第37話は、思い出と。
よろしくお願いします。
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あれから三年が経過した。
この三年の間にラミアさん達が住む家が出来上がった。
完成したのは、半年前くらいになる。
そして、私達は現在そこを拠点として生活をしている。
夢見るテントを使うのは、主にトイレに行く時くらいかな。
ラミアさんといい、ハーピーのちびっ子もそうだけどおトイレはネコ砂のようなところでするからね。
そして食事や寝る所も当然、新しい家という事になる。
食材は、もちろん森から採っているのを使用している。
そういえば理想の森作りは、着々と成果をあげている。
森の動物達も少し増えてきた。
まだ小動物だけど、よく顔を見せる。
そして、時折美味しく頂く。
魂の救済は?と思われるかもしれないが、ここまで成長したのだから魂は壊れていない。
動物の場合は、育つ前に死んでしまう方が壊れやすい傾向にある。
したがって、ここまで育てばほとんど大丈夫のようだ。
ただし、わざと苦しめて殺したりしたら、当然ダメである。
一番いいのは、苦しまないうちに逝かせてあげる事。
そして、その命に感謝して食べる。
幸いラミアさんは、狩りが上手いのでサクッと狩ってきている。
子ども達も今ではもう立派なハンターになっている。
私には、そういう素早い事は無理だから、料理の方で挽回をする事にしている。
最近、ラミアさんの子ども達も料理を積極的にするようになって、少し嬉しい。
そんな訳で今では、ラミアの子ども達と私が料理をする光景はすでに風物詩となりつつある。
ところで完成した家は、レンガ造りで二階建ての家だ。
一階は、ラミアさんの住むところと客間がある。
そして、客間に私とクリスが一緒に居る。
ラミアのお母さんと恵とお紺が一緒に住んで、ラミアの少女達が同じ部屋になっている。
クリスっ大きいし、外じゃないの?って云われそうだが、ずーっと一緒に住んでいるのでその流れで誰も疑問が湧かないようだ。
そしてラミアのお母さんの部屋には、恵とお紺がいる。
この子達のお母さんは既にいないので、お別れの前に一緒に住む事によって寂しさもそうだけど、お母さんの温かさを教えてあげたいと思い、ラミアのお母さんに私がお願いした。
ラミアのお母さんは、母性本能が強い人なので喜んで提案を受け入れてくれた。
もうハーピーのちびっ子達も、空を自分のツバサで飛んで以来、自分達で寝られるようになったので何の問題もない。
そんな訳で恵とお紺は、ラミアのお母さんにいっぱい甘えている。
そして居間には、大きな暖炉がありこの家全体が暖まるように設計されている。
ラミアさんだけじゃなく、ハーピーの子達も寒さに強いと云えないから、きちんと家中が暖まるように考えた。幸い木はいっぱいあるし、秋くらいに天井裏にでも溜め込んでおけば、冬の間は大丈夫だからね。
二階はハーピーさんの住むところになっている。
ちなみにその二階は、床全体に木が敷き詰められている。
何でもハーピーのちびっ子達が、拾ってきたらしい。
それが巣のようになっている。
始め散らばっていたのでラミアさんのお母さんがゴミかと思い、それを捨ててしまったら、ハーピーのちびっ子達が泣いて抗議していた。
まあ始めは、私がみてもゴミみたいだったからね。
でもハーピーのちびっ子達曰く、一つ一つ手触り?を吟味して一生懸命探したのだそうだ。
確かに汚れていなくて、なかなかいい木のような気もする。
よく分からないが、ここで貶してしまったら傷つくので褒めてあげる。
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そんなハーピーのちびっ子達は、空を飛べるようになった。
あれから毎日、練習して飛べたのが二年ほど前の事。
今では風魔法も覚え、それを一緒に駆使して飛ぶと、そこいらに飛んでいる猛禽類よりも数倍早く飛べるようになった。
時折、ネコミミさん所に行って、ご飯を食べてくる。
そして、夕飯を残して怒られる。
云わば、お約束である。
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そして、約束の日が来て、ネコミミさん達が森にやって来た。
そのネコミミさん達だけど、ここまで歩いて来たそうだ。
地竜に乗っても良かったけど、太郎先生達が歩いたこの道を一度、自分達の足で歩いてみたかったとの事で、村で一緒に過ごした日々をみんなで話ながらのんびりと来たそうだ。
幸い、道中何事もなかったとの事。
ただ途中で、突進してきた猪は、美味しく頂いたとの事だ。
そういえば、ラミアさんの森とネコミミさんとの村交流がちょっと前から始まった。
ハーピーのちびっ子達が飛べば、ネコミミさんの村まで半日で着くというので、太郎先生&お父さん繋がりで一緒に発展させませんか?との事だ。
とりあえず、毎月手紙のやりとりをする事から始まり、今では欲しい物などを手紙に書いてネコミミさんの村から持って行き、帰りにラミアさんの村が用意した物資を持ち帰ろうという話まで発展しているから近いうちに実現すると思われる。
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ネコミミさんが来たので海に行く事になった。
ラミアさんの所は、まだ一軒しかないから見るところもまだないからね。
そういえばこの旅から帰ってたら、出て行く事はだいぶ前に話しているので、ラミアさんやハーピーのちびっ子に言ってある。
ただ『これでお別れじゃないんだよ』と話しているけど、ラミアさんの子どもやハーピーのちびっ子達は、私に甘えてくる。
ネコミミさん達も久しぶりという事もあり、甘えてくる。
そんな訳で海まで、ほぼ倍の時間である約三週間かかった。
手を繋ぐ順番やらで思いのほか時間をとられたからね。
そういえば、ネコミミ少女のオリエさんに『そんなに村を空けて大丈夫なの?』と聞いたところ、『他の村人さんにお願いしたから大丈夫ですよ』との答えが返ってきた。
そのネコミミさんの村だけど今では、百人程移住してきて賑わってきているとの話だ。
来月も二家族が来るので楽しみらしい。
もうその家族が入居する家の準備もしてきたから、のんびり出来るとの事だ。
相変わらず、手際がいい。
これで、執事熱さえなければ完璧だったのに非常に残念だけど、かえってそれが親しみやすい?のかな。
そして道中は、もちろん夢見るテントで移動する。
ネコミミさん達にとっては、久しぶりの夢見るテントで興奮をしている。
テントから出る前は、テレビに釘付けの状態だ。
どうやらこの機会に新たな事を覚えたいらしくとても真剣で、テレビを見ながらメモを取っている。
生活していくにつれて、見えない事が見えてきたらしい。
そんな訳で雨の日は、一日中テレビの前にいる。
あまりも夢中でネコミミさん達の目が悪くなりそうなので、午前中と午後の各二時間にする事になった。
……そして、ネコミミ少女、新たな執事漫画を見つける。
感動する。
当然、翌日寝坊する。
この子は、本当にぶれないなと本当に感心する。
そして、翌日から一日に一冊の支給になった。
お読みいただきありがとうございます。
次話は、6/25 11時予定です。




