第45話は、ハーピー三姉妹の小話。~短いからまとめてドン!~
よろしくお願いします。
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【すずめ】
ハーピーの子。
ノンビリ屋さん。
彼女は、今日も巣を増築する?
■ ■ ■ ■ ■
今日もいい木(正確には落ちている木の枝)を拾いました。
長さ・太さ・さわり心地が絶妙です。
うん♪良い仕事してますね~。
毎日、森でお散歩をして木を拾うのが日課となっている今日この頃。
ラミアさんの二階のお部屋にある私達の巣は、どんどん快適になっていきます。
今日手に入れた木と、今住んでいる巣の一番悪い木を交換するんです。
交換した木は、薪として活用します。
エコなのですよ。エコ。
太郎パパが言ってました。
自然は限りあるものだから、どんな小さいものでも大切に扱わないといけませんよって。
だから、小さい木の枝も無駄にしないんですよ。
そして、もうちょっとしたら、理想の我が家ならぬ我が巣になりそうです。
そういえば、最近森で大きな洞窟を見つけました。
おっきな骨があって、近くにキレイで大きな石がいっぱいあったんです!
赤、緑、ピカピカ光る石がいっぱいあります。
すご――――っくキレイなのです。
持ち帰って、巣の中に置きましょう♪
ピカピカ大好きです。
今度、太郎パパに見せてあげましょう。
ふふふ、その日が来るのがとても楽しみです。
きっと、巣の素晴らしさに目を見張るに違いありません。
ふふふ……想像しただけで心が躍りますね。
【後日談】
あれ?おかしいですね。
太郎パパが精魂込めて作った巣の違いに気付いてくれませんでした。
あれ~?
この石をどうしたのかって?
拾ったんですよ~。
石を拾った場所に、みんなを案内します。
どうやら、この大きな骨さんは、ドラゴンさんらしいです。
このドラゴンさんもキレイな石の収集をするのが好きらしくいっぱい集めていたみたいです。
奇遇ですね~。
何か親近感を湧きます。
私の姉妹も『ウン、ウン』と頷いています。
結局、持ち主が亡くなっていたんで、私が貰えるみたいです。
ただ、この巣を他の人に見せないように言われました。
当然じゃないですか。
乙女の秘密は、簡単に見せてはいけないのです。
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【めじろ】
ハーピーの子。
活発な子。
空の縄張り争いで悩んでいる。
■ ■ ■ ■ ■
最近、この森の上空が騒がしいです。
なぜなら毎日、この森の上空で鳥さん達が縄張り争いをしているからなのです。
太郎パパがいる間は、恵お姉ちゃんが居たので静かだったけど、居なくなって半年もするとこの森の上空でピーチク、パーチク騒がしいったらありゃしないのです。
これじゃあ、朝ゆっくり眠れないのです!
しかも寝起きの悪いラミアさん達は、朝の時間帯はただでさえ機嫌がよろしくないのに、早朝からこの騒ぎなので、すっご~く機嫌が斜めさんなのです!
そのせいで、怒られなくてもいい事なのに怒られて、こちらとしても大迷惑なのです!
……ちょこっとミスしただけで通常の三倍怒られていると言っても過言でないはずです。
ミスは、ちょこっとなはずですよ!……たぶん。
……このままだと、私の平穏がアブナイです。
早急に対策を立てないといけません!
つまり縄張り争いを終わらせばいいのです。
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ふむ……そうですか。
一番、早く飛べばいいんですね!
今、上空にて縄張り争いしている鳥さん達に、どうすれば解決するか聞いています。
その結果、早く飛ぶのが一番という結果に落ち着いたのです。
そんな訳で私がこの中で一番となり、この無意味な縄張り争いは終結したのです。
これで、ラミア母さんやラミアお姉ちゃん達の機嫌が良くなります。
良かった~。
これで私の平穏も無事です。
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【ひばり】
ハーピーの子。
マイペースな子。
今回の小話は、はじめてのネコミミさんの村まで一人でおつかい。
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今日は、ラミア母さんからおつかいを頼まれました。
いつもなら、ひばりちゃんとすずめちゃんの三人で行くのですが、今日は生憎と二人とも出掛けてしまいました。
そんな訳で今日は、一人でネコミミさんの住んでいる村までおつかいに行きます。
今回のおつかいは、この森で作った薬草を届ける事なのです。
どうもネコミミ姉さんであるオリエちゃんが高熱を発症したみたいなのです。
門番のお兄さんが地竜に乗って急いでやって来たのです。
その門番のお兄さんが、オリエ姉ちゃんが寝込んだのを鬼の霍乱と言っていたのですが、どういった意味なのでしょう?
後で、オリエちゃんに聞かないといけません。
太郎パパが言っていたのです。
わからない時に聞かないとず~っとわからないいままだから、例え恥ずかしくても聞くんだよって。
はい!ひばり、わかりました!
オリエちゃんは、鬼の霍乱ってしっかり聞いておきます。
え~っと、確か門番の二人が言っていましたね。
あっ、用意が出来たようです。
「ひばりちゃん、寄り道せずに行ってくるのですよ。今日は、泊まってゆっくり休んで、翌日に帰ってくればいいから、無理しないようにね」
「は~い。いってきま~す」
ラミア母さんに見送られ、大空を飛んでいきます。
お空は、雲一つない青空。
こういうのを五月晴れって言うのを太郎パパに聞きました。
う~ん……気持ちいいですね。
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半日後。
ネコミミさんの村に着きました。
もうすっかり夕方です。
とりあえず、オリエちゃんのお屋敷に行かないと……。
オリエちゃんのお屋敷には、もう五回くらい来ています。
だからちゃんと辿り着けます。
「こんにちわ~」
「いらっしゃい。ここまで大丈夫だった?大変だったでしょう?」
「大丈夫だよ。何度か来ているから」
「でも、一人は初めてだったでしょ。ごめんね」
ソマリちゃんが、お屋敷から出迎えてくれた。
ソマリちゃんは今、お洋服を作るお仕事をしている。
そのせいか、とてもオシャレで可愛い。
「疲れているところ、申し訳ないんだけど、ラフさん(ラミア母さん)から、薬草を預って来てくれた薬草を頂けるかしら?」
「はい。これでオリエ姉ちゃん治る?」
「ありがと。ひばりちゃんのお陰で治るわよ♪」
薬草を受け取って、お屋敷に入るソマリちゃん。
「ひばりちゃんも、お屋敷に入ってね」
「は~い」
ソマリちゃんとオリエ姉ちゃんの所に向かいます。
オリエ姉ちゃんが、赤いお顔をして苦しそうにしています。
「鬼の霍乱?」
「えっ……。誰に聞いたの?」
「門番のお兄さん」
ピクっ……。
オリエ姉ちゃんの耳が動きました。
心なしか顔が、更に赤くなっています。
大変です。熱が上がったみたいです。
あれ?ソマリちゃんの顔色が悪いです。
ソマリちゃんも熱が出たのでしょうか?
帰ったら、薬草をもう一度持ってこないといけませんね。
【後日談】
翌日、家に戻ってからラミア母さんにその事をお話したら、ひどく痛ましげな顔をして薬草を私に渡しました。
あれ……?
オリエ姉ちゃんの薬草と違いますよ。
この薬草って、打ち身に使うお薬ですよ。
このお薬、何度か使ったから知っています。
「門番のお兄さんにゴメンナサイって言うんですよ」
「???」
ラミア母さんが私にそう言って、薬草を渡しました。
む~。何でだろう~?
お読み頂きありがとうございます。
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もし宜しければ御覧になって下さい。




