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紳士は異世界でメイドハーレムの夢をみる 作者:むらのとみのり

第四章

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派遣業

 いつものようにやってきたフューエルと連れ立って、神殿地下のダンジョンに向かう。
 同行するガーディアン10体は縦に重なって、土台だけが足を出して歩いている。
 なかなか不思議な光景だな。
 神殿に着くと、最初に騎士団の詰め所に向かう。
 幸い、ローンはいた。
 周りに控える騎士たちにせわしなく指示を出し終えると、俺の相手をしてくれる。

「お待たせしました。それで、今日はまたどんな難題を持ち込まれたのです?」
「俺がそんなことしたことあったっけ?」
「質問に質問で返すのは、難題のうちに入ると思いますよ。それで、そのガーディアンはなんなのです? 随分となついているようですが」
「まあね、今度、土木ギルドの作業員として、うちのガーディアンを導入しようと思うんだが、試験的に使ってみないかと思ってね。まけとくよ?」
「作業員とは……そもそも、どうやればガーディアンを手懐けることができるのです? それができるのであれば、先の森のダンジョンでももう少し要領よく事を運べたのでは?」
「ガーディアンにも派閥があるんだよ。こいつらは、うちのクロの仲間でな、たまたま俺に懐いてくれてなあ」
「クロといえばレルルと一緒にいる子ですね。そうですか……四足、騎士……そういえば東のクルキ村で謎の木人が出たとの話がありましたが」
「なんだい、クルキ村って」

 とりあえずトボケておいたが、レルルがガーディアン達と一緒に火事の救出劇をやった漁村だな。

「先日も、近海の漁師の網に、四角い蟹がかかって、網をやぶって逃げたとの報告がありましたね」
「へえ、旨いのかな、その蟹」

 そいつは初耳だ。
 天真爛漫に遊ぶガーディアンの姿が目に浮かぶぜ。

「まあ良いでしょう。それで、そのガーディアンをどう使えと?」
「荷運び人足だよ。酒樽一本ぐらいはゆうに運べるし、岩場でも坂道でもへっちゃらだからな。ダンジョン内の土木作業にと思ったが、まだ一昨日のコボットの死体が残ってるんだろう」
「なるほど。ではお言葉に甘えて、使わさせてもらいましょう。最近では騎士もああいう汚れ仕事は嫌うのですよ」
「ついでに、騎士や冒険者に、こいつらの安全性をしっかり周知してもらえると嬉しいねえ」
「対価としては、妥当なところでしょう。ところで、クメトス殿は今日は見えられていないのですか?」
「ああ、あいつは砦の方だ。山で熊が出たとかで、今朝早くに出て行ったよ。どんな用事だ?」
「年越しの行事について、打ち合わせたかったのですが」
「へえ、そういうのもあるのか。しかし、随分受け持ちが多いな、ローン」
「例年であれば、第8小隊隊長のラウンブが取り仕切るのですが、彼は先日引退を願い出まして」
「たしか、かなりの年配だってな」
「寄る年波には勝てぬようで。代わりを決めねばならぬのですが、たぶん年明けになるでしょう。まったく、次から次へと仕事がわいてきます。今は冒険倶楽部の方だけで、手がいっぱいだというのに」
「ギルドの方もパンク寸前な感じだな」
「そちらにも、紳士様が人を入れたのでは?」

 冒険者ギルドの事務員としてうちのミラーをパートに出したことを言っているのだろう。
 耳が早いな。
 昨日から早速入っているはずだが、軽く報告を聞いたところでは、淡々と事務作業をこなしただけらしい。
 こちらは数日経ってから様子を見に行こうと思っている。

「まあなんだ、サリュウロちゃんが困ってたもんでなあ」
「古代種とホロアには、すぐに差し伸べる手があるようで」
「種族で差別はしないつもりだがなあ」
「だと良いのですが。エディのためにも、そう願いますよ」
「じゃあ、ガーディアンと一緒にレルルも預けて行くよ。こいつらの使い方はレルルと相談してくれ」
「かしこまりました。ではレルル、時間がありませんので、早速打ち合わせと行きましょう」
「は、はいであります!」

 とギクシャクとローンについていくレルル。
 そういや、ローンのことが苦手だったな、あいつ。

「じゃあ、クロにクロックロンたちも頼んだぞ」
「オーケー、ボス」
「マカセロ、ボス」

 などと言いながら、レルルのあとについていく。
 ガーディアン軍団を残して、俺はフューエル達のパーティに入る。
 いつものフューエル組はデュースにウクレとオーレ、そしてコルス、紅、レーンだが、そこに俺とカプル、そして荷運びのミラーが2人いる。
 テナ達のパーティは、すでに潜っている。

「で、今日はどうするんだ?」

 とフューエルに聞くと、

「昨日はダンジョンが騒がしかったせいで、かけ損じた6階の結界だけで手一杯でしたので、今日は7階ですよ。他の二人に一日遅れているので、できれば今日は2階層やりたいところですが」
「ふむ、そんなにスケジュールがおしてるのか?」
「いえ、そこまでは」

 じゃあ、たんにエームシャーラ姫に負けてるのが癪なだけか。

「なにか?」
「いや、べつに。応援するから頑張ってくれ」
「それはどうも」

 このダンジョンは、4階をショートカットしようと思うと必ず敵と遭遇するようで、今日も4階で最初の戦闘となった。
 こちらのパーティはデュースをはじめ、紅も攻撃魔法が使えるし、見習いとはいえウクレとオーレもそれなりに使える。
 結界のために力を温存しているが、フューエルもどちらかと言えば戦闘向けの魔法を得意とするようだし、全体的に火力が強めだ。
 それでいて結界や回復も十分で、かなり高度な魔法パーティだといえる。
 そんな中で魔法のさっぱり使えない俺とカプルが、前衛に立ってみた。
 敵はギアントが二匹だ。

「別に自ら戦わなくても良いのでは?」

 と物陰から様子をうかがう俺にフューエルは言うが、

「たまには実戦をやっとかないと、先日みたいにいきなりヘビーなのが来ると体が動かんからな」
「それはごもっともですが」
「ではー、魔法もウクレとオーレだけに頑張ってもらいましょー。作戦はご主人様に立てていただきましょうかー」

 とデュース。
 というわけで、俺達は少し距離をとってから手早く作戦会議をする。

「ウクレは火球が2、3発と雷撃を一回程度なんだな」
「はい。一回の戦闘ではそれが目安みたいです。少し休むとまた使えますけど」

 と頷くウクレ。

「で、オーレは氷礫と足元を凍らせるやつか」
「うん、だいぶ、調整できる。足止め、得意」

 とオーレ。

「じゃあ、オーソドックスに、オーレが足元を凍らせて、両方足止めできればウクレが雷撃を片方にぶつけてやれ。それで仕留められれば残り一匹を俺とカプルで。ダメならまず弱った方を二人がかりでやる」
「かしこまりましたわ」

 とカプル。

「足止めができてなければ、俺とカプルが片方、または両方の動けるやつを足止め。その間にウクレとオーレは次の攻撃魔法を貯めといてくれ。あとは隙ができた方に魔法を叩き込むと」
「はい!」
「わかった!」

 と頷くウクレとオーレ。

「じゃあカプル、お前が左で、俺が右。そんな感じで行ってみるか」

 俺の作戦を聞いていた冒険組のリーダー格である僧侶のレーンはただ一言、

「では、ご武運を」

 としか言わなかった。
 もうちょっと良いとか悪いとか言ってほしいよな。
 レーンもあえて余計なアドバイスはしないのだろうが、やはり軍師がほしいぜ。

 二人の魔道士が呪文の準備を終えたのを確認してから、俺とカプルがギアント二匹のいる部屋に踊り込む。
 ギアント二匹はちょうどこちらに背中を向けて、別に部屋に移動しようとしていたところだった。
 そこに背後からオーレが魔法を唱え、二匹の足元を凍らせる。
 手前にいた一匹は確実に膝まで凍るが、もう一匹は半分部屋から出かけていたせいで、ほとんど凍らなかった。
 一瞬そのまま逃げるかと思ったが、飛び込んできたのが4人だけと見て、仲間をかばうように前に飛び出してきた。

「こいつから行くぞ!」

 とさけんで、俺は手前のギアントに斬りかかる。
 だが、初撃をかわされ、ギアントの手にした棍棒が俺に振り下ろされる。
 とっさに盾で受け流すが、かなりの衝撃だ。
 この盾がないとやばかったな。
 間髪入れずにカプルが斧をギアントの肩口に叩き込むが、これもギリギリでかわされた。
 あれ、こいつめっちゃ強くないか?

「手強いですわ!」

 とカプル。

「みたいだな、少し距離を取ろう」

 遠巻きに二人でギアントを囲む。
 凍らされたギアントは、棍棒で足元の氷を砕こうとしているが、あまり乱暴にやると足ごと砕ける。
 5分は足止めできると見ていい。
 俺達の後ろではオーレとウクレが機会を狙っている。
 当然、目の前のギアントもそれはわかっているだろう。
 呪文の詠唱を妨害してくるはずだ。
 となると、体当たりか。
 オルエンならともかく、俺じゃギアントの体当たりは防げないぞ。
 それをカプルも理解したのだろう。
 俺の前に半分重なるように、一歩前に出た。
 俺も素直に後ろに隠れる。
 俺達の動きを見て、ギアントも少し下がる。
 俺の後ろにはウクレとオーレがいるし、手前のギアントは凍りづけにされた仲間をかばうように立っている。
 結果的に双方が一列に並ぶことになる。
 ギアントはもうちょっと野性的に戦うイメージが合ったが、こいつは手強い。
 神経がピリピリと刺激される。
 と同時に、視野が狭くなってくるのを感じる。
 目の前のギアントしか見えない。
 こういうのはよくない、もうちょっと落ち着いて……。
 と思った瞬間、後ろから声が響く。

「背後のギアントが魔法を使います!」

 ウクレの声だ。
 俺はセリフの意味を咀嚼するよりも早く、盾を構える。
 目の前には背後のギアントが放ったでかい火球が迫っていた。
 俺の後ろにはウクレたちがいる、避けるわけにはいかん!

「ギャフ!」

 俺の盾にでかい火球が直撃する。
 激しい衝撃にふっとばされる俺。
 入れ違いにオーレが氷礫を放つ。
 無數の氷の粒が、後方で凍りづけになったギアントの分厚い肉体にめり込み、ちぎれ飛ぶ。
 その攻撃に一瞬気を取られた前方のギアントも、カプルの斧を脇腹にくらい、うずくまった。
 そこに止めとばかりにウクレが火球を二発、叩き込んだ。



「大丈夫ですか、ご主人様」

 俺を治療しながら、レーンがそう話しかける。

「まあね、ちょっと打ち身かな」
「痛み止めも飲んでおいてください。痛みがぶり返すようであれば、夜にでもネールさんの治療を受けましょう」
「ああ、そうするよ」

 魔法自体のダメージは盾が防いでくれたのだが、ふっとばされた時のダメージが結構あった。

「ギアントとて、甘く見てはいけませんね。魔界でも辺境では魔法を使う上位種も確認されていると聞きます。今の二匹も十分に経験を積んだ手練だったのでしょう」
「みたいだな。俺がカプルぐらい戦えればともかく、やはり前衛は相手より一人は多めに置かないとダメだな」
「はい、そうですね。作戦としては及第点ではありましたが、紅さんかコルスさんを加えるべきだったと思いますよ」
「次からはそうするよ」
「それが良いかと思います」

 もうちょっと早く教えてほしいところだが、すべての知識を蓄えてから戦場に出るわけには行かないのだ。
 ある程度は臨機応変にやるしかないのだろう。
 あるいは戦力が足りないなら足りないなりの作戦を立てられなければならない。
 レーンが何も言わないのも、その辺を意識してのことかな。
 一方のフューエルは、ウクレに一言アドバイスを述べたあと、俺には何も言わずに、俺の盾を眺めていた。

「随分と丈夫な盾ですね。紳士様が軽々と扱うので、もっと見掛け倒しのものかと思っていましたが」
「そいつは魔法の盾でね、見かけの割に、とても軽いんだ」
「また、そのようなご冗談を」

 と言って、床に転がる盾を拾い上げると、その軽さに驚いていた。

「まあ、本当に軽い。想像の半分もありません」
「そうだろう」
「まさか、本当に魔法の盾なのですか?」
「ははは、実は作りが特殊なだけで、普通の盾なんだ」
「なんと、そのほうが驚きですよ。これはカプルがつくったのですか?」

 と尋ねるとカプルが、

「そうですわ、ご主人様秘伝の技術がたっぷりと注ぎ込まれていますの」
「まあ、紳士様が。本当にあなたは、訳の分からない人ですね」

 と振り返ってオーバーに驚いてみせるフューエル。

「もう少し訳のわかる褒め方をしても良いんだぜ?」
「別に褒めているわけではありません。しかし、これなら私でも持てそうですね」
「もう少し小ぶりですけど、試作品の盾がありますわ。良ければお試しくださいな」

 カプルはミラーが担いできた荷物の中から、小さめのラウンドシールドを取り出す。

「ありがとう、カプル。早速使わせてもらいます」

 そう言って盾を構える姿もなかなか様になっている。
 左手に盾、右手に50cm程の棍棒にもなる杖をもった姿は、なかなか勇ましい。

「どうです、紳士様」

 フューエルはポーズを取ってくるりと一回転してみせる。
 かわいいとこあるなあ。

「なんです、ニヤニヤして。似合いませんか?」
「いや、むしろ似合いすぎてて見とれちゃったよ」

 そう言うと顔をしかめて、

「まったく、そのような冗談ばかり言っていると、また怪我をしますよ」

 とプリプリ怒るフューエルもまた可愛かった。



 地下6階に降りると、ズタ袋を抱えた騎士の集団に遭遇する。
 見るとモアーナがいたので声をかける。

「よう、今日はこっちでお勤めかい?」
「まあ、サワクロさん。それにフューエル様も。これから結界の作業ですか」
「まあね、そっちは後片付けか」
「ええ、昨日からこもりっぱなしで、息が詰まりそうですよ」
「ごくろうさん。さっき、うちの秘密兵器をローンに預けてきたから、少しは君らの役に立つといいんだが」
「本当ですか? 期待してよろしいので?」
「まあね。レルルも一緒にいるはずだから、こき使ってやってくれ」
「了解です。この先は我々が作業中ですので、できれば南に迂回して4番階段から降りたほうが良いかと」

 といって、おそらくは魔物の死体が詰まっているのであろうズタ袋を担いで、モアーナは去っていった。
 ひでえ仕事だな。

「魔物の死骸も、数匹程度であればネズミやコロのたぐいが食い散らかしてすぐに無くなるのですが、部屋が埋まるほどの死骸となると、ああして人力で除去するしかないそうですね」

 とレーン。

「大変だよなあ、しかし逆に言えば、ダンジョン人足の仕事はいくらでもあるわけだ」
「だと思います。いつもながらご主人様の目の付け所はとてもユニークだと思いますよ」
「イノベーションってやつだな」
「お、また知らない概念が出てきましたね」
「つまりだな、なにかを発展させるキッカケは、新しい発明や既存技術の新しい使い方を見つけるといったことでなされるんだよ」
「なるほど、たしかに質や量の改善だけでなにかが根本的に変わるということは滅多にありませんしね。つまりガーディアンの使用方法を発明した、ということですか」
「まあ、そうなるな」
「実に興味深いですね。翻ってかんがえてみるに、我々の使う魔法というものは、太古の昔から固定されたもので新しい魔法を発明するということがありません。ですが、その使い方を発明するということはできそうですね」
「そうだな」
「氷魔法なども、おそらくかつては戦闘に使う為のものだったのでしょうが、誰かが食品を凍らせたり河を凍らせて治水工事に利用したりと新たな使い方を見出したのでしょうし、いろいろと考える余地はありそうです」

 などと話しながら、モアーナの言ったとおり迂回路の階段にたどり着くと、別の集団に出くわした。
 よりにもよって、フューエルの大親友、エームシャーラ姫だ。

「あら、フムル。おはようございます、今朝もこんなところで紳士様とデートですの?」
「おはよう、エムラ。あなたこそ、ぞろぞろと行列を引き連れて、どこに行楽に出かけるおつもりなんです?」
「ええ、この2つ下まで。あなたはまだ1つ下だったかしら?」
「ムギギ……、世の中には不測の事態というものがあるのです」
「ええ、そして予測可能な事態というものも、ありますわね」
「もちろん、この程度の遅れは、想定の範囲内ですからすぐに取り戻せますよ」
「それはなにより。ではフムル、せいぜい頑張ってくださいませ、おほほ」
「エムラこそ、おほほほほ」

 二人のお姫様が顔の筋肉だけで高笑いする姿は、見ていてとてもエキサイティングだぜ。
 で、エームシャーラ姫は、俺の方に寄ってきて、

「紳士様、明日は私、休みを取ろうと思うのですが、お茶にお誘いしてもよろしいでしょうか? テナに先日ごちそうになったお礼を兼ねて、ぜひ彼女とご一緒に。できれば、先日のお話の続きをお聞かせ願いたいですし」

 空が青い理由ってやつか。
 それにしても、俺とテナを誘って、フューエルを誘わないという話もないと思うが。

「喜んで。ところで、先日の続きは、ご一緒にレクチャーするという約束だったと思いますが構いませんか?」
「ええ、私はかまいませんわ。彼女がどう思うかはわかりませんけど?」

 とエームシャーラはフューエルの方を見る。

「私が逃げると思うんですか?」
「だそうですわ、紳士様。では、明日お待ちしておりますわね」

 そう言ってエームシャーラは去っていった。

「よかったな、明日はオフだぞ」

 と俺が言うとフューエルは可愛い顔をしわくちゃにして、

「それはどうもありがとうございます。今日は何が何でも二箇所終わらせますので、そのつもりで」

 そんなこんなで、地下七階の結界を張るポイントにたどり着いた。
 フューエルはたっぷり一時間以上かけて、広間に模様を書き続ける。
 その間、ウクレはせっせと雑用を手伝っていたが、俺達は隅っこでぼーっと見学だ。
 手伝ってやりたいが、できることはなにもないもんなあ。
 そこに見張りを紅と交代した忍者のコルスが戻ってきた。

「コルス、お前も結界を使うんだろう。なにか手伝えないのか?」
「あいにくと、結界と言っても拙者の術は魔道士の術に近いでござるよ、自分自身を触媒として結界を張るでござる。フューエル殿のように術式を形に表し、場に定着させるような術は、拙者は持ちあわせておらぬでござるな」
「なるほど、色いろあるんだな」

 ここの広間は出入り口が2つある。
 一つは俺達が入ってきたほうで、その先は7階のメインフロアである古い墓所が広がっている。
 ここもすでに遺骨のたぐいはなく、空の石棺が並んだ部屋が規則正しく並んでいるだけだ。
 もう一つの入り口は、隣の部屋に続き、そこには螺旋階段が下に続いている。
 下の階もここと同じ墓所だ。
 10階までは同じ構造らしい。
 現在、紅とレーンが、それぞれの出入り口を見張っている。
 俺もそろそろレーンと代わってやらないとな。
 真鍮製の携帯用マグに注いだお茶を飲み干し、立ち上がる。

「よし、ちょっと見張りを代わってくるよ」
「左様でござるか、ではしばし頼むでござる」
「その前に、ちょっと尿意をだな」
「殿方はその辺りですればよいでござろう」
「いや、すぐそこにフューエルがいると気になって」
「色気づいた子供のようなことを言うとは、珍しいでござるな、殿」
「心は少年のままなんだよ」
「では、隣の階段部屋に行って済ませると良いでござろう。どれ、拙者がお伴するでござるよ」
「すまんな」

 コルスと二人で、レーンが見張りをする階段側の出入り口に向かう。

「おや、お二人揃ってどうしました?」

 とレーン。

「ちょっと用足しにね」
「なるほど、ではしっかりと見張っているので、存分にどうぞ」
「そうさせてもらうよ」

 結界を張る部屋は、事前に用意しておいた篝火やランプで明るく照らしだされているが、他に光源のない隣の部屋は入り口を除けば真っ暗だ。
 俺は携帯用のランプを掲げて手頃な場所を探す。
 5m四方ほどの小部屋は、部屋の半分ほどを中央の螺旋階段が占めており、壁沿いには紫がかった変な草や埃がうず高く積もっている。
 ランプで照らすと、ネズミが鳴きながら逃げていった。

「大事なところを噛まれないように気をつけるでござるな」

 と後ろからランプで照らすコルスがそういう。

「怖いこと言うなよ」

 改めて床を見ると、小さな骨が転がっている。
 床のシミは、固まった血の跡か。
 よく見ると、雑草は死体に根付いているようだ。
 うう、なんかやだな。
 まあいいや。
 俺は比較的マシそうなところで用を足す。

「ふぅ……」

 開放感に包まれながら、改めて周りを見渡す。
 それにしても汚えな、ダンジョンってやつは。
 今ぶちまけている目の前の壁も、古い石壁が崩れかけている。
 これが壊れたら、天井ごと崩れてきたりしないだろうな。
 などと考えつつも、ひび割れを狙ってかけていると、なんだかポロポロ崩れ始めた。
 最初は面白がっていたのだが、みるみる崩れてくる。
 あれ、やばくね?
 と思った瞬間、

「殿!」

 コルスが俺を後ろに強引に引っ張る。
 間一髪で崩れる壁に埋まらずに済んだ。

「大丈夫でござるか、殿」
「ああ、助かった。まさか壁が崩れるとはな」
「この辺りはそこまで脆くはないようでござったが……、なにか水漏れでもしているのでござろうか」
「さあなあ」

 と二人で首を傾げているところに、フューエルがやってきた。

「何事です、気になって作業が滞るではありませんか」
「いや、急に壁が崩れてな」
「大丈夫なのですか?」

 と言ってフューエルは手にしたランプをこちらに向ける。
 次の瞬間、

「な、なんですかその格好は!」

 と顔を真っ赤にしてそむける。

「え? あ!」

 見ると俺は用をたすためにズボンを下ろしたままだった。
 つまり丸出し。

「いや、その、すまん。ちょっと用を足してたら」
「は、早くしまってください!」
「はい、ただいま……」

 いそいそと大事なところをしまい込む。

「これはどうも、お見苦しいところを」
「まったく、何を考えているのですか!」

 照れ隠しなのか、いつもより激しめに俺を責めるフューエル。

「まあ、なんだ、不可抗力ということで」
「本当に、あなたという人は……」

 先日は風呂あがりの姿を見ちゃったし、おあいこだろうと言いたい気持ちをぐっとおさえていたら、そこにコルスが助け舟を出すようにこう言った。

「お取り込み中、すまぬでござるが、どうやら、この先に隠し通路があるようでござるな」

 と崩れた壁を見ていたコルス。

「ほほう、どれどれ」

 ポッカリと崩れた壁の向こうは、天然のダンジョンに通じていた。

「おそらく、かなり古いものでござるな。あるいは、この洞窟を利用してこの地下墓所をつくったのやも」
「なるほど。ってことは、もっと広がっている可能性もあるのか」
「偵察に行きたいでござるが、ちと人手が足りんでござるな。テナ殿が上がり次第、こちらに来てもらうでござるか」
「それでいいんじゃないか」

 まだ顔を赤くしているフューエルをなだめて、作業を再開してもらう。
 その間に、紅を通してテナのパーティに話を通しておいた。
 あちらはすでに終わっていたそうで、後始末が終わったらこちらに向かうという。
 到着を待つ間、俺達は例の壁の穴の前の見張りを強化する。
 具体的にはレーンと俺と紅にカプル、そしてデュースとオーレも入れた6人で見張ることにした。
 何が出てくるかわからんからな。
 反対の出入り口はコルスに見てもらう。
 その間に紅が各種センサーを駆使して調べている。

「土壌にスキャンを妨害するものが多く含まれているようです。水と、あとは何かの精霊石、厚い岩盤……あまり遠くが確認できません」
「魔物の気配は?」
「見える範囲ではありません。光源が確保できれば、燕にも確認してもらうのですが」
「ふむ、それはあとでもいいだろう」

 カプルがミラーの担いできた荷物の中から、何か取り出している。
 6本の鉄柱と、分厚い革袋に入った針金の束だ。
 針金には棘が付いている。
 いわゆる有刺鉄線だな。
 ただ、よく見るとバラの蔓のように、針金と一体成型で棘が出ている。
 たぶん錬金術でこういうふうに整形したんだろう。

「どうするんだ、それ」
「バリケード、というやつですわ」
「ほほう」
「ミラーに読んでいただいたスマホにありましたの。基本的な防衛装置とありましたわ。詳細はわからないのですけど、図版を元に試作していましたの。携帯性もよくて、合理的だと思いますわ」

 そう言いながら、カプルは1m程の鉄柱を三本ずつ直角に組み合わせて結界を張る広間の入口に並べ、そこに有刺鉄線を巻きつける。

「これで広間に敵が突進してくるのを防げますわ。もっともギアント級の魔物だと、力押しで押し通るかもしれませんけど」
「瓦礫を下に積んで、ウエイトにした方がいいかもな」
「そうですわね。土嚢のように、砂を詰めて重りにできても良いかと思うのですけれど、こういう石造りのダンジョンにかぎらず、深い洞窟は岩盤が固くて、砂は簡単には確保できませんものね」
「そうだな」

 というわけで、俺達はさっき崩れた壁の岩などを運んでバリケードを強化する。
 なんか要塞を作ってるみたいで楽しいな。
 しかし、こいつは木の杭の代わりになるかもしれない。
 魔法や矢は防げない気もするけど。

 そのうちに、テナのパーティがやってきた。

「よう、わざわざすまんな」
「お気になさらず。どうせお嬢様の様子を見に来るつもりでしたので」

 とテナ。

「それで、なにか隠し通路が見つかったとか」
「そうなんだ、あの奥の壁にな」

 とさっき空いた穴を指差す。

「なるほど、興味深いですね」
「早速、偵察を出してみようと思うんだが、君はどうする?」
「あいにくと、私は探索には向いておりません。ここでお嬢様を補佐するとしましょう」

 ここの警護はテナの他に、テナの護衛の騎士と僧兵6人にまかせて、俺達は探索に出ることにした。

「あまり無理をしないように」

 と言って俺たちを送り出したフューエルは、自分が一番行きたそうな顔をしていたが、仕方あるまい。
 準備を整えて、探索に出る。
 洞窟は左右に伸びている。
 階段のある小部屋がダンジョンの北の端だったので、東西に伸びているわけか。
 西側、つまり左手に向かってゆるい傾斜で下がっているようだ。

「さて、どっちから行こうか?」

 と俺が尋ねるとレーンが答えて、

「一般に未知のダンジョンを探索する場合、より安全な方に進むべきです。具体的には地上を目指す方向です。また、魔物が頻繁に通る道も避けるべきです。これは足あとや糞などで判別がつきますね。もっとも通り道であるということは地上に通じている可能性も高いので、状況によっては選ぶ価値があります」
「じゃあ、上りの右手に行くべきか?」
「見かけの傾斜は、あまり参考になりません。特に天然の洞窟はそうです。スナヅルなどの穴を掘る魔物は水平方向に進む傾向があります。一匹の掘る穴の経は30cmから50cmほど。そこを何度もなぞりながら大きな穴が出来上がります」
「ふむ」
「それゆえ、この程度の傾斜はただの揺らぎと判断したほうがいいでしょう」
「そんなもんか」
「さらに、今回の場合、出口はここと想定するのが妥当ですね。おそらくここはまだ街の下ですが、街中において、ダンジョンの入口は神殿の真下を除いて発見されておりません。もちろん未発見なものや、街の形成過程で封鎖された入口もあるかもしれませんが。我が家の地下室の例もありますし」
「となると、通じてるのは魔界の方が確率は高いかな」
「そうですね。あるいは森のダンジョンかもしれません」
「なるほどね。つまり結論としては、どっちに行っても同じというわけだな」
「その通りです」
「じゃあ、こっちだ」

 と俺は適当に下りの西を指さし、出発した。
 通路の幅は2mほどで、先頭に立つエレンとコルスが並ぶと、それでいっぱいだ。
 カプルはミラーが担いできた荷物の中から、小さな革袋を取り出す。

「今度はどんなひみつ道具だ?」

 と尋ねると、袋の中から小さな木の棒を手に取る。
 ゴルフのティーのような木片で、先端に小さな精霊石が付いている。

「これは純度の低い、クズ石の欠片ですわ。明るいと見えづらいですけど、闇の中では僅かに光りますの」
「ほほう」
「これをこうして……」

 と壁の岩盤の割れ目に突き刺す。

「こうしておけば、目印になりますでしょう。分岐の目印にするだけでも、違うと思いますわ」
「なるほど、いいな」

 ダンジョンで道を見失うほど恐ろしいことはないだろうしな。

「で、これはどこから思いついたんだ?」
「地下室の灯りを落とすと、出入り口の上に小さな灯りが灯るでしょう」
「あれ、あの部屋って照明切れたっけ?」
「ええ。ミラーに頼むと操作してくれますわ。下で眠る時は消していますもの」
「そうだったか、そういや最初は暗かったっけ」
「それで、足元を照らすほどではないのですけど、闇の中で出入り口を示すマーカーとしてのライト、というのはなかなか便利なものだと思いましたの」
「たしかにな」

 要は非常灯か。
 しばらく進むと、分岐に出た。
 盗賊のエレンがしばらく調べていたが、

「どうもここはかなり古い洞窟のようだね。ここに靴の跡があるんだけど、サイズから言って人間だと思う。旦那よりちょっと小柄かな。足を平らに降ろしてるね。兵士の歩き方じゃないと思う」

 そういうエレンに、僧侶のレーンがこう答える。

「それは修道士ではないですか? 彼らは足音を立てないように、そのような歩き方をします」
「なるほど、確かにこの場所にふさわしいね。ここの墓場を作った当時のものだとすると、500年以上は昔のものかもしれないね」
「ここの神殿の記録では、500年前の南方への親征の戦死者を埋葬するためにここを掘ったとありましたから、その頃かもしれませんね」

 それを聞いたデュースが、

「あー、あの時は船にいっぱい氷漬けの遺骸を積んで帰ってきたんですよー。酷い戦でしたねー」
「行ってたんだっけ?」

 と俺が尋ねると、

「行ってましたねー。私は別口で戻ったんですがー。あの頃はやさぐれてたので友軍の死を悼むと言う気持ちも薄かったんですけどー、そうですかー、あの時従軍した兵士はここに埋葬されていたんですねー」

 まあ、あまり楽しい思い出ではなさそうだな。
 いろいろ気になる所はあるが、あまり聞かないでおこう。

 幾つかの分岐を経て、小一時間ほど探索したが、単調な通路が続くだけで何もない。
 そろそろフューエルの作業が終わるので、タイムリミットだな。

「ここはただの巣だったのかもしれませんね」

 とレーン。

「つまり、その巣を利用してこの地下墓所を作った、残りってことか」
「はい」
「となると、何か当時のお宝とかは期待できないか」
「どうでしょうか、学術的な資料は発見できるかもしれませんね」
「当時の人足の落書きとかが壁の裏から出てきたりとかあるよな」
「そうですね。当時の信仰を知る手がかりとして、私も興味深いですが、冒険者の興味は惹かないでしょうね」
「だろうなあ」

 などと話すうちに、入り口に戻ってきた。
 フューエルはちょうど結界を張り終えたところで、興味深そうに探索の成果を聞いてきたが、残念ながら、成果はなしだ。

「そうですか、以前の森のダンジョンはなかなか興味深かったのですが」
「年が明けたら、またあっちに潜る予定なんだけどな」
「それは良いですね。やはり遺跡の方に?」
「ああ、エンテルたちが調べたがってるからな」
「とはいえ、あそこはガーディアンの守りが厚いでしょう」
「だから、そこをどうにかしたいんだけどな」
「なにか手があるのですか?」
「まだなんとも。それより、続きはどうするんだ? 8階にも張るんだろう」
「ええ、今出発の準備をしていたところです」
「じゃあ、手伝おう」

 荷物をまとめて、出発する。
 と言っても、次の設置場所はこの真下なのだが。
 先ほど設置したバリケードはそのまま持ち運ぶ。
 軽々と抱えながら、カプルがこう言った。

「持ち運びのしやすさを考えて、このサイズにしたのですけれど、これでは障壁として機能しませんわね」
「そうだな、やっぱ、それなりの大きさと重量がいるだろうな」
「クロックロン達が運べるサイズにまとめればいいんじゃないか? 例えばバリケードワンセットが詰まったコンテナの形で運用するとか」
「コンテナ、とはなんですの?」
「こう、荷物を輸送するときに詰める箱だな。りんご箱とか。うちの裏庭にも木箱が幾つかあっただろう」
「ああ、荷箱のことですのね」
「うん、それがこう、規格化されてて船の貨物から電車まで同じサイズで運搬……」

 と言いかけて、電車がないことを思い出したが、カプルにはだいたい通じたようだ。

「荷箱が規格化されてるんですの?」
「俺の故郷じゃそうなんだ。それで陸でも海でも同じ箱を綺麗に並べて輸送できるんだよ」
「効率は良さそうですけど、それだと運送ルートの独占に支障が出そうな気がしますわね」
「独占しないほうが結果的に物流が増えて儲かるんじゃないかな。それだけが理由じゃないだろうけど。例えば今でも船で運んできた荷物を、バラさずにそのまま1パックで馬車に載せられれば便利だろう、たぶん」
「それはまあ、便利ですわね。実はクロックロン達の事を、少し考えておりましたの。今までもクロに担がせようとすると、いちいち紐で括りつけていたでしょう。あれをもう少し効率良く出来たらと思っていたのですけれど、規格化した箱を固定するようにすれば、何かと都合が良いですわね」
「そうだな。予備の装備以外にも、水を運ぶとかあるよな」
「ええ、帰ったら早速やってみますわ」

 と言ってから、カプルは後ろをついてくるミラーを見やってこう続ける。

「ミラーだと、私達と同じ鞄を背負ったりはできますけど、それゆえに積載量が限られてきますし、特に探索時は他に任せたい仕事も多くなるでしょう」
「そうだな」
「規格化した荷箱、馬車も用意してもいいですわね。船にも専用の台座を……ふふ、盛り上がってまいりましたわ。」

 カプルはモリモリやる気が湧いているようだ。
 それを側で聞いていたフューエルは、

「よくもまあ、色々と思いつくものですね」
「思いつきの半分も使えればいいほうだけどな」
「私はどうもそういうのは苦手で。一つも思いつかない人間からしてみれば、そうやって、何かを発明するというのは、とても不思議なことの気がしますけど」
「なに、こういうのも慣れだよ。だいたい、訴訟にしても法律を知ってるだけじゃうまくこなせないんじゃないのか?」
「それはまあ、そうですね。大昔の人情噺ならいざしらず、判例に即してうまく解釈していくというのは、経験が必要なものです。私も都にいた時に、ボウツウェル卿に師事して学んだものですが……」

 それを聞いていたカプルが、

「フューエル様は大判事と名高いボウツウェル卿に師事されていたんですの?」
「ええ、父が都で務めていた頃の同僚で、何かと世話になっています。そもそも私が都に行ったのは、まつりごとを学ぶためでしたので」
「あの方はとても公正な方ですわね。以前、私の修行時代に、サルツォの大神殿の改修工事で教会側の未払いがあって、泣き寝入りしそうなところをお助けいただいたのですわ。私の師匠も、あの件はことあるごとに思い出して、役人にもあのようなものがいるのだと感心しておりましたもの」
「私が生まれる前の事件ですね。あの件では危うく破門になるところだったと、よく笑っておりました」

 その後、次の目的地に移動して、結界を張る。
 テナが小言を言いながらも手伝ったおかげか、かなり早めに張り終えることができた。
 それでもどうにか地上に戻った時には、すでに日が暮れかけていた。
 途中、例の死体処理がどうなってるか様子を見ようと思ったが、俺達が通った頃にはすっかり片付いていてあとには石畳に染みこんだ血の跡と匂いが残るだけだった。
 騎士団の詰め所に寄ると、レルルとモアーナが鎧を脱いだこざっぱりした格好で雑談しているところだった。

「お疲れ様であります、ご主人様」
「おう、レルル、そっちは終わってたのか」
「はいであります。クロックロン達の見事な働きで、迅速かつスムースに完了したであります」

 とレルルは言うが、モアーナは苦笑していた。
 たぶん、あまりスムースではなかったのだろう。

「それで、冒険者達とトラブルは起きなかったか?」

 と今度はモアーナに聞いてみると、

「ええ、そちらは我々が同伴して啓発して回りましたので。驚きこそすれ、特に問題は。しいて言えば……」
「言えば?」
「クロックロン達が、荷物を奪い合って死体袋を破いてしまったりと」
「あれはちょっとじゃれていただけであります」

 とレルルはフォローするが、まあ、それぐらいは大目に見てもらおう。

「それで、当人たちはどこだ?」
「奥で洗浄中であります」
「そうか、終わったら帰るか」
「たぶん、まだかかるであります。様子を見に行ったクロも戻らないであります」
「そりゃあお前、みんなで遊び呆けてるんじゃないのか?」
「まさかまさか、自分同様、任務に忠実であります」
「まあ、忠実ではあるんだろうが……」

 遊び心が想像以上に豊富のようだしなあ。
 まあ、ほっとこう
 結局、あとはレルルに任せて俺たちは先に引き上げることにした。
 なんせフューエルが結界作業で疲れてるようだし、なにより明日も大変そうだしな。
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