表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第七章 滅亡しそうな種族を救うのです!
57/81

第57話は、平凡なる一日。

よろしくお願いします。



■ ■ ■ ■ ■



 最近のドワーフさんの村での生活。


 朝、だいたい6時に起床する。もちろん、恵やお紺もその時間に起きる。

 それから顔を洗ってから着替え、広場へと向かう。

 その時間になると、ドワーフの皆さんも広場に集まっている。

 何故、みんな広場に集まっているのか?

 それは私達も含め、ドワーフさんと一緒に朝のストレッチ体操をする為だ。

 ストレッチ体操には、まだ動ける妊婦さんも参加をしている。

 基本的に鍛冶をするドワーフさん達は同じ姿勢でずっと仕事をするので、同じ体の部位に負担がかかってしまう。その負担を軽減する為に教えた体操だったが、今では毎朝欠かさずに朝の広場で行われるようになった。ちなみに雨の日も集まって、欠かさずに新しい建物の中で体操をしている。


 そして体操が終わったら、その新しく作った建物に移動してみんなで食事を取る。

 食堂は学食や社員食堂のような感じで、朝の体操をしてから、みんな集まって食事をする事が何時の間にか恒例になった。

 朝食後、ドワーフさん達とここで大体30分くらい軽く打ち合わせ等をして、みんな自宅に戻って仕事を始めるのが日課になった。

 ちなみに三日に一度の講義は、朝食後にここで行われている。


 その朝の食事だけど、その準備は王都から移住してきた若い料理人を雇っている。

 レスちゃんのご両親の伝手で、この村に移住してきてくれた人である。

 独立して自分の店を持ちたいと言っていたので、この村で自分の店を出さないか?と誘ったのがキッカケでここの食堂で働いている訳である。

 いずれ独立するにしても、この食堂でみんなに味と顔を覚えて貰えれば店を出した際に贔屓をして貰えるし、きちんとお給料も払っているので何の問題もない。


 他にも農作業をする人もやって来た。

 こちらは農家の次男や三男で、自分の村で田畑を継げない人やもっと大きな田畑を持ちたいという人達である。

 王都までの道程の村々で募集をかけた所、百人ほどの人がこの村にやって来た。

 今のところ、育てた農作物は全てドワーフの村で一括して買う事になっている。

 その結果売れ残りもないし、安定した収入に繋げる事が出来る訳だ。

 買う際は勿論、少し色を付けてあげている。

 この村に居ついて貰いたいのと、この噂を聞いてもっと人が集まってきて欲しいからである。


 他にも、自分の店を持ちたい人、ドワーフの村で作っている物を取り扱いたいという人達もやって来て当初より随分と活気が出てきた。

 

 

■ ■ ■ ■ ■



 とりあえず、朝の体操など一段落したら、新しく出来た診療所で妊婦さんを訪問する。

 旦那さんが昼間は鍛冶の仕事で忙しいからである。

 一時間ほど、妊婦さんとお話をして体調面や要望を聞いたりしてあげている。

 ただ相性判断で選んだお陰かもしれないが、愚痴はあまり聞かない。

 ノロケならよく聞くが……。 

 そう産婆さんもいるけど、産婆さんだけでは手が届かないところを訪問してカバーしている感じである。


 ちなみに恵とお紺は、最近産婆さんのお手伝いをしているみたいだ。

 そろそろ産まれそうな妊婦さんの出産のお手伝いをすると気合を入れている。

 初めはあまり役に立たないけど、いずれ数をこなすうちに役に立つ日がやってくると思う。

 何事も経験が大事だと思う。


 そんな訳で、午前中は恵とお紺とは別行動になっている。

 何時の間にか自分の選んだ道に向かって動いていると思うと感慨深いものである。

 ちなみに魔法も夕食後にお紺と頑張っている。

 ただお紺の方が今では、数段上になっているけど。

 それでも不貞腐れずに毎日、鍛錬を欠かさない恵を私は誇りに思っている。

 立派な魔法少女になると私は信じている。



■ ■ ■ ■ ■



 そんな恵とお紺が午前中、産婆さんのお手伝いをしている間、私とクリス(ホワイトバンビ)は、ドワーフ以外の新たな住民とコミュニケーションをとっている。

 ドワーフさん達は、少しでも鍛冶の腕を上達させようと必死だから、比較的手の空いている私がその担当になったという訳である。


 新たな住人の皆さんは、この村で旗揚げしようとしている人達なので、やる気はいっぱいである。

 私は、この人達のやる気を折らずに、上手く誘導させる仕事である。

 なかなか精神的に疲れるけど、遣り甲斐がある。


 先ず大事なのは、ここで生活をする下地を作ってあげる事が重要になってくる。

 基本、裸一貫で来るような人達だから、大であれ小であれ不安があるのが事実だ。

 それを少しでも取り除くべく、五日に一度ほど一人ずつ話す時間を取り相談に乗っている。三分で終わる時もあれば、一時間の時もあり時間は不確定だ。だけど相談が終わる時は、顔から悩みが消え、晴れ晴れとした表情で戻っていく。

 勿論、悩みを聞くだけでなく、要望なども聞く。

 全ての要望には当然応えられないが、少しずつ擦り寄って納得の出来るようにはしている。


 ちなみに今回の要望は、簡単に言うと合コンである。

 この村には、独立して頑張ろう!という人が集まって来ているので、女の人が少ない。

 男女比率でいうと、男9:女1である。

 ドワーフさんの所とは全く違い工業高校のような感じである。

 私も実は、いずれその問題があると覚悟していた。

 ただ、急には無理なので近いうちに計画は立てると告げた。

 本人もさすがに直ぐには無理と分かっているみたいで楽しみにしていますとの事。

 うむ、なかなか大きな宿題を貰った感じである。



■ ■ ■ ■ ■



 午後になると、恵もお紺も戻って来て、昼ご飯である。

 自宅に戻って、のんびりとご飯を食べる。

 大抵、話すのは午後に何をするかとの事が多い。


 だいたい午後の予定は、空白にさせている事が多い。

 午前中のあった事や改善したい事を午後にやるようにしているからである。

 今日もいつも通り、ドワーフのレスちゃんやそのちょっと上の子を呼んで、お勉強とお菓子作りをする事になった。

 ドワーフのちびっ子は、レスちゃんを含め三人いる。

 七歳のライ君と九歳のカナちゃんだ。

 大人達は、鍛冶をしているので何もする事がないのだ。

 だから、余程のことでなければ呼んで学童保育みたいな事をしている。

 いずれもっと人数が増えたら、そのような施設を作るが、三人くらいなら引き受けても何の問題もない。

 お勉強やら遠足やらお手伝いなどをして日々健やかに成長をしている。

 もちろん、午前中の改善したいところなども一緒に付いていってお手伝いをしている訳である。

 まあその結果、後にこの経験を活かして、この子達が次代のリーダーになる。

 そんな感じで、夕飯を食べるまで預かっている。


 夕食後、レスちゃん達を自宅まで送って、のんびりとお風呂に入る。

 お風呂から上がり縁側に座って、のんびりとビールを飲みつつ今日一日の出来事を振り返る訳である。

 縁側は、自宅を作った際に一緒に作って貰ったのだ。

 その縁側に恵とお紺も座って、晴れた日には月を見て過ごすのが自分へのご褒美だ。

 足元にはクリスがうずくまり、この弛緩した雰囲気がまたいい。

 また明日も頑張れそうだ。

 ……明日は、合コンの事を朝の集まりの時に相談しよう。

 そう太郎は思った。 


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ