願いします。

 食生活を見直してから三か月が経過した。

 あれからゴロウさんの体重が五キロほど減り、だいぶお腹周りスマートになったようだ。

 そして元々気が短くない方だったが、以前よりも大らかになってイライラもしなくなったそうだ。



 ゴロウさんと同じ食生活をしていた奥さんのミスズさんも、少しお腹周りがスッキリしたのと、顔にあったソバカスが少し薄くなって喜んでいた。

 また一緒にお昼だけ食べていた従業員のみんなも以前よりも、少し体重が落ちて体調が良くなったとの話を聞いた。

 更にゴロウさんと同じように、ちょっとしたことで怒らなくなったので、家庭内での喧嘩が減り、家族円満になったとのことだ。



 そのような訳で、従業員の方の反応も良いようなので、ならば従業員の方の家族も一緒に同じ食生活をしようということになった。

 あれから三か月間、男性の従業員の方も毎日柑橘類を食べ、ひと月ほどで酸っぱさにも耐性が付いたのか、今では普通に食べている。

 今回は、自分達の家族も体調が良くなるのならと、お店一体で進んで食生活の改善に取り組むということになった。



 その結果というか成果がお店を閉店(六時閉店)してから一時間ほど、夢みるテント内で料理教室をすることになった。

 ただし、料理教室の材料費は、給与から天引きである。

 夢みるテントの冷蔵庫にある食材は、使えば食材が自動的に補充されるのだが、今回使う食材はこの村の物だからだ。

 そのような訳なので、食材に関しては、村の市場で調達をしている。

 今後の事も考えて、実際に家で使うのは、夢みるテントにある食材とは違うことからこのようになった。



 ただ給与から天引きの件に関しては、従業員の方も普段の自分達の食費と家族の方も思っていたので全く問題がなかった。

 反対に料理を教えてもらえて、食材のみの請求だけで済むと知って喜んでいた。

 従業員の家族の方は、今まで家庭料理は親から代々引き継いできた家庭の味ということなので、地球に居た時より種類が少なかったので、いい機会なので地球の料理も少し紹介することになった。

 とりあえず、地球の料理の件もあったので、自分たちの好きな料理というか興味のある料理を幾つか提案しようと思ったのだが、皆さん一様にレパートリーを増やすために覚えたいとのことだ。

 もちろん料理好きのミスズさんも、料理教室の参加に意欲的である。



 料理教室の初日。

 ちょっと薄暗くなっている中、従業員の家族の方がやって来た。

 全員で40人ちょっと。 思ったよりも人数が集まった。

 集まった従業員とその家族の方は、夢みるテントに驚きながらも、ゴロウさんたちの誘導もありテントにはいる。



 今回の夢みるテントの中は、学校の家庭科室のような作りになっている。

 この世界よりもずっと先の技術だけど、調理時間短縮の為に、そこは了解をしてもらおう。

 とりあえず初日の今日は、顔合わせと、今後どのように段取りをつけるかというのと、メインとなる調理器具の使い方を覚えて貰うことにする。

 その為、本日は主に見学のような感じになることを事前に伝えておいた。



 ただ実際にゴロウさんたち以外、この夢みるテントの異質な雰囲気にのまれて、大人たちは、少し呆然としている。 反対にアオバちゃんのような子どもたちは目をランランと輝かせあっちこっち触っている。

 今回、包丁などの刃物は自分たちの近くにあるので、しばらく好きなようにさせる。

 子どもたちに料理を作るのが楽しいと思ってもらうつもりなので、初めはあまりうるさく言わないつもりの予定だ。 しばらく料理教室に通うので、徐々に躾をしていき料理教室を卒業するまでに覚えてもらえばいいと思っている。

 

 

 まず顔合わせの段階でだが、やはりというかご家族の中で血圧が高いのか赤ら顔の男の人が何人か見受けられた。

 恐らく血圧が高いものと考えられたので万能薬を飲んでもらうことにした。

 ちなみにこの万能薬は、ドワーフの村でも活躍した一品で、体調不良に効き、副作用もないという優れた逸品でもある。 一見普通の水だが、効能効果は一目瞭然だった。

 一人を抜かして、服用すると顔色が変わったのだ。 やはり高血圧だったと思われる。 顔色が変わらなかった一名に関してはただの日焼けだったみたいである。

 これを見た家族の方も万能薬が気になったみたいだったので、配って飲んでもらった。

 肩こりやら腰痛、足の痛みなど、万能薬を飲んだら治ったみたいでとても喜ばれた。



 そして皆さんのテンションが高いうちに料理教室が始まった。

 とりあえず、今回は料理を作っているのを見てもらい、出来上がったら実際に食べてもらう。

 初回の今日は、いきなりというかインパクトをつける為にご飯を炊いてみることにした。

 実際に主食としてあるが、出来上がりの形が違う。

 いつもなら炊飯器を使うところ土鍋で作る。

 米を何度もすすぐことに驚き、出来上がった形に驚いている。

 普段、粉末にしているから見慣れていない為だろう。



 出来上がったご飯を興味深く見ている。

 今回は、万能薬を飲んだから問題なかろうと塩を振ってオニギリにして食べてもらうことにした。

 やっぱり、米を味わうにはシンプルがいいと思ったからだ。

 日本のに比べると、品種改良がされてなく甘味など少ないが、出来たてだから美味いはずだ。

 子どもたちの食べている笑顔でわかる。



 その日は、鳥肉と野菜を生姜メインの味付けで炒めたものを出した。

 生姜やネギ、香草などはこの世界でも簡単に手に入る。

 ちなみにゴマ油なども売っているが、結構な値段がするので、なかなか手に入らない。

 そんな訳で、無理のない値段で料理を作ったのだが反応は上々のようだ。

 酸っぱさにいかなかったので、初めて食べる男性陣の反応もいい。

 そんな訳で、料理教室初日は大成功のうちに幕を下ろした。

 次回の料理教室は、三日後である。



■ ■ ■ ■ ■



 あれからひと月ちょっとが過ぎ、料理教室の開催も十回を数えた。

 それでわかった事だが、料理を作っているのを見ていると、男性の方が作業が細かいことがわかった。

 いや正確には、細かいというか、初めて料理をする人が多いので、真面目というか真剣なのだ。

 まあ確かに包丁などあまりさわった事がないので、切る技術は女性陣に比べてお粗末だが、調味料や水の量を測ったりしたりする分に関しては、きちっとしているのだ。

 それこそ、寸分の狂いもなく量を測っているのだ。 そう真剣な表情で。



 まだこの世界には、日本のような精密な計りがないので、概ね計量カップやスプーンで測る。

 この夢みるテント内にはあるのだが、家で作ることを想定して使っていない。

 普段料理を作っている女性陣は、ちゃちゃっと経験で測っているが男性陣は、経験がないのも手伝って、いくつものスプーンを駆使して測っている。

 実際、五本のスプーンで測っているのだが、当然、各一本ずつだから重複する訳だ。

 もちろん同じ種類のスプーンや計量カップが何本も用意されている訳でもなく、各一個もしくは一本だけなので、毎回洗っては拭いてのくり返しだ。

 勿論、女性陣の中にも男性陣と同じようにしている人もいるが、割合的に見ると男性陣の方が多い。



 そうそう初めての子どももキチンと測っている。

 やはりお手伝いはしているのだけど、きちんと料理をするのは初めての子が多いので、かなり真剣な表情で作っている。

 まあその中にも楽しさがあるみたいなので、真剣さの中にも好奇心がいっぱいつまっているみたいなのだが。



 ……そう測っているよ、恵にお紺。

 この二人も感覚で作っている。

 ちなみに毎回ちょくちょく味が変わるのが、家庭の味なのだとラミア母さんからの教えなのだと。

 微妙に間違った解釈をしているが、作って貰っている私としては文句を言える立場ではない。

 ただ今回の料理教室で、料理を作ることに目覚めた男性陣には、料理を毎日作ってくれている奥さんには細かく口を出さないように陰で言い含めておいた。 そして、毎食大変な思いをして料理を作ってくれている奥さんに対して感謝の心を持つようにも言っておいた。



 そう、料理教室で喧嘩してしまっては、問題だからだ。

 本末転倒をしてはいけない。

 と、この助言が胸に響いたのか、料理教室を卒業(終わったあと)した後も、家族間は上手くいったとの報告を聞くことが出来た。


お読み頂きありがとうございます。

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