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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第三章 森の魔物
24/81

第24話は、ラミアと卵料理とハミガキと。

よろしくお願いします。




■ ■ ■ ■ ■



 ラミアの親子が起きたのは、あの出来事から一日半過ぎての頃だった。

 きっと肉体的にも精神的にも参っていたのが原因と考えられる。



『あ……、お母さん!』



 会えた喜びで泣いている声が離れた此処まで聞こえる。

 同じ泣き声でも、悲しみでなく喜びの泣き声なら大歓迎だ。

 啜りあう泣き声が聞こえたが、しばらくすると泣き声も収まり、こちらに近付く音が聞こえる。



■ ■ ■ ■ ■



 私達は今、台所にいる。

 寝室から起きた気配がしたので、何か食べ物でもと思い、台所で料理を作っているところだ。

 ちなみに作っている料理はタマゴ粥で、後はタマゴを絡めれば完成である。

 

 そして居間では、恵はお皿を並べている。

 恵は、お紺が来てからお手伝いを自主的にするようになった。

 そのお紺はと云うと……『フギャっ!』

 恵の足に顔をぶつけていた……。



 配膳が終わった頃、ラミアの親子が台所に来た。



「この度は、危ういところ、助けて頂きありがとうございました」

『ありがとう!』



 ラミアのお母さんが言って、ちびっこ達もそれに倣う。

 まだ、お礼の言葉を述べようとするラミアさんを制して



「気持ちは、受け取りました。とりあえずは、作った料理を食べてからお話しませんか?」



 と、先程からじっと土鍋を凝視しているちびっ子達は、その言葉を聞いて顔を綻ばせる。

 場所を台所から居間に移して、座布団の上に座らせる。

 子ども達は、座布団の感触に何やら琴線が触れたらしく、指で突っついて楽しそうにしている。

 それを横目に、恵がお椀にタマゴ粥をよそってレンゲと一緒にラミアさん達の前へ配膳していく。

 ラミアのお母さんが手伝おうとするのを手で抑えて、座っていてもらう。

 配膳されたお椀から出るタマゴ粥の湯気で、少し顔が見にくいがちびっ子達の目が輝いているのがわかる。



「さあ、温かいうちに召し上がれ」

『ありがとう!』



 ありがとうが頂きますの代わりなのだろう。

 ちびっ子達が目いっぱいの感謝の言葉を云って、食事を始めた。



「お母さんも召し上がって下さい。足りなければ、他の食べ物もまだありますから」

「はい……ありがとうございます……」



 ラミアのお母さんが何か言いたそうだったけど、私は先に食事を摂るのを促した。

 ちびっ子達は、ハフハフ云って美味しそうにご飯を食べている。



「お母さん、美味しいよ!」

「熱いけど、美味しい!」

「お母さんも食べよ!」

「それとも、どっか痛いとこあるの?」



 最後の子が言った言葉でみんなの手が止まってお母さんを心配そうに見る。



「お母さん、痛い所ありませんよね?お母さんが召し上がらないとお子さん達も心配するので召し上がってください」

「……そうですね♪それでは料理を頂かせてもらいます」



 ラミアのお母さんは、そう言うと一口料理に口をつけた。



「うん……。温かくて優しい味……。美味しい」

「お母さん美味しいでしょ?」

「もっと食べよ!」

「うん♪」

「みんなで食べると美味しいよね!」



 和やかな空間が出来る。

 恵もお紺も、席に着いて美味しそうに食べているラミアさん達を温かく見守っている。

 美味しそうに食べているラミアさん達の魂を鑑定してみる。

 ラミアのお母さんが薄い灰色で、こども達が白だ。

 特に良くも悪くもない色だが、せっかくここで縁を持ったのだからみんなの魂の色を桃色にしてあげたい。

 ラミアさん達がタマゴ粥を食べ終わったので、デザートにプリンを冷蔵庫から出す事にした。

 タマゴが続くけど、私の中の蛇のイメージは、カエル丸呑みとタマゴ丸呑みをしているイメージだからどうしてもタマゴ料理を出したい衝動に襲われてしまう。

 多分、明日の朝はゆでたまごを食卓に置く事になるだろう。



 ……と、話を戻す。

 台所からプリンをお盆にのっけて持ってくる。

 そして、恵とお紺にもプリンを出してあげる。

 ラミアさん達の前にプリンとスプーンを置いて、先ず恵達に『先に食べなさい』と促す。

 お紺の食べ方は参考にならないけど、恵の食べ方は参考になる筈だ。

 恵は、テレビでマナーのお勉強を何年もしていたので、食べ方はとてもキレイである。

 お行儀よく恵を食べているのを見て、ラミアのちびっ子達も恵に真似て食べ始めた。




『美味し~!!』




 一気に花が咲いたかの様な笑顔になる。

 そんな様子を見ていたラミアのお母さんも一口。




「とても優しい味。私にも作れるかしら……」




 お母さんの方も気に入ってくれたようだ。

 お母さんは、ゆっくり味を確かめるようにして食べる。

 ちびっ子も既に1個食べ終えたので2個目を食べている。

 ただ2個目から、食べ方は様々でプリンをかき混ぜて食べる子やカラメルを最後の方までとっておく子、バランス良く食べる子と四人だけど、食べ方はバラバラだ。

 恵は、相変わらずお行儀よく食べているけど、他の子達は口元にカラメルソースをつけている。

 3個目をお代わりにきたので、これでお終いと言って渡すと、周りの子のプリンの減る状況に合わせてちょこっとづつ食べている。意味のない事だが、その気持ちは良く分かる。

 プリンを食べ終えたので、みんなでご馳走様の意味を教えてから、



『ご馳走様でした』

「お粗末様でした」



 と食事を終えたので、ハミガキを教える。

 甘い物を食べたので、虫歯になってからでは遅いのだ。

 甘いイチゴ味のハミガキ粉もあったけど、しっかりクールミントにした。

 理由は、これでハミガキすると、その後すぐに物を食べたいと思わないからである。

 ネコミミのちびっ子に甘いイチゴ味のハミガキ粉を使ったあと、すぐにお菓子を食べていたのを目撃したのを教訓とした訳だ。

 ちなみに、このハミガキ粉をクールミント味にしたところ、食後1時間は何も食べないという事がわかった。

 ただ、このクールミントはちびっ子達に刺激的だったみたいで



『カライ~!』



 とちびっ子達の声がキャンプ内に響き渡った。

 ……で、ラミアのお母さんはというと、



「あら、これはいいわね。お口の中がスッキリ爽やかになるわ」



 と、気に入ったようだった。

お読み頂きありがとうございます。

次話は、6/4 11時予定です。

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