第43話は、アナ姫は世界を救う。
よろしくお願いします。
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【アナ】
ラミアの子ども。
彼女には、ある願い事がある。
その願い事を叶える為に、彼女は今日も頑張る。
アナの願い……それは。
今回も芽が生えませんでした。
私が、この植物を育てようと種を蒔いて、一週間。
今回も失敗してしまいました。
……でも諦めません。
まだ挑戦を始めたばかりですから。
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ある日、森で傷ついた妖精を見つけました。
どうやら、魔獣に襲われて怪我をしてしまったみたいです。
命は救えたのですが……。
羽が破けてしまっていたのです。
妖精にとって羽は命。
羽がなくては、この森で生きていけません。
謂わば、もう一人で生きていけないのです。
そして妖精は、こう私に言ったのです。
「助けて頂いて、大変申し訳ありませんが、私を殺して頂けませんか?」
私は絶句しました。
私が、動けずに固まっていると……。
太郎パパと逢う日が近い事に気がつきました。
妖精さんに、どうにか返事を待って貰う事にしました。
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「ありがとうございます♪」
妖精さんがみんなにお礼を言います。
結果から言うと、妖精さんの羽が治りました。
太郎パパが、万能薬(薬箱に入っているもの)を妖精さんにあげたら、羽が再生されたからです。
妖精さんの羽が治って、妖精さんとお友達になって全てが問題なく収まったけど、私は自分自身の力のなさに愕然としました。
結局、私自身は何の役にも立っていないのです。
もうあんな思いはたくさんです。
自分にも何か役に立てるものが欲しい!切実にそう思いました。
その事を太郎パパに相談したら『薬屋でも作ってみたら?』というアドバイスを頂きました。
何でも、お医者さんでもいいけど、一人だと限度があるでしょ?薬なら用法容量を守れば、誰でも服用出来るしいいんじゃない?との事でした。
それいい!
ただ、この世界に薬という概念はあまりありません。
何故なら、治癒魔法士がいるからです。
その人がいれば、薬など必要ないから、この世界では薬が遅れているのです。
私は、太郎パパにお願いして、一年ほど旅に同行して、薬を学びました(テレビで)
太郎パパも、応援してくれて、珍しい薬草の種などを一緒に採取してくれました。
そして一年後。
私はラミアの森に戻ったのです。
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そして、現在薬草を育てているのですが上手くいきません。
きっと採取した土地の気候や土壌が違うので上手くいかないのですが、私はあきらめません。
もう『私を殺してください』なんて言葉を聞きたくないからです。
その為なら、たとえ何年かかっても薬を作る事ぐらい大変でもなんでもありません。
それが太郎パパの役にも立つんですからね。
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【後日談】語り手……近所の住人。
この森には、かつて『奇跡の薬剤女王アナ姫』というラミアが居た。
今から数百年前の話だ。
この女王の作った薬を飲むと、死にそうな爺様や婆様も翌日にはうさぎ跳びや寒中水泳も出来たという逸話を持つ。
このアナ姫の作った薬は、生涯で百と八つ。
ちなみに、現存するのは八十八の薬だ。
今ではそこから派生する薬が約千種類。
この薬で助かった命は、これまでに数十万や数百万では足りないと言われている。
一般人は、当然として治癒魔法士も尊敬される人物である。
何故、治癒魔法士も尊敬しているかというと、魔法を使うと当然、魔力が減る。
アナ姫の作った薬のなかには、魔力を回復するものもあったからである。
アナ姫のお陰で、この世界における薬の発展は劇的に広まった。
アナ姫が一歩森から出ると、各国から護衛の者が付いてまわったと云われている。
なぜなら、万が一があっては困るし、各国もアナ姫に恩があるからだ。
そして一番の貢献は、この世界の住民の寿命が延びたところだろう。
人族の寿命で表せば、35歳だったのが50歳まで寿命が延びた。他の種族も然り。
そして、この世界の住民が健康になったのが一番大きい。
特に高名にしたのは、アナ姫が薬を秘匿せず惜しみなくその知識を世に広めたからだ。
ちなみに、現存していない二十種類の薬は、調合が難しく作れないからだ。
なので、レシピは存在しているので、扱える技量があれば復活するのだ。
そんな訳で、各国とも復活できるように優秀な人物を育てている。
例え、復活できなくとも優秀な人物だから、この世界に還元はあるのだ。
死してなお、アナ姫はこの世界をより良く導いているのだった。
【おしまい】
あれ……?
まだ続きます。




