第38話は、旅立ち。
よろしくお願いします。
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ラミアさんの森から出発して三週間、とうとう海に着いた。
久々の海に恵とネコミミさん達は、嬉しそうだ。
そういえば、お紺にとっては初めての海だ。
お紺は、波がいったりきたりしているのに興味を持ったらしく波打ち際で波を追いかけたり逃げたりしている。
そして、ラミアさんやハーピーのちびっ子達は、海の広さに感動していた。
ただ、ハーピーのちびっ子達は海潮が少し苦手らしい。
どうやらしきりにツバサをバタバタと動かして匂いを追い払っている。
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みんな泳いだりする事より道中にネコミミさん達がずーっと海の幸の素晴らしさを話をしていたので、
まず海の魚をとる事になった。
ただ少しは、海の楽しさを知って貰おうとみんなで竿を持って釣る事にした。
ハーピーのちびっ子達が網を持って投網のように広げて落とす。
みんなで一緒にひっぱる。
うん!大漁だ。
というか、ハーピーのちびっ子達は、魚の影があるところに網を投げるからたくさん獲れるのが当然といえば当然なんだけどね。
まずは何といっても新鮮なので、包丁で切って刺身で食べる。
ラミアさん達が美味しそうに食べている。
次に鉄板を取り出して焼いた魚貝類を食べる。
焼けた魚貝類に醤油を一垂らし。
絶品だ。
冷蔵庫からビールを取り出し、ラミア母さんと一緒に飲む。至福である。
子ども達は、食べ終えたら、波打ち際で走って遊んでいる。
それを見ながらビールを飲むのも乙ですな。
……で、最後に食べきれなかったお魚を干物にする。
これでネコミミさん達の村へのお土産もバッチリだ。
村へのお土産を確保できたのでネコミミさん達は、ご機嫌でお魚を頬張って食べている。
干物を焼いて食べて美味しいとビックリしている。
そういえば、一緒の時は食べた事なかった気がする。
ただベガルは、魚を見てブツブツ言っている。
「この魚を加工して、どうにか毎日食べられないだろうか。そうすれば……毎日食べれる」
それを聞いたお料理好きのアビとクーンも
「そうよね。この魚を村でも食べたいわ」
「この魚を料理して、みんなの食卓に届けられれば、みんな気持ちが豊かになると思うの!」
「そうだよな。そうすれば先生の言った人を幸せにする事が出来るしな。……よし!俺が保存出来るのを作るから、アビとクーンは、味付けをたのむ」
『わかったわ』
こうして、後世に語り継がれる事になるツナ缶の一歩がここに。
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帰りは、約一ヶ月かけてのんびりと家に帰ってきた。
お別れの日が近いから、自然と歩くのが遅くなった。
帰り道は、ラミアさんの所で過ごした話やネコミミさんの所で過ごした思い出話がほとんどだった。
旅の事より、今まで過ごしてきた日を懐かしむように、笑って話をした。
みんな頑張ったから大変だった事も今では、笑い話になる。
ここにいるみんなの魂は、本当に光り輝いている。
この旅の出来事は、私と離れた後にきっとするんだろうね。
森から出て行く日になった。
旅立つメンバーは恵とお紺とそしてクリスだ。
出発当日は、みんな朝からソワソワしていた。
何時もと同じ朝だけど、もうこれと同じ日はやってこない。
慣れ親しんだ日常と家族に別れたくはないけど、一歩前に行かないといけない。
なんか禅問答をしているかのようだ。
禅問答しても、刻一刻とラミアさんやハーピーちゃんとの別れがせまっている。
どうすればいいかと、悩んでいたら、ラミアのお母さんから『みんなに最後ギュッと抱きしめてあげて貰えませんか』と言われた。
……そうか。これでいいんだ、いやこれがいいんだなと思い、一人一人にこれまでの感謝を込めて優しく抱きしめた。
ラミアさん達やハーピーのちびっ子達は、抱きしめると堰を切ったように泣き出した。
けど、出て行く理由をしっているから決して引きとめなかった。
ひとしきり泣いたあとは、先ほどと違って、みんな晴れやかな顔をしていた。
なんか吹っ切れたような晴れやかな顔で、次に会う時の事などを恵やお紺と話をしていた。
そして、みんなに見送られて、私達は旅立った。
お読みいただきありがとうございます。




