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紳士は異世界でメイドハーレムの夢をみる 作者:むらのとみのり

第五章

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竜の騎士 その2

 自ら竜の騎士と名乗った露出度の高いネーチャンは、巨大なランスを構えてクメトスを誘う。

「ゆくぞっ!」
「おうっ!」

 と応えたクメトスは、一足で飛びかかり槍を突き出すが、竜の騎士ラケーラは軽くいなす。
 クメトスは軽快なステップで次々に槍を繰り出し、受けるラケーラも巨大なランスでそれを受け返す。
 何度も立場を変えながら攻防は続く。
 気がつけば、周りの妖精たちも輪を描いて踊りながら囃し立てている。

 戦いは互角に見えたが、装備の差か、力量の差か、徐々にクメトスが押されてきた。

「ふんっ!」

 ラケーラがランスを振るうと、クメトスの槍が折れて弾き飛ばされてしまった。
 こんどこそ俺の出番だとばかりに指輪を外して名乗り出ようとすると、いつも怯えてばかりのスィーダが走り出て、

「師匠!」

 と叫び、手にした大剣ガルペイオンを投げ渡す。
 呼吸もぴったりに飛び上がったクメトスが受け取ると、そのまま空中で体を捻り、ガルペイオンを振り回す。
 たちまち巻き起こる突風に、竜の騎士も間合いを取る。

「ほう、なかなかの業物と見た。ならば受けてみよ、我が魔槍ペレストロンの繰り出す、稲妻の如き一撃をっ!」

 そう言ってランスを構えるラケーラ。
 一々セリフが芝居じみてるよな、彼女。
 それよりも、今更気がついたが、あのラケーラとかいう騎士、浮いてるんだよな。
 背中からは虹色の光が溢れて羽のようにも見える。
 妖精が飛び回ってるせいで、つい見逃してたけど、見た目は角と尻尾が生えた獣人っぽい外見で、全身からうっすらと青白い光を放つところは覚醒したネールのようでもあるし、羽なんかはオーレにも似ている。
 竜の騎士ってのがどこまで竜なのかはわからんが、とにかくなんかすごく強そうだ。
 俺の名誉のために戦っているクメトスの勝利を信じてはいるが、そもそも戦う必要ないよな。
 睨み合う二人の決闘者に俺の声が届くとも思えないので、とりあえず周りで囃し立てる妖精に話しかけてみた。

「そこの妖精のお嬢ちゃん、ちょっといいかな」
「なになに? 今いいところだから手短に」
「実はだな……」
「あー、ラケーラが出た! がんばれー」
「ちょっと話を」
「あーん、いまだめ、ねえあの相手の人、名前は?」
「え、ああ、彼女はクメトスだ」
「クメトス! かっこいい名前! どっちも応援しないと!」

 そう言って妖精ちゃんはぴゅーんと飛んでいってしまった。
 なんて気まぐれ、かつわがままな連中だ。
 こんな状況じゃなければもっと積極的にお近づきになりたいところだが、今はこの無意味な戦いを止めないと。

「どっちも頑張れー、がんばれー」
「いくさだー!」
「いくさだドン、ドンドン。いくさだドン。ドン、ドドンッ!」

 妖精たちは激しく回りながら口々に太鼓の音を叫ぶ。
 フューマンビートボクサーかよ、と突っ込みかけたが、ドンドン叫んでいる妖精の一部が、徐々に丸い形に変わっていき、なんと太鼓の形になってしまった。
 太鼓と化した妖精を、別の妖精が打ち鳴らす。

「そーれ、いくさだいくさだ、ドンドンドンッ!」
「やーれ、いくさだいくさ、ドドンドンッ!」

 妖精たちに応援された二人の騎士は、あふれる光りに包まれて、ますます力がみなぎっているようにみえる。
 こんな戦い、見たことないぞ。

「次でケリをつけよう」
「応っ」

 ラケーラの声に、クメトスが答える。
 いつしか俺は、二人の戦いを止めようという気が失せていた。
 なんとなれば、これは騎士同士の崇高な決闘だからだ。
 その証拠にエーメスは腕を組んで真剣に見入っているし、フルンも妖精に混じって応援している。
 ならば俺も、素直にクメトスを応援するとしよう。

「いけ、クメトス!」
「やあっ!」

 俺の声に答えるようにクメトスはガルペイオンを大上段に振りかざし斬りかかる。
 迎え撃つラケーラもランスを脇に構えてそのまま突進した。

 ゴオオオオオオッ!

 二人の激突で生じた爆風に目がくらむ俺。
 それでも頑張って結果を見届けようと目を凝らすと、振り下ろしたガルペイオンと、ラケーラのランスが空中で競り合ったままだった。

「むううっ!」
「ぬぬぬっ!」

 二人の騎士は一歩も引かずに鍔迫り合いを続ける。
 最初こそ竜の騎士が押しているように見えたが、武器を変えたせいか、妖精の応援が効いてるのか、今や二人の戦いは互角だった。
 無限に続くかと思われたその対決は、突然の落雷で終わりを告げる。
 二人の決闘者の間に落ちた小さな稲妻は、両者を遠ざける。
 クメトスは剣を構えたままだが、ラケーラはそれでランスを収めてしまった。

「導師よ、これほどの名勝負に、なぜ水を差す」

 と、ラケーラはあらぬ方に向かって話しかける。
 慌ててそちらを見ると、森の奥から何かが近づいてくる気配があった。
 よく分からないが、なにかすごい力を感じる。
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