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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
第三章 森の魔物
22/81

第22話は、新たなる魔法少女(候補)とラミアちん。

宜しくお願いします。


■ ■ ■ ■ ■




 ネコミミさん達と別れてから一週間が経過した。

 私達は現在、森の中を歩いている最中だ。

 今回の旅から新たな仲間が加わった。

 恵の最近飼い始めたキツネの『お紺』だ。

 このお紺は、メスの九尾キツネだ。

 金色のフワフワとした毛並みをした、まだ九尾のうち三尾しか生えていない子狐ちゃんだ。

 伝承だと九尾キツネは、寿命は千年を超える個体もあると云われる神獣で特に魔法を操るのに秀でている。

 このお紺は現在三歳で、私達と出会ってからまだ一年半ほどだ。

 ちなみに『お紺』と云う名前は、日本の昔話の鳴き声から連想されたのが採用されたという訳だ。

 至ってシンプルでわかり易い名前だ。

 勿論、油揚げやお稲荷さんは大好物だ。

 こちらのお紺を仲間にした経緯は、管理者のお爺さんからお願いされて恵と同様にこれまた預かったものだ。

 ネコミミさん達には、森の中で拾ったという事にしてあるが、神獣である九尾キツネがそこいらの森になど居る訳がない。




 ……で、こちらのお紺だが、実はこちらの世界の住人ではない。

 私ともこの世界とも違う異世界の住人で、お紺の母親がどうやらその地の者達に狩られてしまった際に、それを憐れんだ管理者のお爺さんが子どもだけでも……と助けたのだとか……。

 そして『憐れんだ』との説明の通り、母親の九尾キツネは何か悪さをした訳じゃなく単純に希少な個体を手に入れる為だけに狩られてしまったという訳だ。

 ……で、その九尾の憐れな子キツネを育てて欲しいと管理者のお爺さんが私に依頼をしてきたという訳なのである。

 このような話を聞いて、私も断われる事など出来ない。

 そして私は、お紺を立派な巫女さんタイプの魔法少女に育てる決意をしたのだ。

(ちなみに管理者のお爺さんは、そのように頼んでいないし、望んでもいない)

 今回は、人化に関してお紺には、自分の力で覚えて貰うつもりだ。

 そして人化した暁には、ペットから晴れて恵の妹分にでもなって貰うつもりである。

 ……と、そういった経緯でお紺は私達の家族になった訳である。




■ ■ ■ ■ ■



 

 そして最初に戻る訳だが私達は、森の中を歩いている。

 特に森のマイナスイオンに触れたいと云って選んだ訳でなく、この森を抜けないと目的のドワーフの郷に行けないからだ。

 ……で、この森の中を歩いて今日で二日目だ。

 童話などのイメージだと、森の中は明るく妖精がフワフワとそこいらを飛んでいるいったイメージも多少あるけど、実際は手を入れていない森は昼間なのに薄暗くて気味が悪い。

 マイナスイオンどころか、お化けや妖怪でも出てきそうな雰囲気だ。

 しかも森の中は、虫との戦いでもある……といっても、私と恵には異世界特製虫除けスプレーを使っているので、虫に刺される心配はないのだが、先程から何度も、木の根などに足をとられ、転びそうになっている。

 ……と、歩いてお昼近くになった時、恵が。



「タロー兄、向こうから何か争いの気配がする」



 耳を澄ますと、こちらに足音が向かってくる。




■ ■ ■ ■ ■



 【太郎先生の回想】


 私は現在、恵に『タロー兄』と呼ばれている。

 出会った当初は、パパ。

 パパから約二年ほど経ってからら、お父さん。

 更にその二年後は、タローパパ。

 ……で、現在は、タロー兄である。

 ちなみに、それは恵が決めている。

 私が強制している訳ではない。

 今回の名前は、どうやらテレビでお兄ちゃんものを見ての影響らしい。

 とりあえず、タロー爺でないから問題ない。

 だんだんと若くなっているが、呼ばれると自分が若くなったみたいで結構嬉しいのだ。




■ ■ ■ ■ ■



 ……っと、現在それどころじゃないみたいだね。

 足音がこちらに近づいてくる。

 それも、二人や三人でなくもっと大人数。



 ……どうやら人間でない移動する音が聞こえてくる……



 蛇の移動をするような音がする……

 ……来た!!




 逃げているのはラミア……か?

 しかも、子どもなのか?

 ……で、追いかけているのは武器を持っている人間達か!

 大の大人達がいたいけなラミアの子どもを追いかけている。




「恵!竜に変身して、人間を追い払え!」

「わかった!タロー兄!」




 恵の身体が淡い光に包まれて、5mサイズの白銀の竜になる。

 ……魔法少女?

 今回は、少しばかり違う方法をとろうと思っているからね。




『あれは……竜。……何故、竜がここに……』




 恵が辺りを激震させる咆哮をすると、人間達は恐怖におののきながら来た道を駈け戻った。

 ここには、恐怖のあまり動けないラミアの子どもが四人居る。

 人間達の気配がこの辺りからなくなると、恵が竜の姿から何時もの女の子の姿に戻った。

・ 

 私がまだ、全然動けていないラミアの子ども達の所に行って様子を見てみると、子ども達は失神していた。

 とりあえず、今日はここでキャンプを張る事にした。

 この子達の身体には、あちこちに擦り傷や木の枝で傷ついたと思われる切り傷もあるから薬をつけて治してあげるのが最優先だな。

 そして、きっと人間達に追いかけ回されたから神経が疲れているに違いないから、ゆっくり休ませてあげたいしね。

 それに、この子達の親も気になる。

 きっと、この子達を必死で今頃、探しているのだろうか……。

 とりあえず、この子達をキャンプに入れてと……。



「メグミン悪いけど、お紺と一緒にこの子の親を探してくれないか?」

「うん、わかった。お紺、いこ!」



 そう言うと、お紺を連れて走って行った。

 竜で行くかと思ったけど。

 ……ただ、居る場所はわかっているようだったな。




■ ■ ■ ■ ■




 そして、私はラミアの子達を部屋に運んで治療し、そのまま布団に寝かしつけたのだった。

 それから約一時間後、恵とお紺が傷ついたラミアをここに連れてきたのだった。

お読み頂き、ありがとうございます。

次話は、6/2 11時予定です。

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