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異世界育成マニュアル【魔法少女を育てよう】  作者: パステルカラー
プロローグ
2/81

第2話は、管理者のお爺さんとお爺さんのお話。

宜しくお願いします。




 私が丁度、自分の半生を邂逅し終えたときにお爺さんの声がした。



「待たせたな」



 それは、柔らかく温かみのある声で、聞いただけで涙の出る声だった。

 何故、涙が出るかわからない。

 それは、慈しみに溢れた自分の心の何かに響く声だった。

 その声の方向をみると、そこにはケ〇タッキーのお爺さんに似た人が少し離れた所に立っていた。

 ……私も爺さんだけど。



■ ■ ■ ■ ■




「申し訳ございません、一度お会いした事がございますでしょうか?私は歳をとったせいか、物覚えに自信がございません。歳はとりたくないものです」

「いや、会うのは初めてじゃぞ」

「そうでしたか。歳をとってから人の顔や名前を覚えにくくなってしまいまして、不快な思いをさせずにすんで良かったです。失礼ですが、あなた様はいったいどなたですか?」

「私は、死んだ魂を管理するものじゃ。ところでな、お主は自分が死んだのを覚えておるか?」

「しっかりとまでは言えませんが、何かぶつかったような所まででしたら記憶があります」

「そうじゃ、その後お主は、死んだのじゃ」

「では、今の私は死人ですか?」

「死人というか魂じゃな」




■ ■ ■ ■ ■




 少し、魂を管理するというお爺さんと話をした。

 どうも私は、魂みたいだ。

 身体とかはあるが、それは私の記憶で作られたものらしい。

 試しにお爺さんに言われた通りに若いときの身体を想像したら、二十代の時分の若い身体が形成された。

 私は、その時に自分は死んだというのを納得せざるを得なかった。

 後悔はないが、胸に空洞が出来たみたいだ……。

 あぁ……自分は、死んだのだな。

 実際、死んだのかな?というのと、死んだと断定されたのでは『雲泥の差』があると、この時に始めて知った。

 自分の存在が空虚になっていくような感じだ。




■ ■ ■ ■ ■



「先ほど、自分の人生を振り返ったと思うが、少しは心の整理は出来たかな?」



 しばらくしてお爺さんは、私を労わる様に優しく声を掛けてきた。 



「すみません。まだ整理は出来ていませんが、とりあえず大丈夫です」



 先ほど一人の時に整理した気分だったが、やはりまだ心の整理などはきちんと出来ていなかったようだ。もう半生じゃなく人生だったんだな……と心を切り替えといけないな。

 このままだと先に(ゆっくりとあの世)逝けない。

 そう、私は成仏しないといけないのだ。

 大切な家族の皆の為にも、自縛霊にならないように、きちんと気持ちを切り替えないといけない。

 だがふと、疑問が湧いた。




■ ■ ■ ■ ■




「すみません、確か私達の世界では四十九日というのがありましたが、もしかしてこの間に気持ちを切り替えれば良かったのではありませんか?」



 そうだ。あと四十八日は現世に留まれる。

 最後に、家族の顔を見て逝きたい。

 そう思っても罰は当たらない筈だ。

 ところが、そう上手くは事が運ばなかった。



■ ■ ■ ■ ■




「すまんが、お主にお願いがあるのだ」

「はぁ、どのような事でしょう。ただ、私はご存知の通り魂だけですがお役に立てるのですか?」

「ふむ、話だけ聞いて貰えんじゃろうか?」


 そう言うと、お爺さんは私に何故会いに来たかを話始めた。





■ ■ ■ ■ ■




 お爺さんの話を聞いて整理すると、お爺さんは違う世界の魂も管理しているとの事だ。

 で問題になった違う異世界の終えた魂(死んだ人の心)が、ひどく崩れているとの事だ。

 魂が崩れているというのは、魂のランクが落ちている事を表すらしい。

 そして、あまりに魂が崩れて、輪廻転生が出来なくなってしまっているらしい。

 簡単に説明すると、人や生き物が減るという事だ。

 虫にすら生まれ変われない。ミジンコにもなれないのだ。

 このままだと、滅びの一途になってしまうというのが、お爺さんの話した内容だ。



■ ■ ■ ■ ■




 先ほどの問題のある世界は、今まで生きていた世界と違って、様々な種族が共存している世界との事だ。

 何でも、森の民のエルフという種族や、動物が独自に進化した獣人。

 この獣人は、私達も含まれるみたいだ。私達も猿から進化したから同じだ。

 ただ、今回はわかりづらくなるので、猿の獣人を地球と同じく人間と呼ばせて頂こう。

 そして、ドワーフという種族。

 森の民のエルフは、妖精からの進化というか分かれた種族らしい。

 獣人は、割愛させて頂く。

 そしてドワーフは、大地の神が創造した種族との事だ。

 そのような訳で個人の力関係を表すと、


 ドワーフ>エルフ>獣人(人間も含む)


 このような感じだが、実際はお互い干渉してないらしい。




■ ■ ■ ■ ■




 それだったら『何の問題もないのでは?』と聞いたところ、確かにドワーフやエルフとは、何の問題もない。関係も良好との話だ。

 問題は、同じ種族で優劣をつけているとの事だ。

 戦争だけでなく、魔獣や魔物なども狩っていく。

 この魔獣や魔物は、意志の持った動物達なので、この魂までも崩れていく。

 このままだと、近いうちに取り返しのつかなくなっていまうから、お爺さん曰く、私にどうにかして欲しいと頼もうとしたらしい。




■ ■ ■ ■ ■




 お爺さんは、私にどうして欲しいか?と聞いたところ、私に先ほどの世界の後進を育てて欲しいとの事だ。期間は百年。

 このままだと、どうも私達の世界にまで影響がありそうな話もしたので、孫や子の為にも一肌ぬぐとしよう。

お読み頂きありがとうございます。

次話は、4/30 0時予定です。

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