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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第四章 お出掛け編
32/81

第32話は、ネコミミさん達の村へ出発する話。

よろしくお願いします。



■ ■ ■ ■ ■



 お出掛けの準備が整った。

 ハーピーのちびっ子は、まだ幼く空も飛べないので、疲れたら私とラミアのお母さんと恵がおんぶ紐で背負って行く事になった。

 ちなみに、恵は自分からハーピーの子をおんぶすると言った。



 そういえば、恵も十三歳になっていたな。

 もうすっかりお姉さんになった。

 ネコミミさんに会った時は、私が背負っていたんだよな。

 ……月日が経つのは早いな。



 と、それなら……と、恵にお願いすると、恵は『まかせて!』とギュッと握りこぶしをした。



■ ■ ■ ■ ■



 そのような訳で、ネコミミさんの村を目指してゆっくりと歩いて行く事になった。

 何と言っても自宅を持参しているような旅という事で、特に急いだりする必要はないので、のんびりと辺りの風景などを楽しみながら歩いている。



 子ども達にとっては、この旅行は初めての森から出るという事なので楽しい思い出になってくれたら……とラミアのお母さんと事前に話をして、ノンビリと進んでいるという訳である。

 小川のせせらぎを見つけて、ラミアやハーピーのちびっ子達がそこで軽く水遊びをするのを眺めては、ゆっくりと進み、木の実やキノコ類を見つけては、種類や食用かなどを調べたり採ったりしながら、ピクニック気分で歩いて行く。

 一度、熊みたいなモノを見かけたが、お紺を見るなりきびすを返し、大慌てで引き返して行ったのだが……、お紺さんや何かしたのかい?と聞いたところ、にこやかに一緒に遊んだだけだよと返された。



 そして、午後四時くらいになったら、そこで今日の遠足というか旅もおしまいになる。

 その後は、いつも通りにお家に帰ってお風呂に入り、夕飯を食べてのんびりと過ごす。

 もちろん、雨の時は自宅待機という事になり、午前中はお勉強で午後からは、お家で本を読んであげたり、スポーツや歌を覚えたりして一日を過ごす事になる。



 本当に夢見るテントをくれた管理者のお爺さんには感謝する。

 おかげで、楽しい旅を満喫する事が出来るのだから。

 ここまでくると、旅というか怪しいモノだけど……。

 まあちゃんとした旅は、もうちょっと大きくなったら、一度しないといけないね。

 勿論その時は、夢見るテント抜きでね。



■ ■ ■ ■ ■



 それからおよそ一ヶ月が経過した。

 ラミアさんの森からネコミミさんの村まで大人なら歩いて、約一週間で着くところだけど、あいにくの雨とのんびりと物見遊山をしていたので、いまだに着いていない。

 そして、あと半日でネコミミさんの村に到着といったところで、見知らぬネコミミさん一家が右往左往している所に出会った。



「どうしたんですか?」



 私がネコミミさん一家のお父さんらしき人に聞いた。

 すると、そのお父さんらしき人が



「いや、ここいらにネコミミ族の村があると聞いたのだが……、何か聞いた事あるかい?」

「……それなら……」

「いや、人族のあなたに聞いてもわからんよね……」



 むぅ……。

 一方的に話して、答えようとしたところ、一方的に話を終わらせて、またウンウンと唸っている。

 人に聞いたのなら、きちんと相手が返答するまで聞くことが大切だ。

 まあ、それはさておき、ネコミミ父さんに返答をする。



「いや、知ってますよ」

「分かってる、知らな……って、えっ!知っているのか!」

「ええ。少し前までそのネコミミさんの村に住んでいましたから」

「助かった……。最近、その村の評判が良く引っ越そうかと思い、一度家族で見に来たんだよ」

「ほぅ……。どんな風に評判が良いと聞いたんですか?」


 あのネコミミさん達の村が評判良いと聞いて、どのような評判か興味が湧いたのだ。

 身内と思っているネコミミさん達の評判が良いと聞くと、自分の事以上に嬉しくなって聞いてしまった。



「……そうだな。色々と聞いた所、何でも先日、疲れを取るお湯が沸き出したとの事だ」



 ……えっ、温泉を掘り当てたの!!

 それは、凄いなネコミミさん達。

 私もビックリしたよ。



「ってそうなんですか!」

「他にも、地竜が居て村を守ってくれているから、魔獣や盗賊が来ないから安心なんだとよ」

「ほぅ~そうですか。そうですか」



 ふむふむ。あの地竜がねぇ……。

 恵がネコミミさん達と橋渡しをしたんだが、ちゃんとネコミミさん達と仲良くやってんだな。

 こりゃ、先生としても嬉しいよ。

 うんうん!みんな仲良くだよね。



「その村自体は、まだまだなのだが、安心して健康でいられるとなれば、今後にの発展に期待が出来るからな。そんな訳で、まず噂の疲れを取るお湯と云うのを見に行こうって話だ」

「そうですか。それでしたら、私達が案内致しましょう」

「本当か。あんた、人族なのに良い奴だな。そういえば、あんた等って珍しい組み合わせをしているな」

「今さらですか?」

「いやぁ、悪い悪い。さっきまで途方に暮れて、それどころじゃなかったんだよ」

「まあ、いいですけどね。ただ、私達は幼子がいるから、少しペースが遅くなりますよ」

「おぅ。どうせ迷ってたんだ。少しくらい遅くなっても構わんよ。こっちにもちびっ子が居るからな。せっかくだから、歩かせて行くよ」



■ ■ ■ ■ ■



 そんな訳で、ネコミミさん一家と村に向かう事になった。

 ネコミミさん一家は、お父さんとお母さん、十歳くらいのお姉ちゃんと七歳くらいの弟の計四人だ。

 道中、ネコミミさん達との出会いや旅、そして家作りなどを話してゆっくり村に向かった。

 ラミアさん達やお紺は、一度その話を聞いていたが、今回も耳を傾けていた。

 ちなみに、ハーピーのちびっ子達は、私達の背中で気持ち良さそうに寝ている。

 ……で、その話を聞き終わったお父さんとお母さんは、ネコミミさん達の境遇に涙し、お姉ちゃんと弟は、旅や家作りの事を聞いて目をランランと輝かせていた。



 そして、お父さんとお母さんは、号泣しながら私に抱きつき『ありがとう、ありがとう。あんたは、ネコミミ族の恩人だ』と熱く抱擁したのだが、残念ながら私は、そこまで熱くない。だって、もう三年前のお話だから……、あの時だったら、一緒に感動出来たんだろう。……とはいえ、邪険にも出来ず『ネコミミさん達は頑張りました』と言うと『そうだな。あいつ等は偉いな』と感極まっている。むぅ……。どうしよう……。

 とりあえず、落ち着くまで熱い抱擁が続いた。

 ネコミミのちびっ子達は、その間クロス君に夢中だ。クロス君に乗せて貰って、大喜びだ。

 


 とまあ、みんなの興奮が覚めてから、歩く事三時間。

 地平線の彼方にネコミミさんの村が見えてきた。



お読み頂きありがとうございます。

次話は、6/19 11時予定です。

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