第11話は、ネコミミ少女のお話。
宜しくお願いします。
夕飯に皆でハンバーグを食べた。
夕飯を食べてしばらくすると、恵を含むちびっ子達は眠そうだ。
目がトロ~ンとしてきている。
もう半分夢の世界に舟を漕いでいるような状況である。
先にお風呂に入れて正解だった。
皆そんな感じだったので、ちょっと早いがネコミミ少女に連れられて、寝室に連れられて行った。
私も同じく、眠そうな恵を抱っこして寝室に行く。
抱っこしている最中に恵は寝息をたてていた。
恵を布団で寝かせ私は、居間へと戻った。
■ ■ ■ ■ ■
五分程するとネコミミ少女もちびっ子達を寝室で寝かせ居間に戻ってきた。
ネコミミさん少女とは、まだゆっくりと話していないので、一度落ち着いたら話してみたいと思っていたのだ。
幸いにして今、騒がしいちびっ子達が寝たので自己紹介も含め今後の事をじっくり話しておきたい。
これに関しては、ネコミミ少女も似たような考えを持っていたので、お茶でも飲みながら少し話す事になった。
先ずは、名前を聞いてみる。
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ネコミミ少女:オリエ
ちびっ子 A:アビ
ちびっ子 B:クーン
ちびっ子 C:ラグ
ちびっ子 D:ペル
ちびっ子 E:ベガル
ちびっ子 F:ソマリ
ちびっ子 G:スノー
ちびっ子 H:シャム
ちびっ子 I:コラト
ちびっ子 J:キムリ
ちびっ子 K:シャル
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皆なかなか猫っぽい名前だ。
……で、ここからが本題で『何故ここには、子ども達しかいないのか?』を聞いてみる事にした。
普通に考えたっておかしいのだ。
それに村の様相に関しても、少し古いが建物もある。
ネコミミ少女やちびっ子達だけで建てられるものでは到底ない。
そして、どうしてここまで追い詰められてしまったのか経緯も知りたい。
一歩間違えれば、みんな命を落とす事になってしまったのだ。
いや、後半月もしたら半数近くのちびっ子が死んでしまったかもしれない。
もし、この世界がこの村みたいな事が頻繁に起こっていたら……と考えると、震えがくる。
とりあえず、この村で起きた事をネコミミ少女に聞いてみる事にしよう。
この世界で起きている大きな情報に関しては、あの天使の中継している怪しさ満点のニュースを見てもいいが、生きた情報は大事なのだ。
少女からすれば、辛い事を思い出させてしまうかもしれないが、それでも……それでも!私にとって聞かないといけない事なのだ。
そうしないと、本当の意味で一歩踏み出さないといけないのだ。
現実と向き合って、初めて魂を助けられるんだと思う。
私は、意を決してネコミミ少女に尋ねてみた。
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【ネコミミ少女:オリエ談】
私達は、親から捨てられた子や死別した子達とあの大きな建物、云わば孤児院に住んでいた。
時折、村の人が食料を持ってきてくれて飢えを凌ぎながら生活をしていた。
ところが、半年前ある出来事が起こった。
……それは、ここいら一帯を統治していた代官が交代したのだ。
村に課せられる税金が以前よりずっと上がり、村の人がどんどん村を離れていった。
私達を世話してくれていた人達も一人二人と村から離れて違う場所に行ってしまった。
私達、行き場のない者だけこの村に残された。
一度、代官の家臣と思われる人達がやって来たが、私達しかいないと分かると、そのまま帰ってしまった。
働く能力のない私達は、彼らにとって必要なかったのかもしれない。
現にそれ以降、その家臣達は一度もこの村を訪れていない。
完全にこの村というか私達は、見捨てられてしまったのだ……。
幾日も幾日も、誰か来ないかと期待したが誰も来なかった。
食べられる物を探したけど、採れた物は、わずかな木の実だけ。
それを皆で分ける。
食べる量は、少なくなったけど皆文句を言わなかった。
ただ……身体の弱い子や風邪をひいたりして体調を崩した子達が亡くなっていく……
助けてあげたいけど、何も出来ずに見守るしかなかったのが辛かった。
一生懸命に食べ物を探した。
でも見つからない。
もう皆の体力も限界だ。
……助けて……
心の底から、毎日願った。
誰でもいいから助けてと。
そして、もう諦めかけたその時に恵さん達に会えた。
■ ■ ■ ■ ■
ネコミミ少女は、遠い昔の事を話しているような口調で、私達と出会う前までの事を話してくれた。
そして、今は幸せですけどね……とはにかんだような笑顔で私に言った。
おや?……と思って、ネコミミ少女を鑑定したら、魂の色が淡くだけど桃色になっていた。
彼女は今、私達と一緒に暮らしているのを幸せに感じてくれている……。
そう思ったら、心にぽっと火が灯ったように感じた。
お読み頂きありがとうございます。
次話は、5/4 12時の予定です。