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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第四章 お出掛け編
34/81

第34話は、ネコミミさんの村で。

よろしくお願いします。



■ ■ ■ ■ ■



 私達を見つけてネコミミ少女のオリエ姉さんが、駆け寄ってきた。



「……太郎先生……お久しぶり振りです……」



 それだけ言うと、ネコミミ少女は、泣き崩れた。

 出会った頃を思い出し、少し胸が熱くなる。

 そして私はあの頃のように、彼女が落ち着くまで頭を撫でる事にした。

 しばらく撫でていると落ち着いてきた様で



「すみません。太郎先生が急にいらっしゃったので、嬉しさのあまり取り乱しちゃって」



 と、ネコミミ少女が自分の先ほどの姿を思いだし恥ずかしそうに言った。



「いや、何の前触れもなく私達が来たのだから驚いても仕方のない事だよ。ところで、私達が旅立ったあと、みんなは元気にしていたかい?」

「はい!ご覧の通りみんな元気です!」

「そうか、それは良かった。それで、久しぶりにこの村に来たのだから少し居たいのだけど大丈夫かな?」

「えっ!本当ですか♪せっかくなので少しと言わずにしばらくゆっくりしていって下さい。みんな大喜びなのですから」


 

ネコミミ少女のオリエ姉さんが、そう言うと、周りのネコミミさん達から歓声があがった。



「それなら、少しばかりお世話になるかな。……で、私達とラミアさんやハーピーちゃんは、いつもの夢見るテントでいいけど、一緒に来たネコミミさん一家に休める所などを、お願いしてもいいかな?」

「勿論ですよ。先生達も宜しければ、新しく出来た屋敷で休まれませんか?」

「新しく出来た屋敷?」

「はい。執事様とご主人様を迎え入れる屋敷ですが、先日完成したんです!」



 ……あぁ、何時か実行にうつすかなぁと思っていたけど、早くも完成させてしまったんだな……。

 あの子は、ちびっ子達に対して思いやり深いところがあるけど、それだけじゃなく、自分の夢にもまっしぐらだからなぁ。

 しかも、ノンビリした性格の様に見えてかなりのハイスペックなところがあるしね。



「でも、執事さんとご主人さまが入る前に私達が使ってちゃっても良いのかい?」

「はい、執事さ……じゃなく、ご主人様を迎えるにあたり、少しでも練習したくて……。ただ他の子達だと、慣れが出ちゃうので練習にならないので、是非ともお願いします。至らない点等がありましたら、遠慮なく指摘して下さい」

「わかったよ。念のため、あちらのご一家にこの件を聞いてみるね」




 私があちらの家族に、屋敷での滞在をすすめてみたところ、お父さんとお母さんが恐縮、子ども達が大喜びだった。お父さんとお母さんには、素人の練習に気軽にお付き合い下さいと云ったのだが……。


 先ほど、私自身がネコミミ少女はハイスペックと言ったのを忘れていた……。

 ……というか、マナーから料理まで、完璧だった。

 しかも、あちらのご一家が恥をかかない様に細かな気配りまでされていた。

 そんな訳で、ネコミミ屋敷は至って快適に過ごしている。



■ ■ ■ ■ ■



 そして私達はというと、屋敷での快適な滞在生活を送りながらも、私個人はネコミミさん達と『ブルーキャット村』の開拓と発展に対して少し話しをした。

 とりあえず初めに特に掘り当てた温泉を誉めて、この温泉を宣伝に使っては云々(うんぬん)。

 名産品として温泉を使った饅頭やゆで卵など。

 そして湯上がりに牛乳やアイス、マッサージや床屋など。

 他にも、温泉の休憩所に江戸時代に置かれていたという将棋・似た感じでオセロなどを提案した。オセロに関しては昔、教えた事があるから将棋を教える事にした。

 麻雀は、賭事が大きくなりそうだったので、もう少しこの世界のモラルが高くなってから教える事にしよう。

 卓球も考えたんだけど、また汗かいちゃうからね。

 いったん保留かな。



 ……と、まあ地球と云うか日本にあって成功したとを教えていった。

 みんな、真面目に聞いて、わからない事は質問してきた。



■ ■ ■ ■ ■



 そして、恵とお紺は……というと、思い出話やネコミミさん達と別れたあとの三年間の話を聞いたり、お紺やラミアさん・ハーピーちゃん達との出逢いなどを手などの動作を交えながら話をしたりなどをしている。

 でも途中で脱線して、私から教えて貰った歌や遊びなどを教えてたりしてワイワイガヤガヤしている。

 ただ、やっぱり一番人気は、昔話や童話だったりする。

 この世界にその類の物が少ないのか、こう云った話をすると非常に喜ばれる。

 勿論、途中で一緒になったネコミミのちびっ子達もお話の時は、輪の中にいる。

 お父さんやお母さんまで、聞く準備をしているくらいだ。



 ふむ。

 なら私は、この世界にいる間に童話でも作るかね。

 みんなが幸せな気分になるような童話でも。



■ ■ ■ ■ ■



 ラミアのお母さんは、料理好きのアビとクーン達と料理談議をしたり、台所で一緒に料理を作ったりしている。

 ちなみにこの村に来てからハーピーちゃん達は、オリエ姉さんがお世話している。

 なんでも、執事さんとオリエ姉さんの間に子どもが出来たり、ご主人様の子どもが出来た時に困らないようにするのに打ってつけとの事。

 ……ただ、先に執事さんとの間に子どもと言っているあたりが、オリエ姉さんの真骨頂なのだろう。

 そんな訳で、ラミア母さんは、新たな料理を覚えるべく一生懸命修行中である。



■ ■ ■ ■ ■


 次にラミアの子ども達とホワイトバンビの『クリス』は、ラグとベルに連れられて森に行った。

 どうやら、ラミアの子ども達は、噂の地竜を見たいとおねだりをしたみたいだ。

 他にも、自分達で森を作っているので、この森の素晴らしさを勉強したいというのもあったんだろう。

 近くで地竜を見たラミアの子ども達は、大興奮。

 反対にホワイトバンビのクリスは、完全に萎縮してしまったとの事だ。

 クリスは、同じ魔獣だから力の違いがハッキリわかったのだろう。

 ……ただ、クリスよ。

 君の近くに居る、恵やお紺はこの地竜ですら腹をだしてひれ伏すくらいなのだぞ……。

 ただ、恵やお紺まで実力の差があると、反対に怖くないのかもしれない。

 云わば、人間が災害を諦めて受け入れているようにね。



■ ■ ■ ■ ■



 あと、ネコミミさん一家は、三日間ほど滞在して家に帰って行った。

 この村での生活は思った以上に良かったらしく、早くここに住みたいとの事だ。

 奥さんや子ども達もネコミミさん達とふれあい、あっという間に慣れてお別れする際には涙ぐんでいた。

 あと三ヶ月したら、引っ越すと言っていたんだけど……。

 ただ、この村に新たな住民が増えるのが確実になったみたいだね。

 今後も良き住人が増える事を期待したい。



■ ■ ■ ■ ■



 そのネコミミさん一家だけど、旧い家をリフォームして住むらしい。

 当然、温泉も付けて。

 翌日から、ラミアさん一家もネコミミさん達を手伝って一緒にリフォームしている。

 ラミアさんも先を見据えて、この機会を利用するとの事だ。

 ラミアの子ども達は、ネコミミさんの村に来て、またいい具合に成長したみたいである。

 元々、自立心旺盛な子ども達だったけど、ネコミミさんの村に来て感銘を受け、更に拍車が掛かったみたいだ。

 ただお母さんが心配である。



 そして、ネコミミさんの村に来て約半月が過ぎた。

お読み頂きありがとうございます。

次話は、6/21 11時予定です。

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