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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第一章 ネコ耳族
7/81

第7話は、異世界で初めてあった住人。

宜しくお願いします。



「今月だけで、もう三人の子どもが亡くなってしまいましたか……。この世に神は居ないのでしょうか……」


 やるせない……そんな思いです。

 まだ、半月も経っていないのに、この人口が百人もいない小さな村で既に三人の尊い子どもの命が飢えと病気で亡くなってしまったのです。

 いえ、もう村でもなかったのですね……。

 大人達は、違う街や村に出て行ってしまいました。

 ここにいるのは、私と身寄りのない子ども達だけです。

 私を含めてもたったの十二人。

 私も出来る限りの事をしていますが、個人の力では限界があります。

 誰でもいい……

 この惨状を打開して貰えるのなら、この身を捧げても構いません……。

 ですから……ですから……お願いです。助けて下さい……。




■ ■ ■ ■ ■




「よっこらせっと。ここが私達がこれから住む事になる世界ですか」

「おんぶして~」


 『はいさ』と女の子を背負う男は、身長165cmくらいで少し骨太で引き締まった身体。そして黒髪黒目でちょっとタレ目でお人好しな感じの二十代の男性である。そして、おんぶされている女の子は、三歳くらいの銀色の美しい髪を持つ碧眼の可愛らしい女の子。全く似ても似つかない親子のようだが……。




■ ■ ■ ■ ■




 男の名は、青木 太郎。二十歳。お爺さんの若かりし頃の姿で異世界に参上した。

 参上というのも変だが、白い空間の高さ50cmくらいから降りたので忍者っぽく参上したという表現にした。

 ……で、女の子は、青木 恵。三歳。もちろん竜の子である。名前はめぐみにしたらしい。

 『恵』という名前にした訳は、切ないほど愛おしいという意味と、困っている人に情けをかけるという意味がこの子にピッタリだという事で決め手になったらしい。



「おっ、ここに山菜が生えているぞ。メグミン、採ろう」

「わかった」


 二人でせっせと山の恵を享受する。

 ちなみに、メグミンは恵のあだ名である。


「メグミン、採れたかい?」

「採れた!」

「よ~し!夕飯のおかずにするから、じゃんじゃん採ろう」

「おぉ~!」


 恵が可愛らしく両手をあげる。

 バンザイの格好だ。

 この子は、誰にもあげん!と私が親馬鹿全開になった瞬間だった。



■ ■ ■ ■ ■



 私達がこっちの世界に来たのは、今からおよそ三十分くらい前である。

 管理者のお爺さんに送り届けられたのは、山の目の前だ。

 しかも山菜が群生しているので採り放題だ。

 で、生活魔法の鑑定で調べたところ、ここいらの山菜は食べられると判明。

 で、恵と楽しく山菜取りに励んでいるという訳だ。


 今日の夕飯は、山菜の天ぷらと山菜の混ぜご飯と心を躍らせる。

 そんなこんなで、一時間。

 結構な量の山菜を採った。

 恵も飽きてきた頃だと思うので切り上げる事にする。


「メグミン、もう山菜を採らないでいいぞ」

「は~い」


 恵がちょこっと離れた所からトコトコ歩いてくる。


「ダッコして~」

「手と顔を洗ってからな」

「今がいい!」

「ならこっちにおいで」

「は~い」


 恵が来たので、取り出したハンカチで容赦なく手と顔を拭いて、それから抱っこする。

 顔を拭かれた時は、不満げな表情をしたが、その後に抱っこするとその表情も緩む。

 本当ならここでキャンプを張ってもいいのだが、それだとこっちの世界の人と会わない日が続きそうなので、南の平野部に向かって歩いてみる事にした。




■ ■ ■ ■ ■




 恵を抱っこして二時間ほど歩くと、人の住んでいる建物が見えてきた。

 恵は、抱っこしてから十分ほどしたら、山菜取りではしゃいだせいか気持ち良さそうに眠ってしまっいる。


 建物に向かって歩いて行くと、それが家だとわかった。

 どうやら小さな村に辿り着いたようだ。

 村に門があったが、そこには門番がおらず自由に行き来が出来る様だ。

 どうやら、夜だけ閉じるみたいだと勝手に判断した。

 ところが、村の中に入っても、まるで人気ひとけがしない。

 人気のない村を歩いていると、他の家より少し大きな建物があった。

 とりあえず、そこに人がいないか向かってみる事にした。




■ ■ ■ ■ ■




 ふと、人の気配がした。

 盗賊……?でも、このような所に盗賊なんか出るなんて考えられない。


 もしかして、私の願いが通じたのかも……。

 私が辺りを見回すと、黒髪の優しそうな男の人が、とても可愛い女の子を抱っこしていた。


「救世主様……」


 私は、そう呟いた。

 救世主様であって欲しい。

 いえ、救世主様じゃなくても、この子達を助けてくれるのなら誰でもいい。


「お願いです。助けて下さい」


 私は、男の人に縋りついた。




■ ■ ■ ■ ■




「お願いです。助けて下さい」


 急に女の子に縋りつかれてしまった……

 私は、この状況をどうしていいかわからない。

 どうしてこうなった……?

 歩いていたら村を見つけたので入った。

 そして入って少し大きな建物を見つけたら、女の子に泣きながら足を抱きつかれた。

 やっぱりよくわからない。

 ただよくわからないが、この女の子は必死のようだ。

 見ると、まだ中学生くらいの女の子のようだ。

 そして……ネコ耳……?

 まぎれもなくネコ耳がそこにはあった。

 そういえば、管理者のお爺さんから獣人がいるって言っていたのを思い出した。

 ただ、獣人同士はあまり仲が良くないって言っていたような気もしないでもないが、私の聞き間違いとか勘違いだったのだろうか……。


 とりあえず恵を抱っこして、ネコ耳さんから足を抱きつかれているという、この無理な体勢をどうにかしたい。

 微妙に腰が疲れるのだ。とはいえ、放して貰うには足でグイグイやるしか方法がない訳だし、そんな事なんて泣いている女の子に出来る訳ないし……



■ ■ ■ ■ ■



 十五分くらいしたら、女の子も落ち着いてきて、足から離れてくれた。

 何か腰の辺りが痛い……。

 とりあえず、落ち着いてきたようなので話を聞いてみる事にした。


お読み頂きありがとうございます。

次話は、5/2 12時予定です。

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