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紳士は異世界でメイドハーレムの夢をみる 作者:むらのとみのり

第五章

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竜の騎士 その1

 目立たないように明かりも足元だけをピンポイントで照らしているので、非常に歩きにくいが、俺達はどうにか森の中まで戻った。

「ここまでくれば、大丈夫でしょう。深い森が我々の気配まで隠してくれます。その大きな倒木の下が、身を隠すのに良いかと」

 とクメトスが足元の藪を避けながら、指し示す。
 直径が何メートルもある巨大な倒木は、まだ真新しく、地面も乾いている。
 ここなら朝まで粘れそうだ。

 エメオとパロンは内なる館にいれておこうかと思ったが、エメオが怯えているので一人にはさせづらい。
 だからといって、この少ない人数を分けるのもリスクが大きい。
 それにパロンも目の届くところに置いておかないと、容態が急変するかもしれないし。
 急変したらどうするのかと言えば、ダメ元で内なる館のゲートに飛び込んでみる事を考えていたが、味方である可能性にかけて、妖精らしき連中のもとに向かうという選択肢も出てきた。
 何れにせよ、今は落ち着いて寝ているようなので、慌てる段階じゃないと思う。

「じゃあ、当面の方針としては、クロックロンが来るまで隠れてて、その後妖精らしき連中の様子を伺いつつ、コンタクトをとるか、家を目指すか決めるということで」
「それで良いかと思います」

 俺の言葉にクメトスが同意し、他の皆も同様に頷く。

 外は寒いのでタープを使ってスキマに目張りをすると、倒木の下は簡易のテントになる。
 地面が乾いていると言っても森の中なので小さな虫とかが結構いて、直接座る気にならない。
 さっきも使ったコットをベンチ代わりに使い、更にカプル特製のディレクターズチェアなども引っ張り出す。
 我ながら、なんでも取り出せて便利だな。
 日本にいた頃に知ってたら、もっといくらでもいろんなことができたんじゃなかろうか。

 火が焚けないので、みんな身を寄せ合って寒さを凌ぐ。
 フルンとシルビーは一緒に毛布にくるまって、小声でなにか楽しそうに話している。
 愛らしい少女二人が身を寄せ合ってキャッキャウフフしている姿は、このような危機的状況においても心をなごませてくれるんだなあ。

 一方のエメオはパロンを胸にだいて毛布にくるまっている。
 大きな胸にパロンの顔が埋もれている所は、なかなか見どころではあるが、状況がこうだと冷やかす気にもなれずにもったいない。
 従者ならもっと積極的に慰めてやれるんだけどな。

 クメトスはスィーダの隣にじっと座っている。
 スィーダはそんなクメトスを時折不安そうに見上げると、クメトスがそれに気づいて優しく頭をなでてやる。
 そうすると安心したのか、スィーダはじっと座っている。
 その繰り返しが見ていて微笑ましい。

 で、俺を慰めてくれるはずのエーメスは、先程まで足跡などの痕跡を消すために戻って色々やっていたようだが、今は表で見張りに立っていた。
 結構、張り切ってるよな。
 エーメスは肝心な時に置いてきぼりを食らうことが多いので、そのせいだろうか。
 せっかくなので、ねぎらっておこう。
 倒木の下から這い出して、木陰に立つエーメスに話しかける。

「どんなもんだ?」
「先程の喧騒が嘘のように、なにもないようです」
「夜の森って、もっとやかましい気もするけどな」
「はい、鳥の鳴き声さえ聞こえません。不気味なものです」
「まあ、何も出ないなら、それに越したことはないが」
「他の皆は、休んだのですか?」
「いや、流石にこの状況では眠れんだろう。とにかく、朝を待つさ」
「見張りはおまかせください」
「頼りにしてるよ」

 と言って、肩をぽんと叩くと、エーメスは満足そうに頷く。

 再び倒木の下に潜り込むと、不安そうな顔のエメオと目があった。

「もう少しの辛抱だよ。朝には救援が来るし、地上では救出のためにみんなが準備をしているからな」

 というと、エメオは俺の目を見てこう言った。

「ありがとうございます。助けは、サワクロさんの従者が来てくれると思うので、きっと大丈夫です。でも……」
「パロンのことかい?」
「はい。全然目を覚まさないし……、何より妖精のことだから、今の状態がいいのかどうかもわからなくて」
「そうだな、あの普段からやかましいパロンがこんな風にしてると……」
「そうそう、パロンってばやかましいよねー」
「よねー」
「まったくだよな……えっ?」

 突然、子供っぽい甲高い声が無数に響き、俺は無意識に返事を返してから、異変に気がつく。

「なんじゃあ!」

 俺が叫ぶと、腰掛けていた地面やら天井代わりの倒木やら、色んな所からカラフルに輝く妖精がにょきにょきと生えてきた。

「パロンだー、帰ってきてるー」
「でも寝てるよ?」
「青くなってる! 女王様みたい!」
「ほんとだー、ねえー起きてー」
「起きなよパローン」

 パロンの周りをくるくる回りながら、妖精たちはパロンに話しかける。

「だめだー、おきなーい」
「誰か飴もってなーい? 口に突っ込めば起きるよー、昔やったことある!」
「やったやった、パロン鼻から飴吹き出してた!」
「飴持ってる?」
「持ってない、食べちゃった!」
「ラケーラが昨日くれたよ!」
「じゃあ、ラケーラだ、呼んでくる!」
「もう来てるよ」
「来てる」
「表に来てた!」

 妖精たちの会話は耳に刺さるようで、口調こそ違うもののパロンに負けないぐらいやかましい。
 しかし、表に何が来てるって?
 様子を見ようと倒木の下から身を乗り出すと、何かが吹っ飛んできた。

「のわっ!」

 飛んできたものと一緒くたになって転がりかけた俺を、クメトスが支えてくれた。

「大丈夫ですか!」
「ああ、俺は……ってエーメス!」

 なんと吹っ飛んできたのはエーメスだった。

「も、申し訳ありません、不覚を取りました……」

 見たところダメージは受けていないようだが、エーメスほどの実力者が吹き飛ばされるとは何事だと改めて外を見ると、青白い光を放つ何かが立っていた。

「そこのもの、妖精を攫いなんとする!」

 青白い何かはそう決めつけて詰問する。

「いや、別にさらったわけでは」
「この期に及んで言い逃れなど無意味と知れ!」

 あ、これきっと話を聞かないタイプだ。
 コルスもそう言えばこんなだったな。
 だとすると、あれこれ説明しても聞いてくれないかもしれないけど、どうしようか。
 やっぱり、紳士の御威光で畳み掛けるのが一番かな。
 と指輪を外そうとするより早く、クメトスが飛び出した。

「わが主人を拐かし呼ばわりとは、何たる無礼!」

 と槍を構える。
 ああ、ここにもあまり話を聞かないタイプがいたんだった。
 最近しおらしくなってたので忘れてたよ。

「ほう、先程の小娘よりはやると見える。名を聞いておこうか」

 少し目が慣れてきたのか、青白い光の輪郭がはっきりしてくる。
 人形のようだが、お尻から太い尻尾が生え、ながくてザンバラな髪は特に青く輝いている。
 そして額には立派な角が二本。
 身につけているのはビキニだった。
 ビキニアーマーとかじゃなくて、多分動物の毛皮っぽいブラとパンツだけの高露出度装備。
 装備と言うか、水着、ないしは下着。
 しかも、体が光ってるのでシルエットが強調されて凄くセクシーだ。
 顔つきもなんかワイルドだし。

「我が名はクメトス。このお方の従者にして、元白象騎士団2号隊筆頭!」
「騎士であったか、ならばこちらも名乗らずばなるまい」

 そう言って手にした槍を一閃すると、体を包む光が消し飛んだ。

「我が名はラケーラ。最も古き血脈を受け継ぐ竜の騎士! 地上の騎士よ、我が双角の輝きを恐れぬのなら、かかってこい!」
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