輪廻。
君が好きだった。愛しいくらい、大事で、愛してた。
8月。俺は君と会う約束をしてた。近所の夏祭りがあるから一緒に行こうよ。私は浴衣着てくよ。君はそう言って笑った。
一旦わかれると、胸がどくん、と高鳴った。不思議なくらい胸騒ぎがした。
それからすぐ、携帯に電話がきて、出てみると警察だった。君は血だらけで浴衣が赤く染められていた、とそう言われたのを覚えてる。
ああ、胸騒ぎはこれだったのか。
君が死ぬことを、俺は無意識に読み取ってしまったんだ。
なんで、一緒に行かなかった?
なんで、あの時、君についていかなかった?
なんで…
警察から電話がきたあと、君に会いに行った。また目を開けて話すんじゃないかってくらい綺麗な顔してた。
浴衣は赤く染められてたけど、髪飾りも、浴衣姿も綺麗だった。
車にはねられて、即死だったそうだ。
俺は思いきり泣いた。泣き散らし、君がいなくなった心の穴も痛み、病んでしまった。
また目を覚まして呼んでくれることは二度とないんだという実感がわかなかった。
ー叶うならもう一度きみにー
あれから数年、俺の願いは思わぬ形で叶うことになる。
それはひとつの、輪廻。