第4話は、管理するお爺さんから貰える魔法と持ち物のお話。
宜しくお願いします。
そういえば、向こうの世界を管理するお爺さんから魔法と便利な持ち物が頂けるという話だったんだ。
すっかり、竜の子で頭から抜けていた。
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「それでじゃな。向こうの世界には、魔法があるというのは覚えておるか?」
「はい、覚えています」
「うむ。あちらの世界では、お主の世界でいう科学やら技術、そして医療などの分野が全て魔法というもので代用されておるのじゃ」
「それは、凄いですね。それでしたら、あちらの世界は、とても快適な筈じゃないんですか?」
「そうであるとも言うが、そうでもないとも言える。何故なら……」
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お爺さんの、言った事を簡単にまとめると、魔法を使うには魔力とセンスが必要らしい。
まず魔力は皆持っているが、持っている総量が皆バラバラとの事だ。
そしてセンスとは、想像する力と自分に向く属性、そして魔力を操る事を含めてセンスというらしい。
なので、魔力がどんなに高くても、センスがなければ意味がないらしい。
反対にセンスを磨けば、魔力の低さも上手にカバー出来るとの事だ。
魔法少女への道は、センスを磨く事から始めないといけないんだな。
私は竜の子の頭を撫でながら、どのように教育するか考え始めた。
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「お~い、聞こえておるか?」
「……、失礼しました」
「どうせ、この子の事を考えておったのじゃろ?」
「すみません」
「まあ、よい」
「ところで、お主は向こうでどのような魔法を使いたい?」
「普通に生活出来るような魔法があれば十分です。私には、この子が居ますし……」
そう言って、竜の子を抱きしめる。竜の子は、ポン♪っと竜の形態に戻って私に抱っこされた。
どうやら、竜の状態で抱っこされるのが好きなようだ。ちょっと背中をポンポンと優しくたたいてあげると、すぐにク~ク~と寝息を立てて眠ってしまった。
管理者のお爺さんは、その光景を優しく見守りながら、
「わかった。お主には生活魔法をあげよう。そして持ち物として夢見るテントを与えよう」
「夢見るテントですか??」
「そうじゃ。ちょこっと夢見るテントに入れば凄さがよくわかる」
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入ってみて驚いた……。
見た目は、普通のテントだが一歩中に入ると、ちょっと前までというか亡くなる直前まで生活していた我が家の玄関がそこには、あった……。私の住んでいた家は二階立てだったので、玄関から入ると、普通に階段があって上がると、ちゃんと二階が存在していた……。懐かしさのあまりに涙が……出ずに呆然とした。
冷蔵庫には、食料品が入っているし、浴室に行けばお風呂があってお湯が出る。トイレを見ればちゃんとウォッシュレットだし、水も流れる。流れる……?排水などどうなっているんだろう?
そういえば、食料品もあったな?食べてみよう。……普通だ。ただ冷蔵庫を閉めて再度開けると、先程と同じ光景が……?そう。同じ光景だ。簡単に言うと、減らないのだ。
テレビは……?番組表が出た。どうやら、そこから選ぶようだ。幼児番組を選択してみた。お兄さんとお姉さんが出て体操していた……。ニュースを見た。異世界ニュースがやっていた……。天使?さんがレポーターしている。私は、そっと電源を切った……。
自分の部屋に行って、音楽を聴いて少し気分を落ち着かせた。落ち着いて考えると、これなら向こうでも生活出来そうという結論に至った。生活魔法が必要?というのには疑問が残ったが……。
そして、タンスを見ると自分の持っていなかった服があった。
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私がテントから出ると、管理者のお爺さんが
「テントの中は、どうじゃった?」
と、私に聞いてきた。
私が、亡くなる直前まで住んでいた部屋と同じでしたと答えると、お爺さんが
「このテントは、持ち主の思考。まあ深層心理等によって、どのような状態にでも変更する事の出来るテントなのじゃ。だから、お主が無意識のうちに想像して出来たのが、先程のテントじゃったという事だな。じゃから、アレは無限の可能性のあるテントというか住処という訳じゃな。今後もお主によって変わってくるじゃろ」
「そういえば、中にある食べ物って、ちゃんと食べたら栄養とかになるんですか?」
「勿論じゃ。じゃから、向こうに行ってもヒモジイ思いもせずにすむじゃろ。ただ、あのテントから持ち出したりする事は出来ん。ただ、あちらの食材でなら可能じゃ。あちらの食材で料理して出来上がったものなら持ち出せるという訳じゃ。ちなみに調味料などの味付けなどは平気じゃぞ」
「ありがとうございます。ところで、あそこは誰でも住めるのですか?」
「それは無理じゃな。精々十人くらいまでじゃな」
「十人までですか?」
「そうじゃ。あと夢見るテントは、 お主がテントが欲しいと思ったら出てくるようにしたので盗まれる事もないし、邪魔にもならん。ただし、お主がいないと入れないし、お主がテントから出れば、皆、強制的に出されてしまうというのが利点であり難点でもあるな。そこは、どうしようもないので上手く考えながら使ってくれ」
「わかりました。そういえば、私が亡くなったらこれはどうなるのですか?」
「竜の子が受け継ぐ事になるから安心するがよい」
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「最後に、そなたと竜の子に不老不死に近い術をかけておこう。お主は十年に一歳、歳を取る。竜の子は15歳から百年に一歳、歳を取る。これが先ず不老じゃ。次に、お主は百歳まで竜の子は千歳まで生きる術をかけておこう。お主は、百歳になったら確実にここに戻ってくる。そして竜の子は千歳になったら、ここに戻ってくるのじゃ。これは絶対じゃな。反対に、それまでは絶対に死ねないのじゃ。言わば呪いかもしれんが。お主ならきっと上手く導いてくれると信じておる。宜しく頼む」
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それから少し、管理者のお爺さんと話をして、私達は異世界に旅立つという事になった。
お読み頂きましてありがとうございます。
次話は、5/1 0時予定です。