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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第五章 ラミハピ森ストーリー
42/81

第42話は、ラミアとゴブリン。

よろしくお願いします。




■ ■ ■ ■ ■



【アオ】


 ラミアの子ども。

 この四姉妹の中で一番、ラミア母さんに似ている。(性格的に)

 今回は、そんなアオが太郎と別れてからの事を追ってみました。



■ ■ ■ ■ ■



 私の姉妹は、みんな仲良しです。

 でも、みんなお家でお片づけや家事をあまりしません。

 特に『ナミちゃん』。

 すぐにお外に遊びに行っちゃいます。

 そして、お母さんもちっちゃい子に手がいっぱいで余裕がありません。

 だから、いつも私は一人で家事をしています。

 とっても大変です。



■ ■ ■ ■ ■



 そんなある日、道を歩いていたら汚れているゴブリンがいました。

 ゴブリンは、ああ見えても妖精族です。

 そして何故かオスしかいません。

 繁殖するには、メスや女の人が必要なのです。

 う~ん……それにしても、ばっちいです。

 私は、ばっちいのがキライです。

 それにラミアから見てもゴブリンは下級の妖精で、弱いです。

 余程というか奇跡が起きない限り負けはしません。



 それにしても本当にばっちいですね。

 結構、離れているのに臭ってきます。

 そうだ!洗っちゃいましょう。

 そうすれば、私だけでなく他の人にも迷惑がかかりません。

 私は、ゴブリンに近付くと、水魔法で汚れを容赦なく落としていきます。

 なんか意味のわからない声をあげていますが、キレイにするので我慢してもらいます。

 ある程度汚れが落ちたので、ゴブリン君を家まで連れて帰ってみる事にしました。

 後になって、どうして私がこのような行動を起こしたか合点がいきませんが、その時はそうしちゃったのです。


 お家に帰ってから、外でゴブリンを石鹸でキレイキレイにしました。

 大事な事なのでキレイを二回使いました。

 するとどうでしょう。

 男の子だったゴブリン君が女の子になってしまったのです。

 ……なんかブサカワイイです。

 もしかして、洗うと女の子になっちゃう?

 そこで、私はそこにゴブ子ちゃん(命名)を置くと、ゴブリン狩りに出掛けました。

 そして二人程ゲットして、やはりキレイキレイにすると女の子になっちゃいました。

 これはスゴイです。

 世紀の大発見かもしれません。

 三人ともブサカワイイのでお家に連れ帰りました。

 誘拐じゃありません。拾い物です。



■ ■ ■ ■ ■



 お家に連れ帰ると、他の家族のみんなもビックリしていました。

 そして、そのゴブ子ちゃん達はスゴクキレイ好きなのです。

 キレイにした途端、性格まで180度変わってしまったのです。

 ちなみに360度だと元の木阿弥もくあみになります。

 そして、私と一緒に家事をするようになったのです。

 今まで、ラミア母さんが手伝ってくれていたのですが、この子達が来てから私達四人で家事をする事にしました。

 まだ上手に話す事が出来ませんが、四人でやると、とても楽しいのです。

 そういえば、ゴブ子ちゃん達は野菜が大好きなんです。

 キライな物がお肉みたいです。

 そんなゴブ子ちゃん達と家事をするのが私は大好きです。



■ ■ ■ ■ ■



 それから一年後。

 お家には、ゴブ子ちゃん達が八人程います。

 なんか他のみんなもゴブリン見つけたら狩って、お家に持ち帰ってくるようになったからです。

 もう半分、テレビで見た職業訓練所みたいな感じです。

 まあ楽しいからいいのですが……。

 そして、今日初めて出会った三人のゴブ子ちゃん達が旅立ちます。

 そうです。

 この子達、就職先が決まったのです。

 ちゃんと、言葉やある程度の常識も覚えたので外で働く事ができるようになったのです。

 行き先は、ブルーキャット村(お馴染みのネコミミさんの村)のオリエさんの所。

 先日、オリエさんが来てこの子達を一目見て気に入って雇うって事になったのです。

 地竜くん達が迎えに来て出荷……働きに行きました。

 ドナドナド~ナ~……ゴブ子を乗せて~。

 去って行きました。



■ ■ ■ ■ ■



 そして、さらに五年後。

 ゴブ子ちゃん達が百人ほどいます。

 最近では、ブルーキャットの村からも送られてくるようになりました。

 当然、百人も居てはお家には入りきれません。

 それ専用のお屋敷が出来上がりました。

 オカシイでしょ?私達より立派なお屋敷に住んでいるのですよ!

 むー。

 ただ、この家には太郎パパがと一緒に住んだという思い出があるから、お屋敷には移らないんですけど、微妙な葛藤があるんですよ。



 まあ、それもありましてですね……。

 私は、窓のフチをなぞるんです。

 ホコリがないかどうか……。

 モチロンありません。

 だって、誇りを持って仕事をしているのですから!



 ……ってどうしてこのような事になってしまったのでしょう?

 最近では、家政婦協会というのも出来上がりました。

 そして私が理事長を務めます。

 ちなみに、その協会はゴブ子達を派遣するのです。

 毎週、報告書が届けられて、派遣先がひどく扱ったら、そことはキッパリと縁を切ります。

 ちなみに一番派遣されているのは、貴族さまです。意外かもしれませんが。

 実は、オリエさんのところのゴブ子達の働きを他の貴族さま達がいたく感銘を受けて、自分達のお屋敷にも派遣して欲しいとお願いされたのです。

 そして、そこで働いた貴族さま達にも評判が良く……。

 トントン拍子に今では、王宮でも三人ほど雇って貰っています。

 評判は、モチロンいいですよ。



 だって、ゴブ子達って趣味が掃除。好きな事が掃除。好きな場所はキレイな所。

 キレイな所は清潔な場所。……なら、掃除してキレイにすればいい!という事になっちゃうんです。

 ご飯食べて、お風呂入って寝る以外ずーっと大好きなお掃除が出来れば幸せなゴブ子達は、どこでも人気者。



 ここに居る百人の子も順番待ちの状態なのです。

 ……そういえば、ご年配の伯爵さまがゴブ子を後添いにしたいって言っていたけど。

 いいのかな~。



■ ■ ■ ■ ■




 【伯爵とゴブ子】



 王都にある伯爵さまが居た。

 この伯爵さまは、とても偏屈でケチな人。

 それが、彼の人物評だった。

 でも彼は、初めからそんな人物じゃなかった。

 十五年前に愛する奥方を病で亡くしてから、少しずつ歯車が狂っていったのだ。

 そして、ある日伯爵は、ある噂を聞いた。

 ゴブリンが王宮で働いている。

 こう見えても気位だけは人一倍高い。

 ゴブリンなんぞに王宮で働かせるな!

 彼は、王宮に文句を言ったが、受け入れられない。

 反対に、ゴブ子の素晴らしさを延々と無理やり聞かされる事になった。



 オカシイ……



 普段なら、私と会話すらしない者達が、ゴブ子の事になると饒舌になるのだ。

 ふん!なら、一度ワシの屋敷で働かせて、沢山ダメダシをしてやる。

 偏屈な伯爵さまは、そう思い、ゴブ子申請をしました。


 それから半年後。

 運良く、ゴブ子が丁度いっぱい確保し卒業できたので、この中の一人が伯爵さまのお屋敷で働く事になりました。

 伯爵さまのお屋敷には、メイドやら執事もいたのですが、みんな伯爵さまの事がキライでした。

 だから、みんな伯爵さまに近付かず、孤独でした。


 そんな所にゴブ子はやって来ました。

 ゴブ子は、趣味の掃除を誠心誠意……まあ、趣味と仕事を兼ねていますからね。

 誠心誠意、頑張りました。

 表でも裏でも手を抜かず、掃除をし続けました。(趣味ですから)

 それを見た、伯爵さまは心を打たれました。

 ゴブ子は、絶対に影でサボっているだろうとコッソリ見ていたのですが、そんな事はなく細かな所でも手をぬきません。

 そんなゴブ子を見ていると、なんか自分が恥ずかしくなってきました。


 上に立つべき貴族が、このように影で人?の粗捜しをしていていいものだろうか?

 そう考えると、もう今までのような事が恥ずかしくて出来そうにもありません。

 そんな訳で、今までの自分のやっていた行為をやめて、貴族いや人として見本となるべく行動を起こしました。

 すると、今まで距離を取っていたメイドや執事も、伯爵さまを見直して伯爵さまの事を第一に行動をするようになりました。

 そうなると、今まで離れていた貴族も伯爵さまと懇意になっていきました。

 そして伯爵さまは気付きました。


 私は、ゴブ子に恋をしている……と。

 この事をお屋敷の人に言ったら、応援されました。

 そして、伯爵さまは、ゴブ子に言いました。



「一生、この屋敷に私と住んで欲しい」

「はい。モチロンです」



 ゴブ子は、即答しました。

 だって、この屋敷って広くてお掃除のし甲斐があるんですもの!

 こうして伯爵さまとゴブ子は、みんなに祝福され、幸せにくらしましたとさ。




 【おしまい】

お読み頂きありがとうございます。

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