第16話は、お料理ばんざいストーリー。
宜しくお願いします。
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【アビとクーンSIDE】語り手……アビ
※アビとクーンは、女の子です。
太郎先生とメグタンが、先週旅立たれました。
何でも、私達のような子を一人でも救ってあげたいと言っていました。
とても悲しかった。
クーンと一緒について行くと言ったら、先生は『君達がいなくなったら、他の子達が困るでしょ』って言われました。『なら……みんなで行く!』って泣きながら言ったら『気持ちはよく分かるし、嬉しいけどここに困っている人が居たら、私がアビ達にやった事をして他の人も助けてあげて』って言われました。
……ずるいです。
それを言われたら、何も言えなくなります。
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メグタンと私達は、とても仲良しです。
いつも一緒にオママゴトやお手玉をしてました。
私とクーンの夢は料理を作る事だったので、メグタンと私達は、火の魔法と水の魔法をよく一緒にお勉強しました。
ただメグタンは、あまり魔法が得意じゃなかったので、偶にずるをして口から火を出してお肉を焼いていましたが……。
私達も口から火の出しかたをメグタンに教わったけど、無理でした。
太郎先生に聞いたところ……メグタンが耳を引っ張られてどっかに連れて行かれました。
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私達は、太郎先生に出会うまで毎日お腹を空かせてました。
そして、先生達と始めての食事……。
私は、びっくりしました。
こんなに美味しい食べ物があるんだって事に。
クーンも私と同じだったようで、食事だけでとても幸せな気持ちになれるんだったら、将来はみんなにも美味しい食事を作って幸せになって貰おうって!
先生は、私達がその夢の事を話したら『素晴らしい夢じゃないですか。ならアビとクーンの初めての料理を私にご馳走して貰えないかな?』って言ってくれました。
私達は、それを聞いて料理人さんになろうって思いました。
そして初めて作った料理を先生に食べて貰いました。
ちょこっと焦げていた卵焼きを自慢気に先生に出して『美味しい~、美味しい~』って連呼していたのですが、先生は美味しそうに全部食べて『とっても美味しかった。また食べたいなぁ』って言ってくれました。
それから、もっと料理を作るのが好きになりました。
毎日毎日、あまり上手でもない料理を先生に出しては『美味しい』って褒めて貰って、それが嬉しくて色々工夫をして頑張りました。
偶に、青い顔をして『美味しい』って言っている時もありましたが……。
そして先生と別れて五年したら、みんな(一緒に住んでいたちびっ子達)に料理屋をプレゼントされて嬉しかったですね……。
今ですか?クーンと一緒にその料理屋を頑張っています。
そして三日後に、先生が街に来て、私達の料理を食べに来てくれるんです!
クーンも凄く張り切っています。
その日は、お店を休んでみんなでパーティです♪
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【後日談】語り手……近所の住人。
この街にはあの『三つ魚料理店』が二つある。
『アビの洋食屋さん』と『クーンの和食屋さん』だ。
この『三つ魚料理店』というのは、ネコミミ族の世界で「にゃんと美味いのにゃーー!」で有名な『猫山猫太郎先生』が与える名誉ある賞である。
それが、あまり大きくない街に二つもあるんだ。
しかも値段がとっても庶民的なんだ。
だからいつも店内は混んでいる。
当然、近くに住んでいる俺なんかは毎週、休みの度に行っている。
そして、あそこの二つの店は安いし、店内で食べれない人用に惣菜としても売られている。
こっちも混んでいるが、気合を入れて並べば、どうにか買える。
かみさんとちょっと喧嘩した時に、どちらかを買って帰れば、たちまちの内に機嫌が良くなる。
俺は、それに何度も助けられている。
ちなみにアビの洋食屋さんの一番人気は『白身魚フライ』で、クーンの和食屋さんは『おかかごはん』だ。
両店とも作り方のレシピを公開しているが、あの味は奇跡の味だ。
俺のかみさんは『白身魚派』で、俺は『おかかごはん派』だ。
そういえば昔、その『白身魚派』と『おかかごはん派』でどっちが美味いかという論争が白熱して一度、争いにまで発展しそうになった時、両店の創始者が怒って、半年近くも店を閉めてしまった事があったらしい。
これには、両派閥とも心底後悔して、両店舗の創始者にしっぽの毛を剃って(しっぽを丸めて)謝りにいったらしい。それ以降、両派閥ともお互いを認め合って良好な関係を築いたらしい……ってあるが、この派閥って認めあうも何も、ただ食べていただけだよねぇ……?
お読み頂きありがとうございます。
次話は、5/7 11時の予定です。