第25話は、お父さんになりました。
よろしくお願いします。
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食事が終わったので、とりあえず自己紹介をする。
ちびっ子達は、簡単に自分の名前を言って貰ってから恵とお紺に連れられてテレビの置いてある部屋に行った。
大人の話なんて、ちびっ子達が理解出来ないので恵とお紺に任せて、少しでも楽しい思い出を作ってもらった方が建設的だ。
そんな訳で、ラミアお母さんの前にお茶を出して、お互いに話をする態勢に入る。
ただ、それ程難しい話でもないのでゆっくりお茶でも飲んでという訳だ。
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【ラミアのお母さんとちびっ子の名前】
ラミアのお母さん:ラフ(ラフグリーンスネーク)
ちびっ子A:ナミ(ナミヘビ)
ちびっ子B:アオ(アオダイショウ)
ちびっ子C:アナ(アナコンダ)
ちびっ子D:キン(キングコブラ)
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「私の怪我を治して下さりありがとうございました。……ところで、私の身体に傷が残っていなかったのですが、どうしたのでしょう?」
「ええ、家にあった薬箱にあった消毒薬を使用したところ、私もビックリしたのですが、傷が治ってしまったんですよ。……で、傷口にあった箇所に違和感でもおありで?」
「いえ、全くありません。痛みや引きつった所もなく、これまで通りです」
「それは、良かった。とりあえず、安静にして二、三日様子をみましょう」
「それまで、こちらに住んで宜しいので?」
「勿論です。出来ればしばらくこちらに住みませんか?」
「……えっ」
「勿論、無理やり住めとは言いませんが……」
「本当ですか。お願いします」
ラフさんが、テーブルに額を付けてお願いしてくる。
「こちらこそ、お願いしますね。それより、お願いがあるんですが……」
「何でしょう?」
「恵とお紺ですが、訳あって母親がいないんですよ。宜しければ、ラフさんがここに住んでいる間だけでも母親代わりになって貰えませんか?」
「それでしたら、太郎さんもあの子達の父親代わりに……」
「勿論、私でよければ」
『フフフ、ハハハ……』
二人は吹き出したのだった。
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【ラフSIDE】
失神から目を覚ましたら、柔らかい敷物に寝かされ、ふんわりとした温かい布を掛けられていました。
横を見ると私の可愛い子達が、規則正しい寝息をたてています。
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……そういえば、身体に痛みがありません。
流石に多少のだるさは残っていますが、痛みが全くないのです。
私は、起き上がると、自分の身体を確認します。
冒険者と戦い傷ついた筈だったのですが、今確認したところ、そのような形跡など跡形もないのです。
ただ、昔のちょっとした古傷は残っていましたが……。
ちょっとモゾモゾしたのが原因でしょう。
子ども達が目を覚ましました。
『お母さ~ん!』
子ども達は、目を覚ますなり私に抱きついてきました。
私は、子ども達を抱きしめ頭を撫でます。
こっとこの子達は、私と別れた後、怖い思いをしたのでしょう……
「お母さん、白くてピカピカしてきれいなドラゴンさんがね!」
「うん!ギャオ~ってね」
「すごかったー。怖い人達が逃げちゃったんだよ」
「でも、ビックリして寝ちゃったけどね」
何やら凄い体験をしたようですね……。
きっと、私の聞いた咆哮はドラゴンのものだったのでしょう。
そういえば、この世界を司るドラゴンも白銀と聞いた事があります。
……まさか……ね。
そんな話をしていると、部屋の外から話し声が聞こえました。
そういえば、助けて頂いた方に、お礼を言っていませんね。
まだ興奮している子ども達を落ち着かせて、声のする方に行く事にしました。
料理を作っている部屋に行くと、男性と女の子が白い戸棚(冷蔵庫)にお椀みたいなのを入れている所でした。
「何かいい匂い」
「美味しそう……」
そんな子ども達に『助けて頂いたのですから、ちゃんとお礼を言ってお行儀よくしなさい』と言いつけました。
いい匂いがする場所に着くと、私を案内してくれた優しそうな男の人が料理を作っていました。
料理の方も、丁度完成したらしく私達の方に振り返り『こちらにどうぞ』と、良い匂い(イグサの匂い)のする部屋に案内されました。
その前に、先ずはお礼をしないと、
「この度は、危ういところ、助けて頂きありがとうございました」
『ありがとう!』
子ども達も私に続いてお礼を言います。
すると、男の人は柔らかい笑みを浮かべると
「気持ちは、受け取りました。とりあえずは、作った料理を食べてからお話しませんか?」
と云われ、やわらかいクッション(座布団)が敷かれ、その上に座るように促されました。
その柔らかいクッションに座ると、私をここまで案内してくれた女の子が、料理を持ってきてくれます。まだ、私の子と大して代わらないのに、随分としっかりした子です。
料理は、白と黄色のきれいな食べ物(タマゴ粥)でした。
男の人は、
「まだ少し熱いので、気をつけてくださいね」
と、云って食べるように促してくれました。
子ども達は「ふ~ふ~」しながら、美味しそうに食べています。
男の人は、この料理はタマゴ粥だよと料理名を云って、まだあるからゆっくり食べなさいと子ども達にお代わりをよそってくれています。
タマゴ粥は、さっぱりとしてとても優しい味でした。
感動する程の美味しさでは、ありませんでしたが、体に優しく心がホッとする料理でした。
食後しばらくすると、男の人が先程白い戸棚にいれたお椀を私達に出してくれました。
今回は、女の子の前にも用意され、女の子はそのお椀を見て満面の笑みになっています。
どのように食べるか思案に暮れていると男の人が、女の子に、
「先に食べなさい」
と言って、食べ方を見せてくれました。
女の子は、その料理を食べて、幸せそうな表情を浮かべています。
私達も食べました。
先程の料理と違い、濃厚な味と甘さが口中に広がります。
だけど、とっても優しい味がしました。
このような料理なんて始めてです。
人族は、いつもこのような料理を食べているのでしょうか?
子ども達も『美味し~』と言うなり、黙々と口にその料理を運びます。
上の方から食べていくと、茶色の液体があり、それを上の黄色の部分と食べると味が引き締まりました。
一つ食べ終わると、男の人が微笑みながら、二個目を持ってきてくれます。
男の人は、この料理を『プリン』と云って、主食を食べた後に食べるデザートだよと教えてくれました。
私が無意識のうちに『とても優しい味。私にも作れるかしら……』と言うと、男の人が今度一緒に作りましょうと言ってくれました。子ども達がその事を聞いて歓声をあげます。
楽しい食事の時間が終わると、女の子が子ども達を促して、違う部屋に遊びに行きました。
これは、男の人が女の子に言ったからなのでしょう。
本来なら今後の事も含め、息苦しく頭の痛くなるような状況ですが、何故か今の私はそのような気持ちにはなれませんでした。
きっとこの男の人の料理を食べたお陰かもしれません。
先程の料理を作った人が、酷い事を提案するなんて考えられません。
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私達に新しい家族が出来ました。
ずーっとじゃないかもしれませんが、子ども達に新しいお父さんとお姉さんが出来ました。
本来、ラミアには父親はいないのですが、私達には出来ました。
お父さんの名前は『太郎パパ』。
とっても優しくて素敵なお父さんです。
そして、この家に住む事も決まりました。
後で、子ども達が戻ってきたら説明するとしましょう。
あの子達の驚く顔が楽しみです。
お読み頂きありがとうございます。
次話は、6/5 11時予定です。




