第62話は、レスちゃんと村の発展。
よろしくお願いします。
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【レスSIDE】
おじいちゃんが亡くなったのは、私の結婚式が終わってひと月後の時でした。
私の結婚式の時は、大はしゃぎをしていました。
何故ならおじいちゃんの隣の席には太郎さんが座っていましたから。
ずーっと見せたかった村を見て褒めて貰い、太郎さんが来た当時の思い出を私たち新郎新婦そっちのけで話していました。
式を挙げる半月前から私の花嫁姿を見ていたのだから少し飽きてしまったのかもしれませんね。
何といってもデザインは、ネコミミ族の人が描いてくれたものでしたが、作ってくれたのはおじいちゃんでしたから。
サイズや手直しも全て作ってくれました。
あと、指輪も作ってくれました。
それは形見になっちゃいましたけど。
でも指輪のおかげで寂しさは半分です。
そしておじいちゃんの最後の品は、まだ生まれてというか、出来てもいない赤ちゃんが将来使うかもしれない金槌でした。
「出来たー!」
と叫んで私に渡して酒場に出掛けたのがつい先日のようです。
それから五年の月日が流れ、私たちには今年三歳になる息子と来年の春に生まれる子がいます。
でも来年生まれる子は女の子のような気がします。 お腹で暴れませんしね。
月日が経つのは早いもので、この村にも学校が出来て、六歳以上の子たちが通っています。
先生は、私のお父さんとお母さん。
王都に行っていたのでこの世界の事は詳しいですし、鍛冶の研究などもしていました。
実をいうと、私も教師なんですよ。
今は、子育て休暇中ですけど。
何といってもテレビを一番見ていましたから。
あのテレビで教えてくれる人は、今思い出すと、超一流の人だったんですね。
残念ながら私には、あそこまでは無理ですけど。
でも、あのテレビを見て思い出して、自分流にアレンジをしながら教えているんでけど、結構評判いいんですよ。
三歳の息子も、あのテレビでやっていたヨチヨチ体操を教えたらすごく喜んで癇癪をしなくなりましたし。
そうそう、私の旦那様はこの村で鍛冶が一番の十二歳年上の方です。
ドワーフ族は、結構長寿なのでこれくらいは一般的なんですよ。
相手選びは、太郎さんの教えてくれた占いで二十人くらいに候補を選んで、そこからお見合いをするのがこの村の一般的な手法です。
ちなみに、この方法で結婚したカップルで離婚をしたカップルはいないんですよ。
もちろん夫婦喧嘩はありますけどね。
ドワーフ族は、結構短気なのでおじいちゃんの子どもの頃は、朝付き合ってして夜別れるカップルが多かったと聞いていました。
流石に結婚した翌日に離婚というのはなかったみたいですが、半月後に離婚した夫婦は十組に一組もあったそうです。 ただまた一年後に再婚した夫婦も居たそうですけどね。
私と旦那様も仲はいいですよ。
結婚指輪はおじいちゃんから貰いましたけど、ネックレスは旦那様が半年かけて作ってくれましたし、ベビーベッドも旦那様お手製です。
そして今村では、復活した鍛冶技術を色々な国に広めようと、色々な種族や地方の人たちを受け入れを始めました。
太郎さん達が来た時に半分失われていた鍛冶技術のことを危惧したからです。
そして少し前から受け入れを始めたのですが、新たな問題というか何というか、良い意味での課題が出来ました。
色々な種族の方を受け入れるということは、色々な考えや風土を受け入れることになったのです。
風土といえばお酒です。
鍛冶をする人は、圧倒的に男性が多くまた酒好きの方も多かったのです。
そうなると、鍛冶5:お酒5で、どちらも夢中になるというのも仕方のないことです。
私もお酒が好きですし。
結果、たくさんの種類のお酒を受け入れましたというか作り始めました。
鍛冶のことも、お酒のことも好きな方がたくさん入ってきて、村はだんだん大きくなってきました。
そうなると周りにも商売をする人が集まり、住民が少しずつ増えてきます。
ただ私たちは、神さまや太郎さんたちに助けられたので、私たちも困った人たちを助けようという精神はいっぱいです。
初めて村に来た人には、好きになって貰う為に占いで相性の良かった人を何人か付けて少しでも早くこの村に慣れて貰うようにしています。
少しでもこの世界に恩を返せるように……。
そんな気持ちで私たちの村は、運転しています。
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【後日談】語り手……先日のこの村の住人。
この街は、半分人種の坩堝だ。
色々な種族がいっぱい居る。
だから、面白い!
ずっと住み着いている奴らも居れば移住してくる奴もいる。
反対にどっかに行く奴も居るが、それは好奇心で出て行くもんだから、すごく友好的だ。
しかも、この世界中に散らばっているから何処に行っても困らない。
俺も若い頃に旅に出たが、泊まる所に困ったことがなかったな。
でも俺らドワーフ族は、最後はやっぱり此処に戻って来るんだ。
何故か?
そりゃ、酒がここにはいっぱいあるからだ。
しかも、皆あちこちで新しい酒の情報を仕入れてくるから、ここにいればどんな酒でも手に入る。
そして酒場で、行った所に住んでいた種族とその酒について語りあう。
で、違う奴が自慢して、その酒を飲み旨かったら、そこに行ってみる。
地元で、飲むとこれまた違う感じがする。
そこでしばらく鍛冶をするんだ。
教えることは多いが、反対に気付くこともある。
そうしてこの街は良くなってきたんだ。
最近は、子どもが出来て少し動けんが、大きくなったらカカアと旅に出るのもいいかもしれんな。
お読み頂きありがとうございます。